10月に開業した「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」など、森ビルが異次元のスピードで開発を続けてきた虎ノ門ヒルズエリアからわずか300メートルの場所に、23区最高峰の山がある。標高25.7メートルの愛宕山だ。
江戸初期に徳川家康の命によってその山頂に祀られた愛宕神社(港区愛宕一丁目)は豊かな緑に囲まれ、都心のビル群のオアシスとなっている。
また、山頂に続く急傾斜で一直線に伸びる「出世の階段」が仕事運にご利益をもたらすパワースポットとして企業の重役や社員が参拝してきた。最近では人気男性アイドルグループ「Snow Man」ゆかりの神社として、若い女性参拝客も後を絶たない。
その愛宕山を含む約0.6ヘクタールの区域が「愛宕地区第一種市街地再開発事業」として再開発され、地上43階建てマンションなどに生まれ変わる。
開発は2期に分けられ、まずは神社の南側のI街区に高さ約160メートルの超高層ビルが建てられる。こちらは43階の大半が共同住宅として分譲される見通し。事業参画者が野村不動産であることから、プラウドシリーズとなることが予想される。2024年着工、2028年竣工の予定。現地はすでに解体が進み、更地となっている。
I街区の竣工後、北側にある既存ビル2棟が解体され、それぞれ地上3階建ての2棟として2031年に竣工予定。
再開発の趣旨としては、愛宕山に残された緑と歴史的・文化的環境を極力保存する方向で、出世の石段に続く愛宕神社の参道の両側に広場を整備。建物低層部には商業機能を設け、賑わいある滞留空間としての参道空間を形成するという。
また、参道と反対側にあたる愛宕山崖線に面する部分に緑地を設け、愛宕山の自然環境に親しめる歩行空間を整備するという。
他にも、
・I 街区に超高層建物を配置することにより、Ⅱ街区の建物ボリュ-ムを抑え、愛宕山への眺 望の確保や愛宕山山頂空間の開放性の確保を図る
・ 愛宕山の自然環境に抱かれた立地環境や病院・学校等の近接する特性を生かし、グローバル 水準にも対応した良質な都市型居住機能を導入する
・愛宕山の斜面安全対策として、既存擁壁の補 強、斜面補強等の対策を実施する
ことなどがリリースに記載されている。
さらにこのエリアでは、II街区に隣接する区画でも、旧「東京虎ノ門東急REIホテル」の解体が始まっている。こちらは東急が延床面積約17,000㎡の住宅主体に再開発する計画だ。
森ビルの牙城だった虎ノ門・愛宕エリア。他社も再開発に参入し、エリアの価値がますます上がっていきそうだ。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))