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高齢化と過疎が進む築50年団地型マンション。問題は根深いが解決する手法を考えてみた

赤尾宣幸さん_画像 赤尾宣幸さん 第61話 著者のプロフィールを見る

2023/6/2 掲載

福岡県内にある3棟70戸の団地型マンション。私は15年前に1室を購入し、賃貸中だ。コロナ以来、リアルな総会は開かれず、書面や役員だけの総会が続いていた。今回久しぶりに「 参加してもいいよ 」という案内が来たので行ってきた。

マンション管理は「 経費削減 」ということで、自主管理だ。役員は「 居住している所有者 」が頑張ってくれている。役員のなり手が少なく、同じ人が継続している。

一方で、非居住所有者は口を出すなという感じが強い。昨年はゴミステーションを特注で作るというので、同じようなサイズ・機能を持つ市販のゴミステーションを探し経費削減を提案した。しかし、「 住んでない人には事情が理解できない 」と言われ却下された。

このマンションは昭和48年築で、所有者も居住者も高齢化が進んでいるようだ。15年前の総会出席者は50人くらいだった。総会出席者数はだんだん減ってきて、今回は16人。15年前の三分の一だ。委任状が33で、欠席は21と多い。

理事長によると、70戸中16戸が老人ホーム入居や相続で空室。居住者で75歳以上の人は28人、非居住所有者は30人という。管理費等の滞納者は4人。11~29カ月の滞納で、うち2人は「弁護士を通さないと連絡が取れない」という。

29カ月の滞納者に「 法的処置をとる 」ということを、昨年臨時総会を開いて議決した。その臨時総会は「 コロナなので 」非居住者は来るなという雰囲気だった。その後、弁護士費用を払ったが滞納は依然解消されていない。

このマンションは約60㎡の3DK。南向きで日当たりが良く、敷地もゆったりしている。JRの駅からは徒歩30分だが、バス停が徒歩3分のところにありバス便は良い。敷地内に駐車場が確保できる。

保育園は1km圏内に3か所、小学校は1.3km、中学校は0.4kmの距離にある。コンビニもスーパーも0.2km以内にある。子育てにも悪くはない。

課税明細書によると土地の持ち分は1戸当たり約300万円、管理費等の繰越金は1戸当たり約115万円ある。しかし、現在売りに出ている物件は200万円前後だ。家賃は4万円程度で、管理費等を差し引くと年間30万円程度、利回り15%くらいになりそうだ。

■ 一番の問題は独裁管理の土壌が生まれること

このマンションの高齢化と空室増加問題。どうすればいいか考えてみた。

敷地内駐車場があり、利便性も悪くないので、それなりにニーズはあるだろう。ペット可にすれば、入居確保が有利になり、家賃も上げられるかもしれない。若い人が増えれば高齢化問題も緩和される。

しかし、ペットは禁止で、現在の理事会では認めてもらえそうもない。一番の問題点はここだと思う。居住する自分たちだけの都合で考え、非居住所有者の意見は聞かないぞという風潮だ。

また、高齢化によって役員という仕事が難しくなっている人が多いのに、「 経費削減 」のために自主管理を続ける。その結果、同じ人が役員となり続け、「 独裁管理 」の土壌が生まれる。ここに自主管理の大きなリスクがある。

自主管理は管理委託する経費が掛からないが、問題もある。例えば、ノウハウがないと修繕や保険などで、適正なものを選ぶことができないかもしれない。

大規模修繕も時期や方法を適切にできないと大変なコスト増になる。管理費滞納などの問題解決を弁護士に頼っても、マンション管理に詳しくない弁護士だと適切な結果が期待できない。

一番の問題は、「 大事なことを決める時に、理事長の思い込みに結果が左右されやすい 」ことだろう。「 俺が今まで頑張ってきたから 」というご高齢の理事長は、他人の意見を聞かないこともある。

別のマンションで、工事業者を理事長の独断で決めた事例があった。私が取引実績のある業者さんに見積もってもらったが受け入れられず、その見積もりより2割高い工事費で決まった。

理事長の独断独裁を嫌いマンションを手放す人が増えると、資産価値も下がりかねない。

■ 解決策は居住して仲間になるか、役員になって改革していくこと

じゃあ、どうするか? 一番いいのはそこに居住して「 仲間 」として認めてもらい、意見を述べる。あるいは役員となって改革していくことだ。

しかし、居住するとなると大変だ。そこで考えた。空いている16戸を全部買う。そして数を力に管理を変えていく。1戸200万円で買っても3,200万円。うまくいけばもっと安く買えるかもしれない。

アパートを買うより安いかもしれない。利回り15%ならば、検討の余地はあるだろう。仲間を募って買い占めてもいいし、一人で買い占めてもいい。ちゃんとした管理会社に管理を委託し、プロと相談しながら改善していく。

無謀とも思える考え方だが、ノウハウを持つ人の努力次第では不可能ではない。第44話に書いたように再生した事例もある。この時は理事長の理解が得られたので楽だった。そうでない場合は数を頼りに頑張るのがいいと思う。

参照:100万円以下だった売値が700万円に。管理組合を立て直してマンションを再生した話

できる大家がマンションを再生していく。凝り固まった自主管理マンションも、管理を変えていければ再生できるだろう。資産価値も向上し、売却で利益も確保できるだろう。

そしてそれは単なる金儲けではなく、高齢化や老朽化で荒れ行くマンションを救う一つの手段かもしれない。

■ 7月1日に名古屋でセミナーとブースの出展を行います

5月27日、大阪で大家さんフェスタがありました。たくさんの方にブースを訪れていただきました。セミナーもDIYと高齢者向きアパートの2本行いましたが、いずれも立ち見が出るほどでした。ありがとうございました。

次回は7月1日に名古屋で行われます。こちらも今回同様、ブース出展とセミナーを2本行います。ぜひいらしてください。

https://owners-style.net/seminar/detail/89442/
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

赤尾宣幸さん

赤尾宣幸さんあかおのぶゆき

福岡県宗像市在住
不動産賃貸業
デイサービス事業運営

FBにて以下のグループを主宰
DIYを楽しむ会
不動産イベント倶楽部
居酒屋セミナー
高齢者向きアパートの会
DIYを楽しむ大家の会

プロフィールの詳細を見る

経歴
  • □1960年
    福岡生まれ

    □1978年
    日本国有鉄道入社

    □1980年
    中央鉄道学園大学課程入学

    □1983年
    中央鉄道学園大学課程土木科卒業

    □1993年
    自己所有マンションを賃貸にして賃貸経営開始

    □1996年
    キリン・ドラフトマスター取得

    □1997年
    日本初の複数のテナントが入るフードコート「小倉食堂」を立ち上げ

    □2002年
    妻の夢実現のためにデイサービスを立ち上げる

    □2003年
    西日本旅客鉄道退社

    □2007年
    介護タクシー開業

    □2009年
    高齢者向きアパート開業

    □2011年
    九州経済産業局 専門家登録

    □2022年
    デイサービス事業と不動産賃貸業を行いながら、自身の夢である「高齢者向きアパートの普及で一人でも多くの人が幸せを感じてもらうこと」に向けて執筆やセミナー等を行っている

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