【スイス発】プライベートバンクの誤解  7,686 アクセス

■スイスの不動産事情

スイスに来て約3カ月が過ぎました。
ここスイスの街角では、日本では考えられないようなたくさんの高級車が街中を走っています。またホームレスのような浮浪者を見かける事はほとんどなく、全体的に所得の豊かな国民性を感じます。

一方で国民の労働時間はそれほど長くありません。午後5時頃には皆仕事を終えて、夜の9時過ぎまで明るい黄昏時をそれぞれマイペースで楽しんでいます。夏休みも長く3週間も取る人がざらにいます。

さて、スイスの不動産事情はといえば、とにかくゆったりとしたスペースが基本です。地震がほとんどないせいか築100年以上が当たり前という家並みが続き、街の景観も損なわないようにきちんと統一されています。 特に緑の割合が多く、並木道や芝の公園があらゆるところにあり、市民の憩いの場所となっています。

賃貸事情はといえば、礼金や敷金といったものはなく、部屋が気に入らない場合、短期間でもスイッチが可能というシステムが一般的です。
我が家は現在、トライアル的に毎朝庭先にリスが遊びに来る広い庭の住居を賃貸中ですが、東京と同じ家賃で約3倍の広さがあります。居住スペースと精神的ゆとりは比例することを実感中です。

また、こちらは日本と違い相続税がゼロです。長年のスイス人の友人は親から譲り受けた地平線の見えるような庭のついた豪邸( お屋敷 ) で生活をしています。彼の一軒家の内装リフォームに数億円をかけたという話を聴くと本当に夢の「 別世界 」のような感じを受けます。

ヨーロッパの文化の魅力は、長い年月をかけ、家や物を世代を超えて大切に大切に使っていくという哲学、考え方が浸透していることにあると思います。
日本の子ども達へ美しい街並みを残し伝えていくという観点からみると、大田区田園調布でいま起きている現象のように、相続税のために土地を切り売りして街並みを壊していく日本の税制のあり方に、はなはだ疑問を感じます。

■プライベートバンクを利用できる最低預金額は?

さて、日本人の「 プライベートバンク 」に対する大きな誤解のひとつに、口座を開ける人は少なくとも数億円以上の現金資産があり、また特別なコネがないと面談 さえしてもらえないと思っているということがあります。

実際には、歴史のある「 本当のプライベートバンク 」と認められている銀行は スイス・プライベートバンカーズ協会に属する株式会社でなく、無限責任のパートナー制の13行のみであり、これらの銀行は、特別なコネを必要とせず預金額も5000万円からスタートできるところが大部分です。

いったいなぜ、日本国内で上記のような誤った情報が蔓延したのでしょう?
そこには、情報の少ない中、日本のプライベートバンクをとりまく関連業者 ( ブローカーや紹介業、国内金融機関や投資顧問業者など )たちが それぞれの利益を得やすい立場から勝手な情報を伝え、何も知らない一般人を思い通りに操る意図があったように思います。

■現在のスイスPBの守秘義務について

さて、ここからはスイスのPBの守秘義務についてのお話です。日本は、口座に入金があるとすぐに銀行のセールスマンから電話がかかって来て、銀行員のノルマ達成のために金融商品を購入してくださいとお願いされるという、守秘義務も何もあったものではない異常な光景が日常茶飯事です。

一方、スイスでは顧客の秘密を守ることは当たり前とされています。
しかし、リーマンショック後の2008年、他国が税収を上げたいが為、顧客の個人情報の買い取りをもくろむという事件がありました。この時は、ごくごく一部のスイスやリヒテンシュタインのプライベートバンキングをしている株式会社銀行が、顧客情報を他国の税務当局に売り渡し漏らしました。

また、スイス銀行大手のUBSが米国人の脱税を幇助していたことから米政府に一部の顧客情報を提出したという事件もあり、マスコミでは「スイス神話が揺らいだ」と一時的に騒がれました。
当時、海外投資を扱う日本の業者がここぞとばかりに、スイスより、地理的にも日本に近い香港やシンガポールに口座を開き金融サービスを受けるようPRしていたのは記憶に新しいところです。

さて、数年経過したその後、スイスの守秘義務はどうなったでしょうか?
現在、スイス・プライベートバンクでは、まるでなにごとなかったように粛々と守秘義務が守られています。特に、従業員が100人以下といった小さな銀行やスイス国内にしか支店のない銀行は、スイスの金融法以外は患うことが無いのですから、そもそもこれらの一連の事件に全く関与していないのです。

さて、次回は多くのご質問を受けるスイス・プライベートバンクの財務状況や、銀行の経営者( パートナー )のPBを経営していく目的( 目からウロコです )のお話しをしていきたいと思います。

廣瀬神志・風生花さんのご紹介

廣瀬神志さん、風生花さんご夫妻のブログ
「 オーガニックな毎日 」


廣瀬神志 ( ひろせこうし )さん

プライベートバンク研究所 代表
スイス銀行(PrivateBank)研究家
個人向ポートフォリオ研究家
執筆家・作家

欧米生活通算10年。
慶応義塾大学卒業後(専攻:計量経済学)、国内の大手企業に17年間勤務。経理・財務・国内海外営業・経営企画等を担当。5年間を海外企業派遣にて英国国立大学院への留学(経営学修士・博士前期課程修了)。英国留学時より級友の使用していた欧州富裕層向けの金融機関である、スイスのプライベートバンクに興味を持ち研究を始める。
日本においては、プライベートバンクの情報が少なく、しばしば悪質なトラブルが起きている事を問題視。世界中の富裕層が利用しているプライベートバンクは、大切な資産を安心して堅実に運用していくための良い方法であり、日本人は更にもっとプライベートバンクについて知るべきだと考え、個人のホームページを通じて啓蒙活動を行ってきた。
会社を退職した後、自分自身の実際の口座開設体験を元に 下記2冊のスイスプライベートバンク関連著書を夫婦共著で発表。
現在PBコンサルテーションと二人の息子の育児に奮闘中。

風生花 (ふうか)さん

スイス銀行(PrivateBank)研究家
投資家

天性のひらめきと行動力で常識にとらわれず前進(突進!?)する、憎めないお茶目な妻。

【 廣瀬 神志さんの著書 】

   51. 世界一素敵な国際都市「バーゼル」の魅力   ( 5,477 アクセス )
   50. 間違いだらけのプライベートバンク選び   ( 5,485 アクセス )
   49. 【スイス発】プライベートバンクの誤解   ( 7,686 アクセス )
   48. 「 プライベートバンクの秘密 」について   ( 5,858 アクセス )
   47. 教育難民に両足を突っ込んでみて   ( 4,167 アクセス )
   46. 都内のお受験で最も有利な投資物件   ( 5,296 アクセス )
   45. わが家の小学校お受験騒動 ( 番外編 )   ( 4,587 アクセス )
   44. 崩壊に向かう現代日本社会への処方箋【後編】   ( 4,115 アクセス )
   43. 崩壊に向かう現代日本社会への処方箋 【 前編 】   ( 4,638 アクセス )
   42. 富裕層の国スイス、心も富裕層   ( 5,350 アクセス )
   41. 富裕層の結婚式〜スイス編〜   ( 4,683 アクセス )
   40. 本物の富裕層はなぜ日本の銀行や証券会社を信用しないか。Part3   ( 6,450 アクセス )
   39. 本物の富裕層はなぜ日本の銀行や証券会社を信用しないか。Part2   ( 6,887 アクセス )
   38. 本物の富裕層はなぜ日本の金融機関の資産運用部門を信用しないか   ( 5,984 アクセス )
   37. サラリーマン長者(億リーマン)にあなたもなれる!? Part 3   ( 5,057 アクセス )
   36. サラリーマン長者(億リーマン)にあなたもなれる!? Part 2   ( 5,498 アクセス )
   35. サラリーマン長者(億リーマン)にあなたもなれる!?   ( 6,000 アクセス )
   34. 富裕層の夏休み その2:フィンドホーンでの気づき   ( 4,582 アクセス )
   33. 富裕層の夏休みの過ごし方   ( 4,550 アクセス )
   32. 富裕層の勉強の仕方・語学編 その2   ( 3,908 アクセス )