三井不動産は今後研究者向けの施設にも注力する見通し
三井不動産は5月18日に、研究者向けの施設とオフィスを兼ね備えた「三井リンクラボ新木場2」を竣工し、「(仮称)三井リンクラボ新木場3」の開発を決定したとプレスリリースで発表した。
また、三井リンクラボ新木場2とは別に、駅前の新木場センタービルで同様の施設である「ライフサイエンスハブ新木場」を開設している。
三井不動産のプレスリリースには「ライフサイエンスプレーヤーの集積を図る」と書かれているが、これは言い換えると「研究者を中心とした製薬・医療産業の企業を集める」ということだ。
このため、三井不動産がブランドとしている「リンクラボ」や「ライフサイエンスハブ」には、細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を扱う実験や、再生医療等の研究を目的とした液体・気体を扱う実験などに対応した設備が設けられている。
また、三井不動産は「三井リンクラボ オープンイノベーション支援プログラム」を始動し、入居企業の研究事業やコミュニケーションをサポートしていくという。
今後はさらなる新サービスの展開も予定しているということで、三井不動産は今後研究者向けの施設にも注力していくようだ。
既存物件は順調に稼働中・来年秋には新施設も
竣工したのが「三井リンクラボ新木場2」なので、施設名に「1」を冠する施設もあり、こちらは2021年7月から稼働済だ。
三井リンクラボ新木場1には、スタートアップ企業・薬品関連の開発会社・医療機器メーカーに加えて異業種の企業なども入居している。
入居企業名も一部公開されており、電気機器メーカーであるNECの関連会社など、15社以上が入っているようだ。
公開されている図面を見ると、「2」の方には少なくとも50以上の区画が用意されているため、こちらも数十社以上の企業が入ると予測される。
延床面積は18,232㎡、貸付面積は14,588㎡と、大規模なショッピングセンター並みの大きさだ。
勢いのあるスタートアップ企業や、医療関連の大手企業が入ることなども期待したい。
また、冒頭でも紹介した通り、新木場で3棟目となる施設の建設も既に決定しており、こちらは今年の夏に着工・来年の秋に竣工する予定だ。
施設概要について明らかになっているのは敷地面積のみなので、こちらはどのくらいの数の企業が入居できるのか、今後の続報が待たれる。
高所得者の賃貸需要喚起に期待
不動産投資の目線で見ると、医療の関連企業が集まるということは、研究者を中心として高所得者が集まるということでもある。
しかしながら、新木場駅の周辺には住宅街と言える場所がほとんど見当たらない。
三井リンクラボが建設されている南口周辺は倉庫と工場、北口には大きな公園・陸上競技場・野球場などしかないからだ。
一方で、交通アクセスに目を向けると、新木場駅は東京メトロ有楽町線と東京臨海高速鉄道りんかい線の始発駅だ。さらにJRの京葉線も通っている。
つまり、新木場からは乗り換えなしで東京・銀座・大井町・渋谷・新宿・池袋までアクセスできる。交通の便は非常に良い。
例えば、りんかい線沿線の大井町では、最近大規模な再開発が進んでいる。あるいは、物件価格を抑えたいのであれば、京葉線沿線の千葉方面に目を向けてみてもいい。
三井不動産の開発が、高所得者による沿線の賃貸需要を喚起することに期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)