相続税課税時のマンションの財産評価が、市場価格と大きく乖離することがしばしばあることが問題となっている。
令和5年度与党税制改正大綱に、相続税におけるマンションの評価方法について適正化を検討するとの記載がなされたことを受け、令和5年1月から「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」が始まった。
問題の背景と相続税の財産評価の取扱いと時価との乖離の実態を整理し、有識者会議の議論の方向性を探る。
■ マンションの相続税評価適正化の検討とその背景
相続税の財産評価は、法令上、時価でなされるのが原則になっている。評価方法の実務上の運用は、財産評価基本通達と呼ばれる国税庁の内規に従ってなされている。評価通達は、画一的に適用されるので公平である。
しかし、タワーマンションや一棟マンションは、投資商品としての価値があることから、市場価格が高騰しがちである。そのため、評価通達による画一的な評価額と、市場価格との乖離が著しいケースが多発している。
相続税の節税対策として利用される場合もあり、令和4年4月19日の最高裁判決が、市場価格との乖離や租税回避目的などを理由に、通達による評価を否認したことは記憶に
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