「 持続化補助金 」とは、小規模事業者が売上の増加など「 持続的な経営 」に役立つ事業計画をつくり、それが採択( 審査に合格 )されると、その事業の必要経費の一部( 今回の僕の場合は3分の2、最大100万円 )の補助金を支給してもらえる制度です。
特に、去年から、コロナで業績が下がった事業者への補助金が手厚くなっており、不動産関連業でも採択されている会社がちらほらありました。
僕はこの補助金について、2020年の11月頃に地元の商工会の方からすすめられました。不動産以外の事業にも挑戦してみたいと思っていたので、良い経験になるかなと思い、実益と勉強を兼ねてチャレンジしてみることにしました。
※申請の要件・方法などは年度ごとに大きく変更になるため、現在 運営されているものとはルール等が異なる可能性もありますので、ご留意ください。
僕が、商工会に相談しながら申請した事業計画の内容を簡単にまとめると、
①入居者募集をポータルサイトのみに頼らず、自社のWEBサイトを製作。そのホームページもネット広告で露出し、入居希望の方を直接集客。
②イオン放出&空気清浄機能を搭載したエアコンを新たに設置することで、物件の競争力アップを図る。
②イオン放出&空気清浄機能を搭載したエアコンを新たに設置することで、物件の競争力アップを図る。
という2本柱により入居促進(=売上増加)を図る、という内容で事業計画を作成しました。
①は人が接触する機会が減ることによって、②は設備導入によって、それぞれが感染症抑制という社会的役割も担いつつ、自社の売上にもつながる、というストーリーです。
このような事業計画を作るときは、いかに「 三方良し 」な事業計画を描けるかどうかが重要、と商工会の方が話していました。
■ 資料作成スキルが強みになる
肝になる事業計画書はA4用紙 5枚以内にまとめなければなりません。なるべく写真や図表を多くつかって、簡潔でわかりやすいものにするように心がけました。採択審査をする方も、たくさんの書類に目を通すわけですから、読みやすさ・見やすさはかなり重要な要素になるはずです。
プレゼン資料や報告書などの資料作成スキルをお持ちの方は、不動産投資を始めとする事業において、こういう形で活かすことができる気がしました。この手の申請の類は苦手な経営者も多いので、ひとつ強みになります。
↑ 実際の申請書
僕の場合、1回目の申請は残念ながら採択されませんでしたが、少し修正を加えて、2回目の提出で計画を採択してもらうことができました。
当初は8割近くの採択率といわれたこの補助金も、応募が殺到したことで、最終回の採択率は4割弱にまで下がったとのことでした。補助金などの制度も、早く取り組んだファーストペンギンが得をするのだと思い知りました( 笑 )
ちなみにこうした補助金の場合、先に自分のお金を使って実績報告とその審査を経てから補助金を受け取ることとなるので、実際の支出から補助金の入金まで、1年近く時間がかかることがあります。
事業計画に必要な原資はあらかじめ自分で確保したうえで申請することをお忘れなく。(「 概算払い 」といって、条件に合致する人は事前に一部の補助金を受け取ることもできたりします )
■ 事業計画の成果
計画は1年がかりで概ね予定通りに完了しました。
今回の計画のなかで制作したWEBサイトでは、自分で情報を登録できる仕組みにしました。とにかく物件の内外の写真をたくさん載せて、googleマップで周囲の状況なども確認してもらいやすくしました。LINEで手軽に問い合わせをしてもらえるようにもしました。
↑ 作ったWEBサイト
自分でサイトを用意すると、情報量に制約がないので、どうとでも自分の物件をPRすることができますし、不動産屋さんとのやり取りもスムーズになって何かと便利でした。
内見に来るお客さんも、WEB上の写真や立地条件などを隅から隅まで見てから来てくださるお客様が増えました。内見はあくまで「 答え合わせ 」なので、判断も早く、成約率も高まったと思います。
同時に仕掛けたネットのリスティング広告は正直なところ微妙でした…。費用をかけた割には効果が少ない、という印象でした。僕の広告の使い方が下手だったのかもしれませんが、広告というものは実に奥深く難しいなという学びになりました。
空気清浄機能付きのエアコンは何台か導入・設置しましたが、こちらは大好評。仲介業者さんとしても、時代にマッチしていてセールスポイントとして案内しやすかったそうです。
■ 実績報告をして気づいた失敗
事業計画を終えてからの実績報告書の作成は、今思い返してもイヤになるほど大変でした( 笑 )。これは報告のことを何も考えていなかった僕にかなり落ち度がありますが、今後 国の補助金を使ってみようと考えている方は、ぜひとも注意いただきたいところです。
前提として、補助金の実績報告では「 お金が間違いなくその事業に使われた 」ということを客観的に示す必要があります。補助金の財源は税金なので、不正受給により個人のポケットに入ることがあってはなりません。それができると最悪、反社会的勢力の資金源になってしまいます。
したがって、お金の出入りを確実なものにすべく、報告書にも非常に細かい決まりがあります。たとえば、1回あたりの支出につき、見積書・領収書、振込の履歴などの書類( 証ひょう )をすべて用意して提出しなければなりません。
ところが僕は、そんな手続きがあることをよく理解しないまま、補助金事業を進めてしまい、あとで苦労することになりました。僕の失敗は大きく以下の3つです。
①細かい経費( 出費 )を積み重ねたこと
②ネット通販を利用してしまったこと
③法人の買い物なのに、個人のクレジットカードで買い物してしまったこと
②ネット通販を利用してしまったこと
③法人の買い物なのに、個人のクレジットカードで買い物してしまったこと
ひとつずつ説明していきます。
①は、たとえばエアコンを10台、都度都度購入し、取り付け工事もその都度、業者に発注していると、エアコンの購入10台分&設置業者への外注費10件、あわせて20件分の取引の証ひょうをすべて提出しないといけません。僕はコレで報告のときかなり痛い目を見ました。
あらかじめ、ひとつの業者に複数台のエアコン購入と設置工事をまとめて1つの案件として発注していたなら、報告も少なく済み、事務処理の時間が圧倒的に削減できました。
極端なことを言えば、1つの会社に150万円でWEBサイトを外注して、100万の補助金上限額をもらう、みたいな事業計画だと実績報告もめちゃくちゃ簡単に終わるわけです。次回、もし補助金を使う機会があれば、なるべく支払いをシンプルにすることを誓いました。
②については、ネット通販の場合、いろいろと報告が面倒になります。見積書がわりに購入する前のWEBページ、受注確認としてお店から送られてきたメール・・・このあたりをすべて紙で印刷して提出しなければなりませんでした。
ここまでの①②で既に事務処理は煩雑を極めたのですが、完全に僕にとどめを刺したのはとりわけ③でした。
補助金事業の支払いは原則として銀行振込を使うことになっています。クレジットカードでの買い物もできない訳ではありませんが、その場合、領収書に加えてカードの明細、さらには、実際にそのお金が銀行の口座から引き落とされたところまで証明する資料が必要です。
さらにさらに、法人の買い物を社長( 社員 )が立て替えている場合には、立替金精算の書面と、法人から個人に確かに精算の支払をしたという銀行明細も必要になります。つまり・・・とにかく、めちゃくちゃ面倒なのです!
↑ クレジットはとにかく提出書類が増える
10万円までの市販品の買い物であれば、店頭で現金購入すれば領収書だけの提出で足りるというルールになっていましたので、補助金事業に使う10万円以下の物品は、お店でニコニコ現金払いが正解でした。
こんな所でまさか、「 キャッシュイズキング 」が登場するとは…。キャッシュレス推進はどうなっているんだと思いましたw
■ 補助金事業は最初にすべての流れを理解しておくことが大事
こんな感じで、最後の最後に報告書作成に苦しみ、丸二日は要したと思います。提出した報告書も全部で、週刊青年誌くらいの厚さになっていました。
みなさんも補助金事業に取り組むことがあれば、まずは、最初に落ち着いて実績報告の方法を含むルールをザックリとでも頭に入れて、最後の報告のこともイメージしておくのが良いと思います。
あとはなんといっても、締切ギリギリで報告書を作らないこと、最後にまとめてやろうとしないこと。これに尽きます!
あれ・・・? よく考えると、学生時代から僕が口酸っぱく言われていることと同じ気がしてきました。人間なかなか変わることができないものですね。 僕の失敗がみなさまの賃貸経営のお役に立つことができれば幸いです。