このコラムの読者の方は、サラリーマンの方も多いと思います。私は最近、日本のサラリーマンに関するあるデータを見てショックを受けました。
日本人の「勤務先に期待しない割合」は世界最悪、というのです。( 経済産業省の省内に設置された「 未来人材会議 」がまとめた資料 )
また、別の調査によると、従業員エンゲージメントは世界平均20%に対して、日本は5%。米国/カナダが34%、中国が17%、韓国が12%ですから、ここでも日本の低さは突出しているのです。( ギャラップ社の2021年調査 )
※従業員エンゲージメントとは、個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係がある従業員数の割合

加えて、「 現在の勤務先で働き続けたい人の割合 」は、日本は52%と調査対象国の中で最低な上に、転職したい人も25%で最低、独立・起業志向のある人の割合も16%で最低でした( パーソル総合研究所が2019年に行った調査 )


このデータから「 日本人は、自分の勤め先に不満があり、ずっと働き続けたいとは考えていないが、転職するつもりも、起業するつもりもない 」ということが浮き彫りになります。
なんてややこしい人が増えているのか、と思うのは私だけでしょうか…。この事態をどうにかしたい、自分に出来ることは何なのかと、真剣に考えてしまいます。
■ 日本企業の部長の給料はタイより低い
こんなデータもあります。日本企業の部長の給料はタイの部長の給料より低い、というものです。
私は若い頃から世界旅行が好きで、世界各地を見て歩いてきました。そんな私が、「 日本企業の部長の年収はタイよりも低い 」というデータを見た時は、驚きを通り越して、強い危機感を持ちました。( リクルートワークス研究所のデータ )

日本の一般的な企業では、課長、部長への昇進年齢が海外諸国と比較して圧倒的に遅いという特徴があります。それだけでなく、圧倒的に年収が低いのです。
私もそうでしたが、30代、40代でサラリーマンを続けていると、「 あれ、本当にこの会社でずっと働いていて大丈夫なのか? 」という気持ちになるものです。
現在私は50代に入りましたが、同年代の会社員の役職、年収を見ると、相当ミゼラブルな世界であることを痛感しています。いくら頑張っても会社員でいる以上、報われる年収の人はほんの一握りなのです。
タイほどのインパクトはありませんでしたが、東証一部上場企業の合計時価総額がGAFAM5社の合計に抜かれた、というニュースを見た時も、ショックを受けました。

データは切り取り方により、色々な見せ方ができますし、私は、日本という国の力がそこまで落ちているとも思いません。しかし、これらのデータは一つの指標としては参考になります。
このようなデータを見て、どう感じるか? そして、自分は何をするか? それは人それぞれですが、私自身は、日本に挑戦する会社員や経営者をもっと増やして、日本の底力を世界の中で発揮したいと思いました。
■「 会社に頼れないから不動産をやろう 」ということではない
先ほど、挑戦する会社員と書きました。私は、会社員の皆さんに、「 会社に頼れない時代だから不動産をやろう 」とは言いません。
そうではなく、まずは会社の仕事で結果を出して、本業の年収をあげて、貯金をしてから不動産事業へチャレンジするという王道を目指すことをおすすめします。
逃げ口として「 不動産事業で一旗あげる 」のではなく、会社員の仕事を通じて自分のコアスキルを磨き、どの時代、どの会社に行っても活躍出来るスキルセットを身に着けておくことが自分を守ることになると感じるのです。

上の表は、求められる能力が2015年と2050年とでどう変わるのかを示しています。変化の激しい時代の中で、今後も活躍できる人材になるためにどうしたらいいかのヒントが見えてきます。
私自身はサラリーマンは卒業しましたが、常に「 社会の問題を発見する能力 」「 個人の経済力不足を発見する能力 」「 発見した社会の問題を解決していく能力 」を磨くことに努めています。
加えて、仕事の進め方が保守的にならないよう意識しています。不動産賃貸事業からスタートした事業を、不動産再生事業、更に難易度が高いホテル経営へと舵をきったのもそのためです。
不動産関連事業以外の多くの事業にも目を向けて、絶えず新規事業を起業していくスタイルを貫いています。それは不動産賃貸事業のみに留まると自分の考え方が保守的になり、革新的であり続けることが難しいと感じるからです。
表によれば、「 革新性 」は、将来求められる能力の上位にあります。これからも色々なことに挑戦していくつもりです。
今日のコラムでは、日本の会社員の置かれた厳しい状況についてのデータを紹介しました。実を言うと、私は成功した不動産事業家、不動産経営者と一緒にいると、世の中の多くの人が成功者で自由人のように感じることがあります。
しかし、成功者の裏には、現代日本で厳しい人生を歩まれている人も沢山いますし、私は実際にそれを見ています。日の当たらない世界がどんなものか、ヒリヒリと感じています。
余力がある人は自分のスキルを磨き、生かして、世の中を良くしていく、そんな気持ちを持つことが大事ではないでしょうか。
資本主義社会とは競争社会です。しかし、弱い者を切り捨てる世の中ではなく、弱いものに寄り添える人が多くいる世の中を作ることで、明日の日本が明るくなっていくように思います。できることをやっていきましょう!
■ 7月16日(土)に滋賀でセミナーをします
最後にお知らせです。滋賀がんばる大家の会主催のセミナー講師として、7月16日( 土 )に登壇します。どなたでも参加が可能なオープンセミナーです。

左上から私(天野)、波乗りニーノさん、元気が出る大家の会代表:谷さん、COSOJI代表:富治林さん、ECHOES代表:木津さん、滋賀がんばる大家の会代表:谷さん
テーマは「 不動産の世界で「 逆転人生 」を実現する方法―労働力以外に売るものを持っていない人になりさがるな。持たざる者でも、熱い戦いはできるー 」。
参加者が自分が展開する事業の苦しさ、面白みを語り合うトークセッションがあります。私の友人・知人も手弁当でトークセッションに参加してくれます。本当に、素晴らしいメンバーです!
https://twitter.com/shigaooya
※滋賀がんばる大家の会のツイッターからお申込みページに入れます
それでは、次回のコラムでお会いしましょう。