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初心者でも取り組みやすい?「高齢者向きハウスシェアリング」を考える

赤尾宣幸さん_画像 赤尾宣幸さん 第10話 著者のプロフィールを見る

2019/2/17 掲載

コラム第1話で述べた「 高齢者向きアパート 」は、高齢者向けの限定ではなく、高齢者も取り込んで築古アパートを活用・再生するスキームだ。築古とはいえ、アパートは規模がそれなりに大きいので結構な金額となる。

戸建てであれば、資金も少なくて済み、物件は豊富で、初心者にも取り組みやすいだろう。そこで、戸建てで高齢者向きアパートのようなビジネスモデルができないか考えてみた。

■ 真っ先に思い浮かぶ「 シェアハウス 」

戸建てを部屋単位で貸し、リビング・キッチンやバス・トイレは共用部として利用する。共用部ではコミュニティが期待できる。賃料はアパートより割安にできるし、水道光熱費も入居者が個別契約するよりは割安にできる。

1階の部屋は高齢者、2階は若い人やシングルマザーに入ってもらえば、多世代居住が実現し、お互いにメリットが出る。しかし、シェアハウスは「 寄宿舎 」に該当し、普通の戸建てを転用するには「 用途変更 」が必要だ。

確認申請が必要でない場合でも、法的規制のクリアや、消防・自治体との調整もあり、結構な手間と労力が必要だ。

■ URの「 ハウスシェアリング 」という考え

シェアハウスは用途変更やハード面での投資などで、参入障壁がある。しかし、URはハウスシェアリングという考えを導入している。これはシェアハウスではないという。

URのホームページには「 家族だけでなく友達同士でもひとつの物件にお住まいいただけます。これをハウスシェアリングと言います 」とある。
参照:http://www.ur-chintai-info.com/feature/detail_05.html

ひとつの物件でシェアハウスと同じように、複数の人が住むことが可能という。この考えを戸建てに適用すれば、ひとつの建物に複数の高齢者が生活できる「高齢者向きハウスシェアリング」が合法的に可能となるはずだ。

■ メリットも大きい高齢者向きハウスシェアリング

高齢者向きハウスシェアリングが成立すれば、数々のメリットが享受できる。最大のメリットは「 孤独死がほぼゼロになる 」ことだ。大家としても心配で、大きな社会問題となっている孤独死問題が解決できる。そのほかにもメリットは多い。

・少ない自己資金で事業が開始できる
・戸建てとして貸すよりは家賃収入が増え、高利回りになる
・「 事業 」として融資を受けることで、資金調達が容易になる
・事業がうまくいかなくなった場合は「 戸建て 」として貸したり、売却することで撤退が可能
・コミュニティや、割安な水光熱費・家賃など、シェアハウスのメリットが享受できる
・長期入居や多世代居住など、高齢者向きアパートのメリットが享受できる
・住まいに困っている高齢者は多いので、今のところ客付けは容易
・空き家を活用すれば、空き家問題の緩和になる

■ 想定される問題点

もちろん、メリットばかりではない。問題点も想定される。大前提として、アパートより規模が小さいので入ってくる家賃の「総額」が少ない。アパートに比べ、家賃は少なくて手間はかかることになる。

それ以外にも、入居者間のトラブル、共用部分の管理などシェアハウスと同じ問題点が想定される。一般的なシェアハウスと大きく違うのは「 高齢者 」ならではの問題点だ。

第3話にその概要と解決策を示したが、ハウスシェアリングでは4、5の問題は無くなるとみていいだろう。

転倒防止や日々の生活のための工夫が必要だったりするが、多くの高齢者にとって「 バリアフリー 」は必須ではない。手すり設置や、段差の緩和・明瞭化で対応できることが多い。第5話の手法でほぼ解決可能だ。

火災時のリスクもある。これは第3話の手法で緩和可能だ。出火原因の3割を占めるストーブ・コンロを廃止すれば、出火を減らすことが可能だ。

音声タイプの煙感知器採用・石膏ボード追加による難燃化・2方向避難路確保などで避難しやすくすれば被害緩和が可能だ。避難時には入居者同士での助けあいも期待できる。

認知症や徘徊などのリスクも想定されるが、これらの心配のある人や、そのような状態になった時は老人ホームや、特養を利用していただくことにすればよい。

理想は終の棲家だが、すべての人の終の棲家である必要はなく、そういう状態になった時は「 専門 」の施設を活用する。そういう考えでいい。そこは住み分けをすることで、社会的コストの削減が図れるはずだ。

■ 介護等を提供すれば老人ホームに。FBで情報交換中

ただし、注意すべき点がある。介護、食事、掃除といった「 介護等 」を提供すると「 老人ホーム」 になる。自治体によって判断基準が違うが、入居者の中に「 高齢者 」が居て、介護等を提供すると、老人ホームとなり、届け出なければ違法となるので、注意が必要だ。

メリットの多い高齢者向きアパート&ハウスシェアリング。FBのグループを作って情報交換をしている。実際に稼働に向けて準備を進めているメンバーもいるので、進捗があれば報告したい。


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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

赤尾宣幸さん

赤尾宣幸さんあかおのぶゆき

福岡県宗像市在住
不動産賃貸業
デイサービス事業運営

FBにて以下のグループを主宰
DIYを楽しむ会
不動産イベント倶楽部
居酒屋セミナー
高齢者向きアパートの会
DIYを楽しむ大家の会

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1960年
    福岡生まれ

    □1978年
    日本国有鉄道入社

    □1980年
    中央鉄道学園大学課程入学

    □1983年
    中央鉄道学園大学課程土木科卒業

    □1993年
    自己所有マンションを賃貸にして賃貸経営開始

    □1996年
    キリン・ドラフトマスター取得

    □1997年
    日本初の複数のテナントが入るフードコート「小倉食堂」を立ち上げ

    □2002年
    妻の夢実現のためにデイサービスを立ち上げる

    □2003年
    西日本旅客鉄道退社

    □2007年
    介護タクシー開業

    □2009年
    高齢者向きアパート開業

    □2011年
    九州経済産業局 専門家登録

    □2022年
    デイサービス事業と不動産賃貸業を行いながら、自身の夢である「高齢者向きアパートの普及で一人でも多くの人が幸せを感じてもらうこと」に向けて執筆やセミナー等を行っている

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