再開発が進められる品川駅周辺
駅前の計画概要が決定
東京23区・城南エリアのターミナル駅のひとつに数えられる、品川駅。JR東日本・JR東海・JR貨物・京急(京浜急行電鉄)が乗入れ、今後は東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線の延伸も計画されている。1日の乗車人数はJR東日本だけで約24.8万(2022年度)にものぼる。
駅の西側(高輪口)には「プリンスホテル」を中心としたシティホテルやビジネスホテル、東側(港南口)には「品川インターシティ」「品川グランドコモンズ」など、オフィスビルや商業施設、タワマンが整備、集積されてきたが、いまも隣の高輪ゲートウェイ駅~田町駅にかけて大規模な再開発プロジェクトが進行中。
8月下旬には、京急とJR東日本が事業主体となる品川駅街区地区の開発計画について、その概要が明らかになった。
計画地は北街区・南街区(南-a)・南街区(南-b)の3つにわかれ、北街区と南街区(南-a)には高さ約150m・地上28階建て、南街区(南-b)には高さ約47m・地上9階建てのビルを建てる予定。全体の敷地面積は約3万3500㎡、延べ面積は約37万4300㎡、3棟の施設はオフィス、店舗、宿泊施設、集会場、駅施設、駐車場などが整備される。
街区によって事業主体と工期(予定)は異なり、北街区はJR東日本で2025年~2030年、南街区(南-a)は京急で2025年~2036年、南街区(南-b)も京急で2030年~2032年。これにより、品川駅高輪口の景観は大きく変わる。
特筆すべきは、京急による京急本線連続立体交差事業と一体的に進められるという点だ。同事業は東京都が主体となり、港区、品川区、京急と連携し、京急本線の泉岳寺駅から新馬場駅までの約1.7㎞の区間の道路と鉄道を連続的に立体交差するというもの。これにより3か所の踏切が切除され、踏切での交通渋滞が解消される。
加えて、現在は2階部分にある駅ホームをJR東日本と同じように地平化、今の場所から130m北側に移動して、現在の2面3線から2面4線にするとともに、鉄道施設は北街区と南街区(南-a)の建物内に配置されることに。ふたつの事業が一体となり、東西・南北方向の歩行者ネットワークを強化するなど駅とまちをつなぐ都市基盤を整備し、国際交流拠点にふさわしい都市機能の導入、防災機能の強化と先導的な環境都市になることを目指す。
同事業だけではなく、品川駅の周辺では複数の大規模再開発プロジェクトが進行している。例えば、西口地区では国道15号の上空にデッキを整備、高輪ゲートウェイ駅や泉岳寺駅付近でも複合施設を建築中。2030年代後半にはすべての事業が終わると、品川駅から田町駅にかけて最先端のまちなみが誕生することになる。
今後、品川駅街区地区の計画は東京圏国家戦略特別区域の都市再生プロジェクトとして、内閣総理大臣による区域計画の認定に向け、東京都都市計画審議会や国家戦略特別区域会議などの手続きが進められる予定だ。
また、同計画では高輪築堤跡第7橋梁部(国指定史跡)の保存管理・活用に取り組むなど、まちづくりと文化財保護の両立も図る。これまでも埋蔵文化財に関する調査を実施していて、今後も文化財行政などを指導のもと、文化財調査等を行っていくという。
調査の結果、埋蔵文化財が出土した場合は、文化財保護法等関係法令に則り適切に対応するとともに、埋蔵文化財の出土状況に応じ、その取扱いを整理するためのスケジュールを確保。有識者及び文化財行政を交えた会議体等での助言・意見を仰ぎ、適切な保存方法を検討し対応する。
なお、現地保存、移築保存、記録保存など保存方法に応じて、施工計画や建物計画、都市計画などの変更が必要となった場合は、事業計画の見直しや必要な関連手続等を進めるとしている。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))