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「安易な考え」の無断リフォームが大きなトラブルに。DIYの前にちょっと考えてみよう

赤尾宣幸さん_画像 赤尾宣幸さん 第39話 著者のプロフィールを見る

2021/8/1 掲載

7月10日の西日本新聞で、賃借人が無断で部屋をリフォームし、貸主側とトラブルになっているという記事を見た。

賃貸物件の模様替え「原状回復」できればOK?( 西日本新聞 )

記事によると、概要はこんな感じだ。


①賃借人はマンションの1室を借りてレンタルスペース事業を経営
②契約書では貸主の承諾なしに増改築や模様替え、工作物を設置することなどを禁じ、違約金として家賃6カ月分( 約30万円 )を定めている
③賃借人は契約直後、壁紙をリビングなどに張り、トイレのタンクを手製の木の棚で覆った。壁紙は剥がせるタイプで、棚もくぎやねじは使わず、取り外し可能という。賃借人は「 元通りにできるので問題ない 」と考え、管理会社には知らせなかった
④換気扇の修理で、室内に入った管理会社の担当者が壁紙や棚に気付いた。貸主側は違約金約30万円を請求した
⑤賃借人は弁護士に相談した上で「 原状回復すれば損害は発生しない 」などと支払いを拒否。貸主側は違約金の請求は取り下げたが、原状回復には「 業者の見積もりで約70万円かかる 」として「 敷金 」70万円の預託を求めた


賃借人は「 根拠がない 」と拒否し、新聞社に話を持ち込んだ。

■ どうすればよかったのか?

この記事だけで、すべてを把握できるわけではないが、この記事の情報がすべてで、かつ正しいと仮定し、自分だったらどうするだろうと考えてみた。

まず①について。これは物件が「分譲マンション」であれば大家が注意すべき事項だ。分譲マンションでは、住居以外の使用を禁止していることがある。レンタルスペースなど事業用の使用は認められないこともあるので、マンション管理組合への事前確認が必要だ。

以前、住宅用分譲マンションを、宿泊施設として貸すことが流行ったことがある。私が理事を務める分譲マンションでも、管理規約に反した宿泊施設が営業され、他の居住者に大きな迷惑をかけ、その対策に苦慮した経験がある。

分譲マンションを賃貸するときには、大家はまず管理規約を確認しなければならない。仲介会社はそれを知らないこともあるかもしれないし、知っていても言い忘れたりするかもしれないので、大家としてしっかり確認することが重要だ。

次に②について。契約書に「 貸主の承諾なしに増改築や模様替えを禁止 」とあるので、賃借人はこれを守るべきである。承諾なしで勝手に壁紙を貼るのは模様替えに相当し、契約に反する。

次に③について。契約直後に貸主の承諾なしに「 壁紙を貼る 」という模様替えを実施している。賃借人が主張するように「 物件を傷つけず原状回復 」できるのであれば、大家としてはあまり問題がないので、事前に相談していれば承諾されていたのではないか。承諾を得ていれば何のトラブルにもならなかったはずだ。安易な考えで、無断で模様替えを実施した賃借人の大きな過ちだ。

次に④について。契約に定めた以上、それは、お互いに守る必要がある。30万円が妥当かという疑問はあるが、違約金をとると契約したのであれば、私が大家なら違約金を請求する。その結果、裁判になったり、退去されてもそれは仕方ないと思う。

このトラブルは、賃借人の壁紙は剥がせるからいいだろう、棚は置くだけなのでいいだろうという「 安易な考え 」が大きな誤算だ。事前に相談すれば何のトラブルにもならなかったかもしれない。

DIYを楽しむ人が増えてきて、「 安易な考え 」でDIYをしてしまう事がある。DIYでも、やっていいこと、やってはいけないことがある。

■ DIYをトラブルの元にしないために

賃貸物件であれば、賃借人は退去時に原状回復義務を負う。わかりやすく言えば「 通常の使い方をしていても生じる損傷や変化 」以外は元の状態に戻さなければならない。だから、壁紙を貼り替えたり、ペンキを塗ったりすれば、退去時は元に戻すのが原則だ。

この事例では、契約でも「 貸主の承諾なしに増改築や模様替えを禁止 」しているので、もっと問題だ。「 剥がせる壁紙 」であっても、契約に定めたように大家の承諾がなければNGだ。壁紙を無断で貼った時点で、契約を守っていないことになる。

また、分譲マンションの場合は管理規約に定めがあるので、それを守らなければならない。専有部分だからといっても、安易な考えで勝手にDIYしてはいけない。例えば畳をフローリングにする際は、床材の指定があったりすることがあるし、そもそも畳の部屋をフローリングにすること自体が禁止だったりすることもある。

さらに、法も考えなければならない。例えば、内装制限というものがある。建物によっては火を使う場所は不燃材料でなければ使用できなかったりすることもある。

そういう制限や注意事項を知らないでDIYをしている人を散見する。知らなかったばかりに、楽しいはずのDIYがトラブルや悩みの種になったりする。そこで、そういうことがないように警鐘を鳴らす意味も込めて「 DIYの楽しみ方 始め方から築古再生まで~DIYで大家になった私の『考え方』」(セルバ出版)という本を書いた。



DIYの始め方、楽しみ方、考え方、道具のそろえ方に加え、DIYで注意すべき点や、物件の見方、リフォームの考え方、DIYで大家になった私の事例も書いた。DIY好き大家の一人として、多くの方にDIYを正しく楽しんでいただき、DIYで夢を膨らませてほしいと願っています。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

赤尾宣幸さん

赤尾宣幸さんあかおのぶゆき

福岡県宗像市在住
不動産賃貸業
デイサービス事業運営

FBにて以下のグループを主宰
DIYを楽しむ会
不動産イベント倶楽部
居酒屋セミナー
高齢者向きアパートの会
DIYを楽しむ大家の会

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1960年
    福岡生まれ

    □1978年
    日本国有鉄道入社

    □1980年
    中央鉄道学園大学課程入学

    □1983年
    中央鉄道学園大学課程土木科卒業

    □1993年
    自己所有マンションを賃貸にして賃貸経営開始

    □1996年
    キリン・ドラフトマスター取得

    □1997年
    日本初の複数のテナントが入るフードコート「小倉食堂」を立ち上げ

    □2002年
    妻の夢実現のためにデイサービスを立ち上げる

    □2003年
    西日本旅客鉄道退社

    □2007年
    介護タクシー開業

    □2009年
    高齢者向きアパート開業

    □2011年
    九州経済産業局 専門家登録

    □2022年
    デイサービス事業と不動産賃貸業を行いながら、自身の夢である「高齢者向きアパートの普及で一人でも多くの人が幸せを感じてもらうこと」に向けて執筆やセミナー等を行っている

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