第3話 
競売物件・現地調査の方法とポイント ( 30 )

「 よし、全部わかった。これから入札だ! 」
危ない危ない、大事なステップが抜け落ちています。
それは … 「 現地調査 」!

競売には物件明細書というものがあります。不動産競売の物件明細書は、裁判所から依頼を受けた執行官が現地に足を運び、各種調査をして作成した詳細な物件調査書です。法務局や行政で調べた公的調査、過去の販売事例や路線価から割り出した標準価額、そして、占有者や近隣住民の主張を聞き、外観だけでなく内部にまで調べ上げ、物件を阻害する要因も事細かに調べ上げ、売却基準価額に反映させています。

しかしながら、調査日時は、入札開始日時の数ヶ月前。つまり、執行官が調査した時からどれほど変化したのかまで記載されていません。だからこそ、入札を決断する前には、必ず現地調査が必要となるのです。

藤山勇司

入札前必須の現地調査ですが、準備も無く、現地に向かっても得るものは余りありません。事前に調査事項を確認し、必要なツールを揃える必要があります。

調査のポイントは、環境・建物・そして、占有者の 3点。

必要なツールは、デジタルカメラ・ 3点水準器・建築用メジャー ( 5.5m以上 )。
勿論、筆記用具物件明細書も必要です。

最寄りの駅に着いたなら、順路に従い物件まで歩いて下さい。コンビニの数や日用品店舗の存在など、自分が住んだとして不便かどうかを確認するのです。バス便の場合は、時刻表をチェック。特に、朝夕の通勤時間の便数を確認して下さい。そして、こと有る毎に写真を撮るのです。編集は後で考えれば良いでしょう。

周辺に近づいたなら、道路の幅員と清掃度、自家用車の種類、そして、近隣住宅の生活レベルに注意を払ってください。不動産の価値は近隣環境を含めた立地です。薄汚れた街並みの中に、ひと際豪華な住宅があったとしても、高額な家賃は望めません。

そうこうする内に、現地に近づくわけですが、道路の幅員は不自然に狭くなってはいなかったでしょうか。もし、道路幅が 2mに満たない箇所や、隅切りのしていない角地があったとしたら、車の通行は困難かもしれません。

藤山勇司

現地に着いて、最初に行うのは、物件調査で確認した建物が本当にあるかどうか。笑い事ではありません。火事で消失している可能性もあるのです。物件そのものが火事になっていないとしても隣が火事を起こし、物件が被害を受けている可能性もあります。

つぎのチェックポイントは建物の基礎。地面と基礎の間に隙間があったり、不自然にアスファルトが盛られている場合は、地盤沈下の可能性があります。マンションの場合は植栽の手入れ。必要の無い植栽がキチンと手入れされているマンションの管理は適正に行われている証拠と考えて下さい。又、建物の壁に 3点水準器を当てて、建物の垂直度を測ることも忘れてはなりません。

中古不動産は時間の経過により、悪い箇所は露呈しています。入念に調べれば、建物の不具合は発見できるので、おろそかにしてはなりません。仮に、不具合が発見できないとしたら、その物件は優良物件。購入した後も致命的な不具合が起こる可能性は低いのです。比較対象は物件明細書の記載事項です。物件明細書に記載された内容とどう食い違っているのかを確認してください。

さて、問題は物件の占有者。物件明細書に記載されている占有者は実際に住んでいるでしょうか。もし、住んでいると記載されているにもかかわらず、人の気配がしない場合は要注意。致命的な欠陥が起こった可能性は否定できません。入札を取りやめる勇気を持ってください。

占有者の人となりは、近隣住民の証言から確認できます。入札者本人としてではなく、仕事で調査をしていると断れば、近隣の住民も口が軽くなります。

藤山勇司

最後に、最寄りの駅に戻るわけですが、このまま帰るのは勿体無い。駅に近い、町の不動産屋を数軒訪ねることをお勧めします。最初から不動産競売物件を調査に来たと言うのではなく、投資物件を探しているという態度で入店すると良いでしょう。自分と馬があうのかどうかは1分もすればわかるもの。好ましい不動産屋に巡り合ったなら、物件近くの情報も聞き出しては如何でしょうか。

不動産競売は入札すれば、必ず落札できるものではありません。ですが、こうした現地調査を重ねる毎に皆さんの物件調査能力は飛躍的に向上します

2009年3月10日掲載

藤山 勇司さんのご紹介

藤山勇司オフィシャルサイト
不動産競売格付センター981.jp

サラリーマン家庭の三男として生まれる。

大学卒業後、商社へ入社。在職中からサラリーマンとの兼業 「 大家さん 」 に挑戦。勤めていた会社が突如倒産し、失業。

その後、専業 「 大家さん 」 に転身。 現在はアパート・マンション 87戸、駐車場などのオーナー。

総資産 4億 7千万円強、毎月の不動産収入は 350万円を超え、今もなおその資産は増え続けている。

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