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区分マンション投資でFIREすることは可能なのか?その1-トトロの草壁家の生活スタイルをFIREの切り口で見る-

芦沢晃さん_画像 芦沢晃さん 第17話 著者のプロフィールを見る

2021/9/11 掲載

最近、急に流行し始めたFIRE「Financial Independence( 経済的自立 )Retire Early( 早期退職 )」について、某メディアさんから取材を受けました。何回かに分けて、その話題をお話しさせて頂きます。

その前に、物件運営についてのホットな話題からスタートさせて頂きます。

■ コロナ禍2年目の区分3点ユニット物件賃貸・中間速報

デルタ株が世界的に猛威を振るっていますが、健美家コラム読者の皆様の賃貸状況はいかがでしょうか? 私の方は去年の初夏に満室となり、その後は稼働率100%をキープしていました。

ところが今年4月、59室満室から、一気に6室の退去( 半分はご結婚、半分が仕事都合 )があり、6月に追加1室、合計7室が空き、瞬間入居率は88%まで低下しました。全てバストイレ一体型の3点ユニット物件です。

その後、3カ月間で中野、吉祥寺、八王子の部屋が埋まり、稼働率は93%まで回復しましたが、募集開始から申込までの期間は、昨年の「 週 」単位から、今年は「 月 」単位に伸びた印象です。ここから感じたのは、「 今年は都心部よりも郊外の方が早く決まる傾向があるな〜 」ということです。

その後、都心部の空室対策・研究のため、某大手ワンルーム不動産業者さんの本社営業部長さんにお話を伺うと、都心部の入居希望数に対する空室供給率は160%程度で圧倒的過剰。一方、23区外の周辺エリアは85%と物件が不足気味で、従来と逆転しているとのことでした!

そこで、超都心部( 品川区と川崎区 )の空室にテコ入れすべく、品川駅〜川崎駅間の京浜東北線の各駅を1つずつ下車して、駅前の賃貸大手三雄のA、B、C各社店舗を訪問しました。すると各社共通で「 今は単身者の部屋探しが減り、カップルが圧倒的 」というお話でした。

詳細は別の機会にご紹介させて頂きますが、この路線近隣駅の複数店舗ローラー作戦&キャンペーンが効を奏して、8月頭までに品川区と川崎区の2物件に入居頂けました。これにより、空室7室のうち5室が埋まり、稼働率は96.7%まで回復しました。

それにしても、最も好立地と思われる品川区と川崎区( 共に駅徒歩3〜5分程度 )が西東京の郊外( そのうち最遠は駅徒歩30分のバス便物件 )より空室期間が長かったのは、今年ならではの現象でした。

■ 昭和時代は「 脱サラ&独立起業 」と呼ばれた

さて、本題です。最近、「 アーリーリタイア 」に代わって「 FIRE:Financial Independence( 経済的自立 )Retire Early( 早期退職 )」という言葉が流行するようになりました。

私のような昭和の老人世代は今でいうFIREのことを「 脱サラ&独立起業 」とか「 自立自営 」と呼んでいました。中には悲壮な覚悟でスピンアウト( こうも呼んでいました )して行った仲間もいました。( 冒頭から脅かしてしまいますが、いつの時代も自立は大変なことで、投資で専業になるなら真剣勝負で挑むことになります )。

私が社会人になったバブル以前の昭和の時代は、公庫融資の金利が5〜6%、金融投資商品は国内限定( 郵貯、日本株か債券、投信商品の手数料は3〜4%以上 )でした。今のような低金利融資はなく、優れた海外投資商品に日本国内から個人が投資することも法律で禁止されていました。いわば、昭和時代は個人投資家目線では日本は鎖国されていたわけです。

( 話は脱線しますが、ヨット冒険家である堀江謙一氏が昭和37年に僅か19フィートの「 マーメイド号 」で単独太平洋横断によって、「 小型ヨットでの海外渡航 」が合法となって開国されました。投資の世界の開国は、それより遅れること約30年を要したことになります )

一方では、郵貯定額貯金が10年で固定6%複利・非課税、元本保証でしたので、下手な投資商品に手を出す必要がなかったともいえました。( 鎖国していた代償に、国が制度を国民へ提供していたわけです )

1990年頃までは、全員が正規雇用で、会社は永久に成長するかにみえましたし、終身雇用と年功序列が普通でしたので、上記のような現役時代の貯金を切り崩して老後資金に充てれば、過不足なく生きることができました。( 事実、私のひと回り先輩方はそのようにされていらっしゃいます )。

私たち日本人を取り巻く環境も随分と変わったものだなと思います。

■ トトロの草壁家の生活スタイルをFIREの切り口で見る

令和のFIREは、単にサラリーマンを辞めて蓄えを切り崩しながら南の島でバカンスするものではなく、キャッシュフローを生む資産または自分のビジネス( あるいは、この両方の組み合わせ )によって生きる原資を得ながら、自由な生き方をするというものです。

7月にあるメディアさんから「 FIRE特集を組むために色々な投資家を取材している。芦沢さんに『 区分マンション投資だけでFIREする方法 』を教えてほしい 」と非常に難しい(笑)お題を頂きました。

健美家コラム読者様でしたら、「 区分だけでFIRE 」などとは考えず、より効率的な投資方法へと移行されることでしょう。あえてこのお話をさせて頂くのは、不動産投資入門者の皆様に、区分物件投資の得失、特に、弱点とそれに対する対策などをお伝えできればと考えたためです。

FIREのゴールは「 生きる目的達成 」ですから、その生活費が低ければ低い程、早くゴールしやすくなります。わかりやすくするために、スタジオジブリのアニメ「 隣のトトロ 」の「 さつきちゃん・めいちゃん 」の家を例に考えてみましょう。

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この建物の家賃ですが、大家さんでもあるカンタのおばあちゃんは、借家の利回りなど気にしていない様子なので、埼玉の立地( アニメの舞台は昭和30年代の所沢?)から考えても格安でしょう。

前オーナーが増築途中に結核でお亡くなりになった和洋折衷の素敵な建物ですが、仲介不動産業者も入っておらず、相対契約なら、手数料も更新料もかかりません。

食費はというと、お隣のカンタの家は主食の米、おかずとなる野菜や鶏の卵等は時給自足のようです。さつきちゃん・めいちゃんの家にも「 おすそ分け 」が相当あるでしょう。その他、インフラにもほとんどお金がかかっていない様子です。

  • 水は井戸、燃料は薪
  • 電話はなく、緊急連絡は電報( 通信料発信元の負担で基本料金はありません )
  • 保育園も幼稚園もないので、小さい子は兄弟とご近所が面倒をみる
  • マイカーもなく、移動は自転車なので維持コストはゼロ( 松郷〜七国山間の約20〜30kmも家族の相乗り自転車で移動!)
  • 生活インフラコストは電気代だけ

次に収入ですが、「 さつきちゃん・めいちゃん 」のお母さんの七国山病院での肺結核治療は、社会保険負担で賄えるでしょう。お父さんは大学の非常勤講師で「 縄文時代の日本で農耕が行われていた 」というマニアックな趣味的?研究をしています。そのサラリーだけでも十分、奥様の介護をしながら二人の子供を育てられたでしょう。

非常勤ですから、研究以外の煩わしい大学運営管理業務はありませんし、ブラック的パワハラ上司もいません。過労死するほどの仕事量もなさそうで、学生諸君らと和気あいあいと研究室で語らう様子も垣間見られます。楽しく本業を続けられたことと思います。

このように、昭和のあの時代( 昭和28年の設定 )の生活には、さほど現金は必要なかったのです。
この生活スタイルであれば、FIREは身近かもしれません。

むしろ、お父さんの毎日を見ていると、幸せな家族とご近所さんに囲まれ、出勤日( 週2日 )には、お隣のカンタのおばあちゃんがめいちゃんの面倒を見てくれているので、安心して大学で好きな研究へ打ち込めて、恵まれた環境ともいえそうです。

大学で講義がない日は、広いお庭で遊ぶめいちゃんを眺めながらの論文執筆( 今流でいう在宅勤務 )。精神的には既にFIREしているように見受けられる節もあります(笑)。めいちゃんが迷子になった時も、ご近所総出で「 お互いさま 」と言ってボランティアで捜索してくれました。

お父さんは借家生活ですから、不動産は持っていません。しかし、貯金の代わりに電力会社の株( 当時は額面スレスレの1株500円で年配当10%≒50円 )か、石油会社の株でも買って配当再投資しておけば、インフレとともに資産は自然に成長し、それらの配当で十分FIREできるでしょう。( Firstではないかもしれませんが )

余談ですが当時の財テク(?)は郵便局の定額貯金( 6%で10年固定・非課税 )や普通養老保険( 死亡せずとも満期に複利運用分を満額加算返金される生命保険 )くらいしかありませんでした。( 海外投資は禁止されていましたし、民間銀行の住宅ローン商品すら無い時代でした )

しかし、一見安全そうなこれらの商品に投資していたら、その後の社会・経済情勢変化( 東西冷戦終結に伴う、日米関係の変化が要因と筆者は理解しています:コラム第5話参照 )で優位性は消滅しましたので、これを買っていたらNGだったことは、読者の皆様もお分かりの通りです。

子育てという面では、宮崎駿監督が、「 さつきちゃんは病気のお母さんの代わりとなって家族全員のお弁当を作ったり、クラブをお休みしてまでめいちゃんの面倒を見たりと、あまりに良い子過ぎるので、あのままだと中学・高校に長じた時、反動でグレちゃうかも 」と仰っていました。

しかし、お母さんが退院して「 おもいっきり甘えさせて 」あげたことで、さつきちゃんも素敵なティーンエイジャーからレディーに成長し、一家は幸せに暮らしたことでしょう。( 怖い都市伝説が裏で流布されていましたが、アニメではトトロが救いとなってくれたのでよかったです )

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■ 時代が進むほど生活コストが増え続け、FIREは遠のく!?

一方、今の令和の私たちはといえば、「 さつきちゃん・めいちゃん 」の生活スタイルに比べ、便利さの代償として、莫大な生きるためのコストを強いられています。

  • 消費税
  • 介護保険料
  • 携帯電話料金と電波利用料( 総務省がキャリア各社へ徴収する分が、加入者の毎月料金に薄く広く転化上乗せされています。これ、ご存知でしたか?)
  • 電気料金( 太陽光発電の売電料金は一般消費者の電気代へ転化上乗せされています。国や電力会社が全額買い取ってくれているわけではなく、あなたが買っているのです!)
  • 所得税に加算上乗せされている3・11の復興税( 東電の原発事故分も含む。めいちゃんのお父さんの電力株に東電が含まれていても、倒産しなかったので大丈夫でした!)
  • 自宅マンションの管積( 又は家賃の賃貸仲介業者手数料 )
  • ガス、水道、NTT固定回線料、ネットプロバイダ料金
  • スマホ料金、Wi-Fiルーター料金、ケーブルTV料金
  • NHK受信料、BS受信料
  • 各種決済銀行手数料
  • ネット通販送料
  • 有料道路通行料金
  • ガソリン税、重量税、車検費用、駐車料金、等など・・・・

このように、枚挙にいとまがないほど、「 さつきちゃん・めいちゃん 」の時代に比べ生活インフラコストが格段に増えています。これらに、住宅ローンとマイカーローン、民間生命保険が加わったら・・・・、 FIREはますます遠のきます。

便利になればなるほど、そのコストは増えます。新たな便利なサービスが、FIREを目指す読者の未来の財布を狙っています(笑)。

■ FIREの最大の敵はインフレ

最大の天敵はインフレです。バブル以降、失われた30年間、日本はインフレ率ゼロに近かったのですが、FRBの政策は2%へ誘導するのが使命ですから、これが世界標準と覚悟しておくべきです。

インフレ率2%での生活費
FIRE時500万円必要な生活費。インフレ率2%とすると、
この図のように年々必要生活費が増加し、30年後は900万円必要となる。

世界は2%ルールでインフレが進んでも、日本人の給与( 特に非正規雇用の場合 )は20年間経過しても増えていないですから、今後は物価だけが上がるリスク大です。( 日本は原材料、食料、エネルギーはほぼ全て輸入依存 )。コロナ禍が明けて、海外旅行してみたら、物価高にびっくり、なんてことになるかもしれません。

コロナ禍前のインバウンドも30年間もデフレが続いた日本の物価割安感が大きな一因でしょうし、アジアマネーの日本不動産( タワマンや里山、別荘地等 )への投資も同じ理由でしょう。

おっと、肝心の区分投資マンションでFIREを目指す件に触れないまま、紙面が尽きてしまいました。続きは次回のコラムで。

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プロフィール

■ 芦沢晃さん

芦沢晃さん

不動産投資家
東京城西、城南、京浜地区(川崎、横浜沿岸部)、埼玉(南部)を中心に区分分譲マンションを58棟、59室賃貸運営中


■経歴

□1958年
借家住まいのサラリーマン家庭に生まれる

□1983年
アルバイトと奨学金で、都内某大学院博士前期課程で電気工学を専攻し学位とプロ資格取得。
電気メーカーに入社。通信システム新規事業の研究、開発、設計等の実務に従事

□1989年
自宅中古マンションをローンで購入。バブル崩壊で担保割れとなる

□1995年
バブル崩壊で担保割れ売却不能となった自宅を賃貸し個人大家&不動産投資をスタート。
以後、現金で中古ワンルーム区分マンションを1室ずつ購入し賃貸運営を継続

□2000年
アツルハイマー病の母親の在宅介護を開始

□2004年
リストラにより46歳で指名解雇。某IT企業へ転職し、ITシステム技術開発実務を担当

□2007年
沢孝史さんの「お宝不動産」へ参画。セミナー、執筆&出版を実施。
サラリーマン不動産投資家として、全国の兼業大家さんと交流

□2013年
IT企業の営業職で2度目のリストラに合うも、某電気設備メーカーに転身。55歳にして最前線の現役エンジニアへの復帰を果たす。
ビル、マンションの電気設備エンジニアの本業を大家業に活用

□2017年
本業の電気業界が大再編、リストラの嵐が吹き荒れ、勤務先は債務超過、解体再編。大荒れの最中に介護中の母親が急逝。
一方で、兼業大家業は満室安定経営を継続

□2018年
18年間に及ぶ介護(9年間は在宅)が終了し、自身も60歳サラリーマン定年。
個人対会社での個別契約を結び、兼業公認で、技術支援と後継技術者育成を行う

□2021年
個人技術士として、業務技術支援、技術講師、テクニカルライティング、学会参加、個人実験研究、株式投資、不定期にご依頼頂く不動産セミナー講師、執筆依頼、メディア取材等を受けながら58棟59室の区分物件で兼業大家業を運営し、家賃+配当で好きな趣味を楽しみ悠々自適・晴耕読雨の日々


■ 主な著書

芦沢晃さん:著書-1
<最新版>少額現金ではじめる! 「中古1Rマンション」堅実投資術(筑摩書房)

芦沢晃さん:著書-2
サラリーマン大家さんが本音で語る「中古マンション投資の極意」(筑摩書房)

芦沢晃さん:著書-3
少額現金ではじめる!「中古1Rマンション」堅実投資術(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-4
19年間の経験と区分所有43室のデータによる中古1Rマンション堅実投資法(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-5
東京オリンピック直前版 “中古ワンルームマンション"投資の秘訣!(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-6
株式vs不動産 投資するならどっち? (栫井駿介・沢孝史両氏との共著)(筑摩書房)

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