[ ● 落合淑彦さんのコラム一覧 / 全18 話 ]
|
● 最悪の制度!?民主党の「給付付き税額控除」で大家業はどうなる? 2,479 アクセス |
|
健美家さんから、「 コラムを書きませんか? 」とお誘いを受けたのは昨年6月、「 全国大家ネットワーク 公開シンポジウム 」の直後でした。そのあと、7月〜9月に消費税をテーマに14話分を一気に執筆し、健美家さんに提出していました。 そして9月、民主党3人目の首相として野田政権が発足。新聞やニュースでも報道されているとおり、その後、消費税の10%増税案は着実に現実味を帯びてきました。私がコラムを書き始めた7月とは状況が随分変わっています。 当初、消費税関連は前回の第14話で終わりの予定でしたが、今回、「 消費税 」の締めとして、民主党が進めようとしている消費税の制度が、大家業にどんなに大きな影響をもたらすかについて紹介します。 難しく感じるかもしれませんが、すべての大家さんの利益に直結する大切なことですので、ぜひ読んでいただければと思います。 ■ 民主党の古川元久議員に送ったメール 私が消費税を本気で独学で学び始めたのは、政権交代前の2008年秋、福田首相の突然の辞任で、麻生太郎氏と与謝野馨氏が自民党の総裁選を戦ったときからです。 このとき、与謝野馨氏は消費税増税を本気で主張しており、もし与謝野氏が勝ったら、消費税の増税がおこなわれると私は危機感を持ちました。 麻生政権は事実上「 選挙管理内閣 」でしたが、政権交代直前に古川元久現・国家戦略相が民主党の税務担当であることを知った私は、古川氏に「 政権を取ったら、民主党は消費税・非課税の問題点につきどう考えますか? 」とのメールを送りました。 そうしたところ、古川氏から、「 民主党は消費税増税の暁( マニフェストにいは一言も書いていない )には、【 給付付き税額控除 】により逆進性の解消を図る 」という内容の返信が届きました。 【 給付付き税額控除 】という制度を知ったのは、そのときが初めででした。 その意味を調べてみると、考え方としては理にかなった制度ではあります。簡単に説明すると、次のようになります。 1、金持ちもそうでない人も、生活に最低限必要なコストは決まっている。その生活必需品に対しては、消費税を事実上課税しない。 2、例えば、年間一人当たりの生活必需品に対する支出を100万円( 税抜 )とする。消費税が10%となれば、国民は税込で110万円支払うことになる。 3、110万円のうち、10万円が消費税だから、これを原則「 税額控除 」する。ただし、所得が低く、支払った消費税が10万円以下の納税者に対しては、「 給付 」という形で還付する。 この方法なら、VAT先進国である欧州が導入している「 複数税率 」のように税制全体が複雑となることもなく、正しく「 生活必需品に対する消費税負担をなくす 」ことができます。 ■ 納税者が持ち家か賃貸かを区別する方法 しかし、これには2つの問題があると私は考えます。 1、この考え方は民主党がいう「 控除から給付 」という考え方に反すること。 確かに、低額納税者に対しては「 給付 」となりますが、基本的に「 人一人当たりの還付税額計算 」は「 人的控除の考え方 」に他なりません。 2、どうやって生活必需品の支出をとらえるのか? ということ。 基本的には上記のように「 人的控除 」となるものの、たとえば現在非課税である賃貸の家賃を支払っている人と、課税である持ち家に住んでいる人では、現状消費税の支出額が明らかに違います。 納税者の住まいが持ち家か賃貸かは、どのようにして把握するのでしょうか? 現在は非課税である「 医療費 」についても課題が残ります。もし、この制度を厳密にするのなら、現在は「 10万円以上 」の医療費控除の仕組みを、サラリーマンも自営業者も「 1円 」から申告する必要が出てきます。 社会保障制度改革の一環として「 国民総背番号制 」の導入が予定されていますが、どのような手法を取るにせよ、国民一人ひとりの住まいまで完璧に補足しない限り、正しく税額控除・還付することが難しいのは明らかです。 このように、消費税の増税による逆進性の問題の解消のために、「 現在の非課税制度を廃止し、給付付き税額控除に一本化する 」という案を採用した場合は、いくつかの問題が残ります。 ■ 増税のタイミングは理不尽な制度を見直すチャンス しかし、実はこれらの課題を解決することは簡単です。 「 現在の非課税制度はそのまま継続し、新たに食品等生活必需品に対する支出に対してのみ、【 給付付き税額控除 】を適用する 」とすればいいのです。 なぜならば、表向き現在の非課税制度はまったく問題がないと見なされているからです。実際、消費税増税の議論に際し、非課税のことは一言も議論になっておりません。 大家の皆さん、ここでよく考えてください。 既に当コラムでお知らせしたように、私たち大家は、平成3年の10月以降、事実上「 仕入にかかわる税額 」を搾取され続けています。 この問題を解決するには、非課税の問題点を広く国民に知ってもらい、我々が自腹を切らされている税額を正しく家賃に転嫁できる制度にするか、なんらかの「 別の手段 」を打ち立てるしかありません。 前者は、過去20年以上の間、政府( 財務省 )が「 臭いものには蓋 」という対応をしてきました。この先、改めて手を打つ可能性は低いでしょう。残るはもうひとつの「 別の手段 」です。 その方法のひとつとして、例えば私が第14話でご紹介した「 免税売上化 」がありますが、これには「 税収の減少 」が伴います。 ということは、もしこの先、増税する場合には、減税の分も含めて増税額を考察する必要があるということです。 そう考えると、増税のタイミングはまさに、私たち大家からの搾取( 現状の大家にとって理不尽な制度 )を止めさせる数少ないチャンスといえるのです。 ■ 消費税割合が増えるたびに搾取額も増える 大家の皆さん、お気づきですね? もし、現行の「 非課税制度 」を温存し、民主党のいう「 給付付き税額控除 」が導入されれば、この先何十年と、私たち大家は、本来なら支払わなくてもいはずのお金を国に納め続けることになります。 消費税が5%から10%になれば、搾取は倍額になります。 2億の建物を購入したら、2,000万円の搾取です。 1月に国会が始まり、消費税の議論が深まるかと本日まで最終稿を待ちましたが、そのような議論は全くありません。このまま座して待っていては、間違いなく「 非課税温存・給付付税額控除 」という最悪のシナリオが現実化されます。 皆さん、本当にこれでいいのか、大家という立場を乗り越えて、「 国民=主権者 」の一人として消費税増税について、本気で考える時と思いませんか? いずれ、消費税をテーマとした勉強会かセミナーを開催したいと思います。その際には当コラムで告知させていただきます。 < 消費税 終わり > 落合が発起人のひとりになっている大家さんのための組織です。 ぜひご参加ください。 ⇒全国大家ネットワーク |
落合淑彦さんのご紹介 ![]() 4棟50室管理の専業大家 行動する大家さんの会スタッフ 全国大家ネットワーク会員 行動する大家さんの会のHP 行動する大家さんの会スタッフのブログ 全国大家ネットワークのHP 1959年生まれ、東京都出身 早稲田大学卒業後、事務機メーカーに入社、海外営業および国内マーケティングを担当。 2006年、相続をきっかけに23年間勤めた会社を退社し、専業大家に。 2011年、不動産賃貸業を取り巻く環境や法律の理解と改善を目的に「 行動する大家さんの会 」を大家仲間6人で設立。 話題の更新料問題、消費税問題などに真正面から切り込むちょっと過激で真摯な姿勢が、大家仲間から珍しがられている( 「 珍しがられている 」の部分は本人談 ) ■所有(管理)物件 ・RC4階建て14戸 ( 築40年の木造アパートを建て替え ) ・RC3階建て12戸 ( フルリノベーション中 ) ・RC4階建て20戸 ( フルリノベーション中 ) ・軽量鉄骨4戸 場所はすべて静岡市内。 5年前に物件を引き継いでからの平均空室率は3.7%。 ![]() |
[ ● 落合淑彦さんのコラム一覧 / 全18 話 ]





