地形に着目、まちの歴史や文化などにも視野を広げる東京スリバチ学会の皆川典久氏に聞くシリーズ第2回は最新のスリバチ開発事情からまちを見る。
■大規模再開発がまちの個性を殺す?
土地の高低に従った土地利用をしていた江戸時代をベースに使い続けられてきた東京だが、最近になってそれを大きく変えようという動きがある。大規模再開発である。
「分かりやすいのが渋谷や港区の我善坊谷の開発です。まず、渋谷はご存じのように大きなスリバチの底に駅があり、それがあって周囲に拡大することができないまちでした。都心の青山方向に向かっても坂、郊外の松濤方向に向かっても坂。坂に阻まれていたため、大型オフィスなどが建てにくく、そのために一時期集積していたIT企業が流出したとも言われています」。
その地形の不利を跳ね返そうというのが現在行われている巨大再開発である。高層建築物を作ることで言ってみれば周囲の高台とアクセスしやすくするなど、低地のハンディを技術で乗り越えようとしているわけである。
もうひとつの我善坊谷は神谷町や六本木一丁目にほど近いエリアで、麻布郵便局の裏手にあたる細長い窪地。周囲とは20数mもの高低差があるため、長らく
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