愛知県東海市の要請を受けて新駅を設置
1日の乗降客数は2400人を見込む
愛知県の中西部に位置する東海市。知多半島の付け根にあり、北部は名古屋市と隣接し西側は名古屋港の一部として使われている。名古屋市の中心地区まで電車で20分、豊田市の中心地区まで同1時間30分、中部国際空港にも電車を使うと約20分でアクセスできる。
伊勢湾岸自動車道や知多半島道路・名古屋高速のICが近く、市の西部には西知多産業道路が縦断。市の西部は開拓地や埋め立て地が点在し、鉄鋼基地を中心とした名古屋南部臨海工業地帯の一角を形成している、産業のまちでもある。
市の中心となる駅は名鉄(名古屋鉄道)の太田川駅で、同駅からは常滑線と河和線が分岐。前者の常滑線は知多半島の西岸に沿って走り、名古屋中心部や沿線の日本製鉄名古屋製鉄所をはじめとする工業地帯などへの通勤路線として、後者の河和線は知多半島の東側を縦貫し、沿線は宅地開発が進んでいることから、名古屋への通勤・通学路線として利用されている。
こうしたなか、名鉄は河和線に新駅「加木屋中ノ池(かぎやなかのいけ)」駅を2024年3月16日に開業することを発表した。名鉄が新駅を開業するのは、2008年の西尾線・南桜井駅以来で、県内では2012年のJR東海道線・相見駅以来となる。
新駅ができるのは、高横須賀―南加木屋(2.8㎞)の中間地点。プラットホームは2面2線、6両編成に対応する相対式で、自動改札機や自動券売機も設置される。
停車するのは普通列車のみで、1日の状況客数は2400人を見込んでいる。これは、同じ河和線だと八幡新田や富貴と同じ水準だ。駅勢圏内である加木屋町と中ノ池の2地域の住民にとってわかりやすく、親しまれるようにとの思いから、この駅名になったという。
なぜ、ここに新駅ができるのか。
そもそも、地域住民の利便性向上や交通円滑化などを理由に、東海市は1990年頃から名鉄に新駅設置を働き掛けてきた。話は難航していたが、近隣の人口は増え、近くには公立西知多総合病院も開業することに。
その後、市が駅舎建設の費用75億円(そのうち26億円は国費からの充当を見込む)を負担する請願駅として開業が決まったそうだ。
こういった経緯もあり、新駅には「公立西知多総合病院前」の副駅名が付され、開業と同時に同院の最寄り改札口となる北改札口の供用を開始、その後2024年度中に南改札口も整備する予定だ。行政は病院と北改札口を結ぶ屋根付きの通路も整備している。
近隣の住民や来院者にとって、新駅の開業は願ってもないこと。交通利便性が良くなることもあり、市は駅周辺の人口を現在の9200人から、5~6年後には1万800人に増えると見込んでいる。
新駅の周辺では約11haに及ぶ土地区画整理事業も始まっていて、2030年度までに民間企業による宅地開発や商業施設の誘致も図られるという。
なお、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、直近3年間で加木屋中ノ池駅に隣接する高横須賀駅及び南加木屋駅周辺の賃貸マンションの賃料は約13%、中古マンション価格は11.73%上昇。これは愛知県の変動と同程度の水準だが、今後は平均以上の伸びを見せるかもしれない。新駅を機に、ますますの発展が期待されるエリアだ。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))