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築古区分マンションの設備の特徴とリフォームの注意点。みっちーママさんのDIY現場訪問 その2!

芦沢晃さん_画像 芦沢晃さん 第10話 著者のプロフィールを見る

2021/5/24 掲載

■ 設備系の現状調査

空室になったみっちーママさんの区分マンションを訪ねた際の話です。ぜひ、前回もあわせてご覧ください。

参照:前回のコラム

内装や押し入れのリフォームなど、施工会議は順調に進んでいるようなので、私の方はお役に立てそうな設備系の現状調査を始めました。築40年を超えた物件ですが、共用部の状態から躯体は問題無いとわかりました。気になるのは設備系統です。

( ここで読者へのお詫びです。当日、コラムでおなじみの皆さんとお会いできるのが嬉しくて、ついスマホを持参するのを忘れてしまい、現場写真を撮影できませんでした。長くなりますが文字でご説明させていただきます。)

1. RCスラブから直接出る埋込蛇口

まず、キッチンを拝見しました。1970年代の区分分譲マンションのキッチン水栓は、今風にキッチンテーブルの床下から這い上がって来る構造ではなく、流し台壁面から直接出ていることが大半です。

図1:キッチンの水栓構造

しかも、壁面は化粧板無しで、直接RCスラブになっています。本物件は更に、蛇口がいきなりRCコンクリートスラブ壁に埋め込まれているため、交換できない構造です。( 普通は、建物配管が壁から出ており、そこへ蛇口をネジ込んでいる構造になっている )

つまり、補修できるのは蛇口取っ手と内部のゴムパッキンだけになります。現状、給水蛇口、給湯蛇口ともに問題なく止水、流水できるため、このままでOKなのですが、もし最新式のシングルレバーや混合栓に交換するには、プロに依頼した方が良さそうです。

あえてDIYにチャレンジするとすれば、蛇口の給湯管と給水管の管芯間ピッチを実測します。200〜300mm程度のはずです。( 当日はスケールを持ち合わせておらず実測できず )

次に管の口径を実測して、この寸法に近い混合水栓を用意します。壁面管の給水と給湯間ピッチが大きいので、混合水栓の給湯管と給水管の管芯間ピッチは203mm仕様のシリーズからチョイスするのが良いと思われます。

そして、壁面からの蛇口パイプを切断します。新しく取り付けたい混合水栓の管に切ってあるネジ山仕様( 径とネジピッチの寸法 )を調べます。( その製品の工事仕様書または施工用図面に記載されています )

そのネジピッチに合うザルボを調査し、先ほど調査した壁面管内径にネジを切れば、そこへ入れ込める呼び径とネジ仕様のザルボをチョイスし調達します。

このザルボがねじ込める雌( めす )ネジを壁面管内部にタップを用いて、現場切込みします。その切り込んだ雌ネジへ、調達したザルボのネジ部に止水フロンテープを巻いて、ネジ入れてゆきます。これには大口径の六角レンチが必要になります。

このとき、給湯側と給水側のザルボの飛び出し寸法を同じ( 面一( つらいち ))にするのがポイントです。一方、面一にするため、一度ねじ込んだザルボを逆回転で戻すと、止水フロンテープの止水効果が無くなり、漏水の原因になりますから、ネジ入れ寸法は両方を一発で決めないといけません。

ザルボを正しく取り付けできたら、調達しておいた混合水栓のクランクアングルを、これも逆回転させないよう一発で、指定管ピッチ( 203mm )の角度になるようにねじ込みます。この時も、絶対に逆回転で戻さないのが大切です。戻すと必ず漏水の原因になります。

最後に混合水栓本体をクランクアングルにねじ止めして完成です。

やはり、この工程で最大のネックは現場の管径に合うザルボを取り付けられるか?になります。
壁面管を切断してしまったけれど、どうしてもマッチするザルボが付かないで、立ち往生したら、自分だったらどうするか?

配管プロはガスバーナーでロウ付けするかもしれませんが、私は水道の素人、電気屋なので、こういった道具は持っていません。どうせ、管もザルボも黄銅ですから、切断面をよく鑢( やすり )ですり合わせて、可能な限り勘合させて、力技で、数100Wの大型半田小手で、半田付けしてしまうと思います。こんなことを考えながらキッチン水栓を見ていました(笑)

このように色々な、特殊治工具が必要ですので1物件だけをDIYすると、治工具費用の方が材料費よりも高くなってしまうかもしれません。

図2:水道工事に使う各種ツール

2. ユニットバス水栓

次にユニットバス内に入り、水栓を見ました。給水蛇口、給湯蛇口ともに、流水、止水とも問題無く使用できるので、修理不要ですが、もし、交換するならサーモ水栓をチョイスすべきです。

ただし、壁面管と現状水栓の結合部が酸化癒着して回転しないリスクがあります。その確率は給水管よりも給湯管の方が高いです。 理由は高温のお湯により、化学反応が急速に進み、酸化劣化が激しいからです。

これが新築時の工事でしたら、単純に壁面管へクランク接手にフロン止水テープを巻いて、ねじ込むだけですから、僅か数分の作業で終わりです。しかし、築古物件は、こういった設備マニュアル通りの作業が全くできない状態に部材劣化している場合が多いのです。

その場合、素人力技で無理して大型スパナでトルクレバレッジを掛けて回すと壁面内部で給水湯管をねじ切ってしまう危険性が大きいです。そうなると、ユニットバスを解体して、ねじ切ってしまった管を修理しなければならず、何十万円という高額工事になってしまいます。

癒着状態でも、どうしても交換したいというなら、プロならガスバーナーでだましだまし炙りながら外せるかもしれませんが、私共素人は道具も技能もありませんので後付クランクを使用すべきでしょう。

3. 床下給排水管調査

次に点検口を開いて、ユニットバス床下の給排水管を見てみると、何と綺麗なことか!!と驚きました。塩ビ管に銅パイプを打ち込み、銅パイプにはザルボがロウ付けされ、そこへジャバラ管が付いて光っています。全く酸化や緑青( ろくしょう )が無い状態で新築のようです。

早速、みっちーママさんをお呼びして、参考として直接ご覧いただいた上で、物件履歴を伺うと、売り手オーナーさんがつい最近、ユニットバスの全交換工事をされたばかりとのこと!これまたラッキーな物件です!尚更、バスとトイレの分離工事はしない方が賢明であると、強く推奨させて頂きました!

4. 天井裏配管調査

更に、ユニットバス天井の点検口を開いて、中に体を入れたいのですが、背の低い私は届きません。
脚立が無いかな〜と、みっちーママさんへお尋ねすると、「 管理人さんに頼んで来ま〜す 」と消えてゆくや、折り返し、管理人さん直々に脚立を配達に来てくれました!

凄い!この管理人さんとの一体感とチームワークは何だ!
この部屋のDIYを十分理解しておられるようで・・・・・・・・
管理人さんが完全に、みっちーママさんチームに取り込まれてしまっているわけです。

脚立に乗って体を突っ込んでみると、う〜ん。やはり1970年代築古物件独自の工法・・・・・・・・

何かといえば、上階の排水管、給湯管、給水管が天井RCスラブを突き抜けて、こちらの専有部のユニットバス天井裏に配管されています。つまり、上階専有部の給排水管が全て、こちらの専有部( の天井裏 )を通っているわけです。この年代の築古区分分譲物件は、こういう工法が多いのです。

図3:ユニットバスの配管構造

一棟物件でしたらこれでもかまいませんが、区分分譲所有物件ですから、漏水事故等の際は上下階の権利関係が非常に複雑になります。上階の排水管は塩ビになっていますが( 新築時は鉄管だったものを、ある時期に漏水トラブル等で塩ビ管へ交換したのかもしれません )、給水、給湯管は鉄管のままで、特にアングル部分に錆がみられました。

これは将来、漏水トラブルが発生するリスクがありそうです。かといって、予防保全のため、事前交換するにも、この上階側に所有権のある管ですから、こちらでは勝手に交換しようがありません。
上階オーナーさんへお願いすることになってしまいます。( その間、上階は断水しますので、上階入居者の了解も必要になります・・・・・・・・ )。

このように、築古物件は、区分分譲販売後の所有権関係と経年保守を考慮していない設計で、特に、ライフライン系( 給排水管、電気配線、TV信号線の分岐方法、電話通信線 )などが他人の専有部内に立ち入って、設備をいじらないと、保守できない構造が多いのです。

区分所有という概念が黎明期の時代であり、ましてや、分譲後、何十年後までに渡ってメンテナンスに配慮する建築設計思想がなかったわけです。( 同じ一人のオーナーが全部を所有する一棟物件でしたら、この構造でも問題ないのですが )

5. キッチン換気扇

ユニットバスから出て、キッチンの換気扇を見ることにしました。みっちーママさんによれば、油汚れが酷いので、外してクリーニングしたいけれど、内装工事屋さんから、これは外れないからダメ〜と言われたそうです。

本当に外せないのかな〜・・・・・・?

一般的な換気扇の取付工法は、天井の角孔にはめ込み、天井裏で排気ダクトに接続されています。
ですから、手が届く範囲の近くの何処かに点検口がないと、最悪、天井裏に潜って、換気扇と排気ダクトを分離させないと、換気扇を取付孔から外せないのです。

しかも、老朽化してダクト接合部と本体が錆付いて癒着している場合は、びくともせず、このジョイント部品自体が換気扇本体から外れないこともあります。

その場合は、排気ダクトのジャバラ管と換気扇の結合部のアルミテープをはがして、排気ダクトを換気扇ジョイント部から分離する必要があります。それでも、ジョイント部を本体から力技で分離しなければ、ここが引っかかって、取付孔から換気扇を外せません。

このように、築古物件では、前述のユニットバスの水栓同様、換気扇などの設備施工マニュアル通りの手順で工事しようとしても、錆付きや癒着、破損で、その通りの工法が採れないトラブルが多いわけです。

そうなのかな〜・・・・・・・と思って、眺めていると、どうもキッチン天井部分に戸袋のような構造を発見し、ここを開けば、天井裏の換気扇本体にアクセスできそうです。しかし、この戸袋扉自体が、木枠が経年変化で変形していて動きません。

そこで、「 DIY超人モトミさん 」にご登場いただき、あの「 巨大なバール 」を使うと、いとも簡単に扉オープン!!

図4:みっちーままさんコラムより

狙い通り、換気扇本体の天井裏部分へ全てアクセスできるように天袋が開きました。

「 排気ジャバラダクト&換気扇ジョイン部 」を一体化したまま、上手く本体と分離できました。
つまり油汚れのおかげで、錆は出ていなかったのが不幸中の幸いだったのです。

あとは、換気扇本体を天板へ止めているネジを外すだけなのですが、このネジが油汚れで埋まって回せません。そこで、「 タイルの女王マミさん 」にご登場いただき、全てのネジ溝の油を綺麗に削り取って頂けました。

ネジを外せた後は、換気扇への電気配線( 1Φ( 単相 )100V )を外す必要があります。感電、ショート防止のため、MCCB( Molded Case Circuit Breaker=配線用遮断器 )をOFFして、懐中電灯での作業になります。

ここは「 電気工事士 」資格保有の「 DIY超人モトミさん 」が「 合法的 」に作業なさいます!
この換気扇は単相二方式( 黒線、白線 )だったのですが、単相三線( 黒、白、赤 )方式の場合もあります。一般的( 新築時や修繕時に正しく施工できていれば )に赤がアースです。( 赤の代わりに緑が使われる場合もあります )

同じ電気屋さんでも、設備装置の基板回路設計等が専門の弱電系エンジニアの方は黒がアースという慣習で、赤〜白間にAC100Vがかかっていると勘違いしがちです。しかし、盤屋さん・配電屋さんは黒〜白間をAC100V、赤( 又は緑 )をアースとする慣習なのです。

これ以外の色だった場合は、テスターで電圧測定してから、作業した方が確実です。特に、新築以降で修繕工事が為されている場合は、必ずしもルール通りの仕様に施工されているとは限りませんし、最悪、前オーナーさんの素人工事という場合もあるからです。こういった、何がどうなっているかが分からない点も中古物件のリスクですね。

よくあるケースとして、換気扇本体は二線( 黒、白 )しか使わず、建物屋内配線は三線( 黒、白、赤 )が来ている場合があります。その場合、MCCBを切る前に、工事作業ミスで宙ぶらりんの赤線が換気扇電極などへ瞬間でも触れてしまうと、配電盤のELCB( Earth Leakage Circuit Breaker=漏電遮断器 )が自動的に落ちてしまうことがあるので、注意が必要です。

図5:区分マンション専用部の玄関壁の配電盤内

配線を無事に外して、換気扇をキッチンから分離できました。「 換気扇の駆動コイル部分と羽部分を分離できるけれど、この油の塊のような換気扇は、掃除するより換気扇本体ごと交換した方がいいのでは?」と皆さんから、みっちーママさんへご提案がありました。ネット通販で調達すれば1万円もしません。

そこで、型式を読み取ろうと銘版を探しても、油で文字が溶けて?分かりません。「 借金上等トモコさん 」「 DIY超人モトミさん 」「 タイルの女王マミさん 」総出で、スマホで三菱製換気扇( ワンルーム用換気扇の定番 )をネット検索して、取付孔径、取付ネジ孔ピッチが同じタイプを、かたっぱしから施工図面検索しますが、なかなか寸法が合う型式がヒットしません。

PART図法工程管理によるなら、本来は事前に寸法測定して部材調達しておくべきでした(笑)
みっちーママさんの区分マンションへの突撃レポートは次回に続きます。

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プロフィール

■ 芦沢晃さん

芦沢晃さん

不動産投資家
東京城西、城南、京浜地区(川崎、横浜沿岸部)、埼玉(南部)を中心に区分分譲マンションを58棟、59室賃貸運営中


■経歴

□1958年
借家住まいのサラリーマン家庭に生まれる

□1983年
アルバイトと奨学金で、都内某大学院博士前期課程で電気工学を専攻し学位とプロ資格取得。
電気メーカーに入社。通信システム新規事業の研究、開発、設計等の実務に従事

□1989年
自宅中古マンションをローンで購入。バブル崩壊で担保割れとなる

□1995年
バブル崩壊で担保割れ売却不能となった自宅を賃貸し個人大家&不動産投資をスタート。
以後、現金で中古ワンルーム区分マンションを1室ずつ購入し賃貸運営を継続

□2000年
アツルハイマー病の母親の在宅介護を開始

□2004年
リストラにより46歳で指名解雇。某IT企業へ転職し、ITシステム技術開発実務を担当

□2007年
沢孝史さんの「お宝不動産」へ参画。セミナー、執筆&出版を実施。
サラリーマン不動産投資家として、全国の兼業大家さんと交流

□2013年
IT企業の営業職で2度目のリストラに合うも、某電気設備メーカーに転身。55歳にして最前線の現役エンジニアへの復帰を果たす。
ビル、マンションの電気設備エンジニアの本業を大家業に活用

□2017年
本業の電気業界が大再編、リストラの嵐が吹き荒れ、勤務先は債務超過、解体再編。大荒れの最中に介護中の母親が急逝。
一方で、兼業大家業は満室安定経営を継続

□2018年
18年間に及ぶ介護(9年間は在宅)が終了し、自身も60歳サラリーマン定年。
個人対会社での個別契約を結び、兼業公認で、技術支援と後継技術者育成を行う

□2021年
個人技術士として、業務技術支援、技術講師、テクニカルライティング、学会参加、個人実験研究、株式投資、不定期にご依頼頂く不動産セミナー講師、執筆依頼、メディア取材等を受けながら58棟59室の区分物件で兼業大家業を運営し、家賃+配当で好きな趣味を楽しみ悠々自適・晴耕読雨の日々


■ 主な著書

芦沢晃さん:著書-1
<最新版>少額現金ではじめる! 「中古1Rマンション」堅実投資術(筑摩書房)

芦沢晃さん:著書-2
サラリーマン大家さんが本音で語る「中古マンション投資の極意」(筑摩書房)

芦沢晃さん:著書-3
少額現金ではじめる!「中古1Rマンション」堅実投資術(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-4
19年間の経験と区分所有43室のデータによる中古1Rマンション堅実投資法(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-5
東京オリンピック直前版 “中古ワンルームマンション"投資の秘訣!(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-6
株式vs不動産 投資するならどっち? (栫井駿介・沢孝史両氏との共著)(筑摩書房)

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