ソフト・ハード両面で街づくりが進む交通利便性良好な中都市
朝霞市は市内に東武東上線の朝霞駅、朝霞台駅、JR武蔵野線の北朝霞駅の3駅を有する埼玉県南部の街だ。
2023年3月に行われた東武東上線の大規模ダイヤ改正では朝霞、朝霞台両駅の利便性が高まったほか、東武鉄道(株)の今後の経営計画でも朝霞台駅を「人流創出開発注力駅」と位置付けている。
そんな朝霞市は現在「第5次朝霞市総合計画」が進行中だ。「私が 暮らしつづけたいまち 朝霞」を基本構想に掲げ、前期基本計画(2016年度~20年度)では福祉と子育て支援を充実させた。全世代にとって暮らしやすい環境づくりが進み、近年、駅周辺にはファミリー層向けのマンションが相次いで建設されている。
下記は第5次朝霞市総合計画が始まった2016年以降の総人口、年少人口、生産人口の推移である。
2016年までも増加傾向であったが、その後8年間で総人口は8,000人超、生産人口は5,000人超増加している。年少人口は多少の増減があるが、日本がすでに人口の減少局面へと移行していること、国全体の出生数が8年連続で過去最少を更新していることを考えれば、総人口14万人の中都市としては悪くない数字だと言えるのではないだろうか。
第5次朝霞市総合計画 後期基本計画(2021年度~25年度)によれば、朝霞市の人口は今後もしばらく増加傾向で推移すると見込まれ、長期的には今後25年間程度はゆるやかに増加していくと考えられている。
「第5次朝霞市総合計画」後期に入り、街はどう変わるのか?
2022年、朝霞市は「コンパクト」「スマート」「レジリエント」の3要素を兼ね備えた持続可能な街づくりを県が支援するプロジェクト「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」にエントリーし採択された。
その際提出したエントリーシートには、今後の街づくりについて「官民連携による公園や街路空間等の利活用や、自然が持つ機能の最大限の発揮を軸に、『居心地が良く、歩きたくなるまち』と、『魅力的な商業エリア』の創出を図る」と記されている。
施策としては①道路空間の再構築や低未利用地の活用を通じたひと中心のウォーカブルな空間の創出、②自然の機能を活かしたグリーンインフラの整備、③災害時にも機能するフェーズフリーな街づくりに取り組むことが掲げられている。
すでに実行された例として、市役所周辺から国道245号線(川越街道)へ続く「シンボルロード」の遊歩道がある。
これは米軍基地(キャンプ朝霞)として使用されていた敷地の一部を、基地返還後から自然に育った緑豊かな空間を活かしながら緑の道として整備したもので、雨水浸透機能を高めるなど、自然が持つ防災性や快適性などを活用した多様な機能を実現している。
また、ひと中心の公共空間づくりのモデル事業としてロータリーから広場へのリニューアルが予定されているJR北朝霞駅西口では、昨年10月、ロータリーの一部を車両通行止めにして3日間にわたる広場化の実証実験が実施された。
東洋大学の板倉・川越キャンパスが朝霞キャンパスに移転・改組
朝霞台駅近くには東洋大学の朝霞キャンパスがあるが、2024年4月より同大学の板倉キャンパス(群馬県板倉町)、川越キャンパス(埼玉県川越市)から朝霞キャンパスへの学部学科等の移転・改組が行われる。これにより、いままで分散されていた学生は必然的に朝霞に集まることとなり、街はいま以上に活気づくことになるだろう。
交通の便が良く、学生が集まり、街のインフラ整備と魅力づくりに力を入れている朝霞市。「第5次朝霞市総合計画」が完了する2025年、街はどのような姿になっているのか。発展の経緯も含め今後も注目していきたい。
執筆:
(せきおかくみこ)