来たる2021年5月1日、『名古屋第二環状自動車道(以下:名二環)』名古屋西JCT~飛島JCT(延長12.2㎞)がついに開通。
これにより伊勢湾岸自動車道とあわせ、名古屋市の外周をぐるりと囲うように走る道路『名古屋環状2号線』(延長66.2㎞)がいよいよ全線開通する。
約80年間で10兆円超の経済効果の見込み
交通利便から住宅地価も上昇傾向
『名古屋環状2号線』の全線開通にあたり、やはり注目したいのはその経済効果だろう。2069年までの約80年間で、なんと約10兆2,000億円の経済効果が見込まれている。
名古屋市や春日井市、東海市、大府市、清須市、あま市、大治町、飛島村の沿線エリアだけでなく、それ以外の愛知県や岐阜県南部、三重県北勢地域など非沿線エリアにもその経済効果は広がり、中京都市圏の地域経済の発展を促進すると考えられている。
道路整備には地域に応じた遮音壁や植樹帯など、生活環境との調和を目指した環境対策技術が導入されている。こうした技術もエリアの価値を高めてくれるだろう。
今後は愛知県飛島村など西南エリアの沿線開発も想定される。開通による地域の発展にも期待したい。
名古屋都市圏の交通渋滞緩和に寄与
大幅な時間短縮で名古屋港への物流効率化
環状道路は、郊外から都心部へ向かう車を分散することができたり、郊外から郊外への移動は都心を通らずバイパスさせることができたり、さらに通行止めや混雑があった場合の迂回誘導ができたりと、その機能は交通渋滞緩和に大きく寄与する。
名二環(名古屋西JCT~飛島JCT)開通前は、多くの車が国道302号を利用しこの区間を行き来した。しかし開通すると大幅な時間短縮となる。
名古屋港飛島ふ頭の海外向け貨物取扱量は、約20年で3倍に増加した。その約4割は、小牧・岐阜方面へ輸送されるという。名二環の開通で、名古屋市北部と名古屋港とのアクセスが改善。
例えば現在1日2往復している物流の回旋数を3往復へ増加させることも可能となり、効率化が実現するのだ。時間短縮は経済効果とも密接な関係にあると言える。
また名古屋港エリアといえば、「レゴランド・ジャパン」や「リニア・鉄道館」、「国際展示場」などの観光スポットがある。開通により愛知県南西部からのアクセスが大幅に改善されるので、名古屋港エリアがもっと身近になり集客にもつながりそうだ。
災害時のライフラインとして地域防災力が向上
非常時に迂回することも可能に
防災機能強化が進む名古屋港は、災害時に防災拠点となり、被災地へ向け物資を輸送する。そして名二環は高架構造のため、浸水被害発生時でも走行可能な災害に強い高規格道路だ。
つまり名二環を利用すれば、防災拠点である名古屋港から被災地へ迅速な緊急支援物資の輸送が可能となる。また事故等の非常時、通行止めが発生した場合の代替ルートとして迂回機能を発揮することも忘れてはいけない。
トヨタ自動車のお膝元・愛知県は、車の所有台数が日本一。数多くの企業が拠点を構える東海エリアだからこそ、道路インフラの整備は非常に重要だ。物流の効率化は大きな経済効果をもたらすだろう。
再開発が進む名古屋駅や栄周辺だけでなく、名古屋広域で目まぐるしい進化を遂げている。『名古屋環状2号線』の全線開通は中京圏の更なる発展へと貢献するだろう。
健美家編集部(協力:アンズコミュニケーションズ)