不動産投資のお勧め本
日頃から長嶋氏は健美家のコラムにおいても、不動産投資家にとって不動産市場動向はもちろんのこと、経済・政策の動向にも注目する重要性を説いている。不動産市場とはいわば、政治・株価などの遅行市場であるためだ。
新刊 「 不動産のプロから見た日本経済の活路 」 はまず、章立てを見るとテーマの幅広さに驚く。世界金融恐慌から、アメリカ頼みの資本主義経済崩壊後の世界、日本の政策課題を挙げ、もちろん長嶋氏の専門である不動産についても、現状の課題から政策提言、個人が不動産と上手く付き合うための具体論まで、とにかく網羅性が高い。
反面、ひとつづつのテーマの掘り下げ方が正直なところ若干、浅いように感じる点は否めないが、不動産という立ち位置から経済や政策を斬る視点が興味深い。機会があれば長嶋氏に直接、なぜ著書で主張するような政策が必要で、それによりどういった効果があるのか、もっと突っ込んだ話を聞いてみたいと思わせた。
興味深かったのは、長嶋氏が何度も繰り返し述べる、 「 今は時代の大きな転換点 」 だという点である。
金融不安から全世界が景気悪化の大波に飲み込まれ、今、世の中で起こっているさまざまな社会問題や、個人の不安を数えればきりがない。これほどまでに不安要素が多い時代も、そうはないだろう。
しかし長嶋氏は、自身が暗い話題の続く不動産業界に身を置きながらも、激動の今はチャンスであり、すべてをゼロベースで見直し、根本的な変化を促す清算のときだと言い切る。そのために必要なのは、私たち自身の意識や選択、行動が変わることであると。
「 社会的意義と経済性が一致するとき、資本主義経済は持続可能になります。商品やサービスを提供する側であり、同時に享受する側である私たち一人ひとりも、幸せになれます。もしそれができないなら、資本主義経済というこの仕組み自体、間違っているということになってしまうでしょう。 」
長嶋氏の言葉は、不動産投資家にとっても大いに考えさせられるものである。
資本主義経済、自由競争の名のもと、すさまじいほど供給され、空室が積みあがった日本の不動産市場。その中で人々に住まいを提供する不動産投資家はまた一方で、自身も住み手であるのだ。
自身が住みたいと思えるような物件、社会資産となるような物件、そういった社会的意義の大きい投資と自身の経済的成功が一致するとき、その投資は長く繁栄するものとなる。
目まぐるしく変わる経済動向や市場をふまえ、時代の変化を先取りしながら持続可能な投資を行なう、そういった気概のある不動産投資家にはチャレンジしてもらいたい1冊だ。
不動産投資のお勧め本 31 / 健美家 投資脳活性委員会




