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資金調達力のあるJ-REITが資産規模拡大を狙う (13アクセス


不動産ニュース 08  /  健美家ニュース編集部
   地価上昇率に一服感が出て、不動産価格が調整局面を迎えている今、J-REIT各社は、新たな物件取得を虎視眈々と狙っている。勝ち組といわれるJ-REITの特徴の一つに、質が高い物件を割安で購入しポートフォリオを構築してきた点を挙げることができる。価格上昇が顕著になる前段階、つまり景気低迷期から着実に物件を積み上げてきた。景気低迷期の物件は賃料が高くはないが、要求キャップレート ( 期待利回り ) は 4〜5%あった。インカムゲイン狙いで長期投資を考えている投資家にとっては十分な利回りだ。景気回復局面では、賃料改定のときに増額改定を実現しやすい。

   森トラスト総合リート投資法人はそうした高品質の割安物件で物件ポートフォリオを築いた 1社だ。運用会社の森トラスト・アセットマネジメントの堀野郷社長は、「 当社が抱えている物件で賃料が下がるようなものは 1件もない。売却をしなくても十分に配当が出せるようなポートフォリオも築けた 」 と話す。08年3月期末時点で全ての物件で含み益 ( 約320億円 ) が出ており、売却しても十分にキャピタルゲインを得ることができる。

   依然として好調をキープしているオフィスビル市場だが、その賃料は、東京の千代田区・中央区・港区といったAクラスビルは坪あたり 6〜7万まで上昇しており、ビル市場全体の動きとしては、Aクラスビルの高水準の賃料を受けて 「 同エリアの中小型ビルの賃料は必ず上がる。そして、丸の内や日本橋あたりで 3万円台だった中小型ビルが 4万5000円に上昇し、賃料を払えず退去せざるをえないテナントが出てくる。これらのテナントは少しランクを落とし山手線周囲に 3万5000円程度で入居できるビルを探すという現象が出てくるだろう 」 ( 複数の市場関係者 ) という。ただ、山手線周辺といっても駅周辺の話。それより遠くになると賃料の上昇は望めないようだ。

   森トラスト総合リートが運用している 「 大崎MTビル 」 は昨年 9月末にテナントの住友重機械工業が退去した。現在は、新たなテナントで満室稼働になっている。同ビルの新賃料は従前比で 40%以上の増額。同ビルのエリアの相場で見ると、坪あたり約 2万1000円だが、2万8000円〜 3万円の間で賃料が決まったと推察できる。1棟貸しで、もともとの賃料が低い水準だったこともあるが大幅な賃上げに成功している事例だ。

   不動産価格が割安に向かうなか、J-REIT各社は、これまで見合わせていた運用資産の規模拡大に焦点が移りつつある。1年半前から去年までは不動産価格は高すぎたが、これから非常に割安な不動産取得が可能な時期を迎える。しかし問題は、買い時に資金調達ができなくて財政的に買うことができない状況になっていることだ。「 現在のポートフォリオの質、財務体質、資金調達力によって勝ち組と負け組の格差がますます拡大する 」 と堀野社長は話す。これらを踏まえ、森トラスト総合リートの戦略では、築き上げたポートフォリオと物件の品質をきっちり維持し、適正な水準で賃料公開ができるようにする。そうすれば、資産価値は自然に上昇すると見ている。資金調達ができる財務力を維持し割安な高品質物件が出たときに機動的な物件取得を実現する。スケジュール立てで物件を購入することはしない。


2008年6月17日掲載
不動産ニュース 08  /  健美家ニュース編集部
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