第29話 
アパート新築・上棟 〜 柱の工夫と施工業者の苦労 〜 ( 33 )

今回はアパート新築の中の < 上棟編 > です。
王道型アパートの上棟とは、一般戸建ての上棟とだいぶ状況が異なるので、
この点について一般住宅や一般アパートと比較しながらお話します。

私の世田谷アパート新築では、上棟はメインイベントです。
施主にとって感動するものがあります。

更地

土地購入前は築 35年の戸建てがあり、この建物を壊してから、塀に囲まれた土地がどれほど狭いものであるかを実感しました。
それから約 3ヶ月で、建物の上棟したのですが、
今まで土地を見下げていた ( 地面ですから ) のが、柱が立ち並ぶと見上げることになるのです。

上棟

それも一般的な 8mの柱ではなく、10m近くあるものであり、
かつ狭い土地ですから見る本人は建物に接した位置に立っています。
首が痛くなるほど見上げることになります。

平面で見ていた状態から、柱が入ることで 箱=立体的 なものとしてみることが
出来るようになり、逆に、「 こんなに大きなものが入るのだ。 」 と感動しました。

それもそのはず、王道型アパートは平面で見て建蔽率を最大限に使うだけでなく、
『 高さ方向でも 』 高さや斜線などの制限を最大限に利用できるよう、建築プランが検討されています。

このような法律的な制限を切り取った残りをつくり、それに対して建物が成立するかを考えているわけですね。

上棟した時の感動は、更地状態での
「 この狭い土地を取得してこれで家賃に見合う建物が出来るだろうか? 」
( 図面でもわからない ) という心配が、

上棟時に
「 これだけの建物ならば面白い部屋・空間が出来る! 」
と確信に変わる瞬間でもありました。

このコメントについては、先日、オンリーワン勉強会で行った、
別のアパートの上棟後の物件見学会でも、
多くの方からびっくりしたとのコメントをもらいました。

その 「 びっくりした 」 には、
『 (1) 柱の長さ( 高さ ) 』 の他に、
『 (2) 柱の数の多さ 』
にも注目が集まっていました。

では、次にこの 2点について語ります。

(1) 柱の長さについてですが、
どのように違うのかというと、近隣の戸建てに対し、このアパートだけが頭を出しているのです。同じ用途地域ですので、法律の制限では同様はずです。

では何が違うのかというと、建物の仕様 ( 柱の仕様 ) です。
8mの通し柱が一般的に用いられていて、極端な言い方をすれば、
8m柱が既製品で価格が低く ( 良い値段 )、これを超える柱は、
汎用ではないため価格が高いというものです。

つまり、一般的な今までの戸建てはコストを重視して 8m柱を基準として設計されていたものです。
だから、法律的にはもっと屋根を高くすることは可能だったのですが、建物価格が優先されていたのです。

入居者へのメリットというと、住んでみると 2階のロフト窓からは近隣の戸建ての屋根がやや下になり、屋根の地平線が遠くまで広がっているように見えるのです。
つまり 『 世田谷の屋根 』 の上の世界・空を見ながら生活できるのですね。
これは気持ちがよいに違いありません。
( 貸している私が言うのもなんですが、そんな部屋に住んでみたかったです。 )

屋根

逆光の都合で撮影の方角が悪くて残念。
更には隣地の建物が新しく、屋根がきれいなものだったらなお良いのですが...
でも、採光が良くとれ、通風も良いので、これだけでも気持ちが良いのです。

入居時もメリットには、柱に秘訣があったのですね。

(2) 柱の数の多さについてでは、
まずこの王道型アパートは木造 2階建てですが、法律上必要がない構造計算をしています。
ただ計算をしているだけでなく、大地震でも問題ない状態であることが確認できている設計・構造を満たしているということです。

そのために柱の数が多いのです。
以前、王道型アパートと一般戸建ての新築が同時に上棟したときがあったのですが、戸建てのほうがすかすかのように見えました。
( また蛇足ですが、戸建ては完成が早かったですね。 )

上棟

さらには、10mちかい通し柱は 『 4寸柱 』 を使用してもらっています。
太さが違います。戸建てでは 3.5寸が汎用です。

柱

建物は丈夫が一番。
「 木造建物は日本の気候にあっている。法隆寺を見なよ。 」 と、
ある施工業者さんが言っていました。
通し柱は建物でもとても重要です。

では、(3) として施工業者さんの苦労についてです。

先ほどから、長い柱、太い柱、数が多いことを語っていましたが、
私の世田谷の土地には問題がありました。

それは土地を良い値 ( 安い価格 ) で仕入れていることです。
そう 『 クズ土地 』 なのですね。
それは路地状敷地であるため、工事がしにくいのです。

建物が建つ敷地まで、トラックを横付けすることなど絶対に無理です。

さらには、この土地は 42条 2項道路が接道であるため、大型トラックは無理です。
なので、このときの工事は 「 環七 」 にトラックを止め、
この大通りから 『 200m 』 も 『 大工さんが手運び 』 してくれました。
柱を運ぶのに何往復もしたそうです。

さらには柱が長すぎて、42条 2項道路の道幅が狭く、ある時は柱を立てて運んだそうです。
また、施工会社の社長さん自らが、環七で交通整理もしてくれました。
そして、狭い土地なので荷物を置く場所もなく、徐々に資材を運び込まなければならないことも一苦労です。

本当に、ご苦労様です。ありがとうございます。

クズ土地は、施工業者にとっても大変な作業を強いられるものなのですね。
王道チームの業者さんは、「 この作業はうちらじゃなければ出来ないよ。 」 と
建物が完成するたびに口にします。
毎回、本当大変なのだと思います。

『 設計の工夫 』、『 材料(柱)の差別化 』、『 施工業者の苦労 』
『 アパートの差別化 』 になるのだなと感じられるタイミングが
上棟でした。

以上です。
世田谷アパートの上棟のときに感じた、オーナーの喜びが伝わればよいかと思い、
書いてみました。
次回も楽しみにしてください。



不動産投資の収益物件

2009年3月4日掲載

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2003年に
投資マンション1室を購入し、
不自由さを実感

2004年に
中古アパートを購入し、
空室と修繕の苦労を実感

2006年に
初めて王道型アパートを世田谷区に新築し、
ようやく落ち着いた大家を実感

2007年に
北関東にて2棟目の王道型アパートを新築後、企業を退職し、 現役大家さん・未来の大家さん ( サラリーマン ) のサポートを心がけています

2008年
東京都下で1棟竣工

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【 大長さんの著書 】