戸建て志向が強い名古屋の住宅市場  4,805 アクセス

不動産ファンドバブルに沸いた名古屋。米サブプライムローン問題やリーマン・ショックの直撃を受けた日本の主要都市の一つだ。トヨタ自動車のお膝元とあって常に注目を集めている。今回、その名古屋の住宅・不動産市場について、地元への複数の取材を通して探ってみた。

分譲マンション市場は底打ち感が強まったとはいえ沈滞ムードは消えていない。低価格物件は順調に在庫が消化されたが新規案件がふるわない。デベロッパーは、用地を仕入れている段階で、ファンドバブル前の04〜05年水準の新々価格≠売り出す段階には至っていない。現状でも25%程度を値引きしている会社が多い。 「 表向きは見かけないが30%程度まで値引きしているケースもある 」 ( 名古屋市内の地元事業者 ) 。消費者もはなから値引き交渉をしてくる。

ただ、名古屋の売れ筋物件は人気の学区エリアに集中しているのが特徴で、そうしたエリアの価格水準は比較的保っており値引きは少ない。大手デベロッパーの進出が目立っている。とはいえ、 「 6,000万円以上はほとんど苦戦。購入を検討している側も1,000万円程度ターゲットを引き下げている。売れ筋は3,000万円台前半に集中している 」 ( 全国宅地建物連合会・愛知県支部 ) 。

マンションよりも戸建て志向が強いのが名古屋の特徴でもあるが、戸建住宅の売れ行も芳しくない状態が続いている。そうした中でも名古屋市を中心に東京方面に近いエリアが思ったよりも売れており、その反対方向に行けばいくほど販売不振にあるようだ。名古屋市内の総年収と愛知県内の各市町村の総年収との格差も各々の地域の販売状況に影響している。全宅連愛知県支部では、 「 平均年収が約400万円なら4,000万円や5,000万円の物件を買うのは難しい 」 といい、東京のマーケットとの違いを強調する。複数の地元事業者は200年住宅 ( 超長期優良住宅 ) の普及は夢の話だと口をそろえる。

また、東京や大阪では、ローン減税の拡充などの諸施策によって今春以降、モデルルームが非常ににぎわった。しかし、名古屋では動きがなかったという。ローン減税のメリットを最大限に受ける物件が少なく、政策的にあまり効果が上がらなかったと指摘する販売事業者と一般消費者の声が多い。フラット35の利用者も、東京や大阪は調子がいいが、名古屋は違ったという。一歩ひいて他人の状況を見てから動く県民性を指摘する声があったが、実情は戸建住宅志向の県民性が影響している。フラット35の利用者はマンション購入者のウエートが多い。マンションの耐久性は高くなかなか資産価値が値崩れしない。 「 特に名古屋市内では場所によっては築後10年経過しても約6%しか資産価値が落ちない 」 ( 全宅連愛知県支部 ) 。しかし、戸建住宅は10年経過すれば資産価値はマンションに比べだいぶ落ちる。戸建住宅で35年ローンを組む人はほとんどいなくて家の建て替えやリフォーム時期を考慮し、ローンは20年〜25年にするという。

今回の取材で今後の展望を聞いたところ、愛知万博跡地の開発が進んでいないことに不満の声を上げる人が多かった。大阪万博後のように千里ニュータウンができてもおかしくないという見方だ。愛知万博開催によって既に上下水道や電気網は整備されており、いつでも優良な住宅地になりそうだからだ。各事業者は、ここを起爆剤に住宅マーケットを活性化して欲しいと考えている。


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