• 完全無料の健美家の売却査定で、できるだけ速く・高く売却

×

  • 収益物件掲載募集
  • 不動産投資セミナー掲載募集

被害額8,000万円、無借金の区分マンションの漏水事故で破産した実例

芦沢晃さん_画像 芦沢晃さん 第51話 著者のプロフィールを見る

2023/2/11 掲載

第50話のコラムで、区分マンションのビンゴ購入の理由が、漏水リスクヘッジであることをご報告させて頂きました。

参照:自己破産した人も!火事より怖い(?)漏水トラブルと私の対策

今回は、この動機となった実例で、無借金の区分分譲マンションのオーナーさんが、自室で漏水が発生し、同じマンション内の複数の他・専有部に漏水してしまい、その損害賠償のため、自己破産することになった事例を共有させて頂きます。

あまりに、生々しく、お気の毒な事例ですので、多少内容をぼかしております。

■ お出かけ留守中にお部屋が大洪水?!

その日、私は自分の専有部で作業中でした。退去のあったお部屋で空室対策の良い機会と考えて、DIYに励んでいました。すると作業中に突然、停電になって、共用部の火災報知器が鳴り響きました。

「 火事か?! 」と驚いて共用部を見回りましたが、その気配はありません。廊下を見ると、なぜか水が流れていました。「 雨も降っていないのに、どこから流れて来たのかな? 共用部に清掃業者が入ったのかな? 」と最初は思いました。

とりあえず、電気がなくてもできる作業を継続していると、何やら、共用部が騒がしくなってきたので、再度、様子を見に廊下に出てみました。

すると、ある1室の前に管理会社の関係業者の方が数人と、隣室にお住まいの方たちが集まっています。よく見ると、そのお部屋のドアの下から、水が小川のように流れ出ていました。

お部屋は留守なので、中の様子はわからないという話でした。皆さんはお住まいの方のお帰りを待っていました。その先、どうなったのかわからないまま、私は帰宅しました。

■ ベランダの花壇に自動散水する自作タイマー給水カラクリが留守中破損!

後日、理事会関係者からのこの件についての報告があり、以下のような状況が分かりました。

・当該物件は実需オーナーさんがお住まいで、当日は外出中だった
・趣味でベランダに高価なお花を育成しており、自動散水する給水カラクリを自作設置していた
・室内洗濯機置場の水道にホースをつなぎ、タイマー給水器を経由してベランダへ散水していた
・そのホースが室内で外れて、開放してある水道水が室内に流れっぱなしになった

どこにでもありそうな事例です。

お住まいの実需オーナーさんは、年配の女性で、一人暮らしとのことでした。特に蘭などは非常に高価なものですし、大切にされて、手作りの水やりシステムをタイマーで自作するということは、珍しくないことと思います。

私が経験した停電と火災報知器は、この漏水が下のお部屋の火災報知器を濡らして、警報電気系統がONになったのと、配電系統へ漏水したことで漏電を起こし、物件共用部の受電電気室・分電盤のELCB( 漏電ブレーカー )が作動したためと推定されます。

下のお部屋内の漏電で室内ELCBが遮断しても、そのELCBの1次側へ水が回れば、共用部側で漏電しますので、大元のELCBが遮断してしまうわけです。

■ 合計7室に漏水・8,000万円程度の損害賠償

管理会社が理事会へ説明した内容によれば、以下のような被害だったそうです。

・漏水した6階の専有部のお部屋から5階⇒4階⇒3階⇒2階⇒1階と漏水が縦5室に及んだ
・特に5階の真下の専有部は、お部屋内の天井の化粧板が湾曲するほど、天井裏に水が溜まって、室内は豪雨のような状態
・更に、壁面の化粧板とスラブの隙間から滝のように床下へ流れ落ち、天井からの漏水と合わせて床上浸水
・真下5階のお部屋の両隣のお部屋へもかなり漏水した
・階によって日数遅延があり、特に1階の部屋は1か月くらい経ってから遅れて漏水してきた

不運なことに、日中で真下のお部屋のご家族も全員外出中だっため、発見が遅れてしまったことも被害を大きくしたと感じます。

このマンションの管理組合で加入している共用部火災保険は、もちろん漏水事故による賠償責任特約も付保されており、専有部から他の専有部の事故も保証される商品仕様になっていました。しかし、その保証上限は1事故あたり1千万円でした。( 上限1千万円という商品仕様が多いです )

実需でお住まいのオーナーさんが、個人で何らかの賠償責任保険に加入されていたかどうかは、個人情報なので分かりません。

例えば、自動車の事故賠償責任保険に加入している場合は、商品仕様によっては、自動車事故以外の賠償責任も含まれる商品もありますが、年配のご婦人ですので、自動車はお持ちでなかったかもしれません。

最も被害が大きかった真下5階の部屋の原状回復費がいくらだったかも、第三者である組合員には分かりません。しかし、ほぼスケルトン状態にして、木部、化粧板、室内の設備品などは全て新装する必要があったと思います。

事故が発生した専有部は70u程度のファミリータイプのお部屋が縦に並んでいる間取りでした。この1物件だけで、スケルトンリフォーム費用は、2,000万円以上かかったと想像されます。

更に、その被害専有部にお住まいのご家族は、物件の現状回復が終わるまでホテル生活をすることになったと聞きました。そのホテル代金も、毎日数万円かかったと推定されます。

これに加えて、下の5階の両側のお部屋や、4階以下のお部屋も、濡れた天井や壁のクロス、あるいは、床のフローリングなどの張替も必要だったことでしょう。1室当たり、数十万円〜100万円以上はかかったと思われます。

そして、それらの被害額を合計すると、8,000万円程度になってしまったというお話でした。


■ オーナーさんは自己破産、お部屋は再販へ

ある日、「 本来であれば、全室オーナーを訪問してお詫びすべきところ、書面にてお詫びさせて頂きます 」と、管理会社を通じて、オーナーさんからお手紙が届きました。

管理会社から理事会経由の情報では、オーナーさんは、真下のご家族のホテル代金を毎日、支払い続けたそうですが、ついに貯金が尽きてしまい、自己破産を申請されたということでした。

そうなりますと、被害専有部の皆さんは、自費復旧でしょうか。あるいは、もらい漏水を保証される保険商品を購入していれば、それによって保証されたかもしれません。

後日、オーナーの自己破産後も納得がいかない被害者がおり、裁判に発展したとの噂も聞こえてきました。いずれにしても、気の毒な状況で、全く言葉を失う気持ちでした。

漏水宅のご婦人は、離れて暮らしている息子さんの所へ引っ越されたとの噂を管理組合内でお聞きしました。何らかの事情で老後を静かに過ごされるため、この物件に引っ越されていらしたと想像されます。

ご家族の事情やご年齢を考えると、ローンで物件を購入している可能性は低いと思います。ベランダでご趣味の蘭のお花を育てながら、穏やかに暮らす毎日だったのが、晴天の霹靂…。

後日、そのお部屋の近くへ行ってみると、大規模なスケルトンリフォーム工事がされていました。その後、広告宣伝などは行われず、いつの間にか新しい入居者がお住まいになっていました。

この件を通じて、区分マンションの漏水は無借金でも、自己破産に至るリスクがあることを思い知らされました。これ以降、退去があった部屋の給排水管は必ず自分の目で床下を確認し、天井裏も過去に漏水の後が残っていないか? を見るようになりました。

特に、今回の事故のように、上水給水系統は漏水すると、「 常時無限 」に流れ続けるリスクがあります。空室時は必ず、メーターBOX内の水道元栓を閉める習慣が身に付きました。

そのような経緯があり、自室の上の階の物件情報を頂戴した際に、「 リスクヘッジになる 」と購入を決めたのは第50話で紹介した通りです。読者の皆様も、区分物件の漏水には、くれぐれも注意して頂ければと思います。

■ 健美家ラジオ・芦沢ラボ

<昨年末開催の不動産寄席の録音放送>

昨年末、健美家コラムニストの火の玉さん、アカサカトモコさん、ワーママはなさん、モトミさんのメンバーが「 不動産寄席 」を開催され、その録音が健美家ラジオの各パーソナリティーの皆様によって続々と放送されました。

きょうへいさんと横浜ショーンさんの対談、火の玉さんと五十嵐美穂先生の対談、ワーママはなさんと私の対談など、週ごとにお聴き頂けます!

個人的には、みっちーママさんと「スカイツリーが見える区分マンションリフォーム」以来、久しぶりにお会いでき、楽屋裏対談? をさせていただけたのが印象的でした。

画像は、コラムニストのアカサカトモコさんが製作、販売された似顔絵Tシャツです。著名大家さんの楽しいく素敵な似顔絵が描かれています。これらは何バージョンか存在し、写真の例は「 あっきーバージョンTシャツ 」というそうです。



制作者の画伯、直筆の生サインを頂戴でき、プレミアムがアップしました。どうもありがとうございました!

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

アクセスランキング

  • 今日
  • 週間
  • 月間

プロフィール

■ 芦沢晃さん

芦沢晃さん

不動産投資家
東京城西、城南、京浜地区(川崎、横浜沿岸部)、埼玉(南部)を中心に区分分譲マンションを58棟、59室賃貸運営中


■経歴

□1958年
借家住まいのサラリーマン家庭に生まれる

□1983年
アルバイトと奨学金で、都内某大学院博士前期課程で電気工学を専攻し学位とプロ資格取得。
電気メーカーに入社。通信システム新規事業の研究、開発、設計等の実務に従事

□1989年
自宅中古マンションをローンで購入。バブル崩壊で担保割れとなる

□1995年
バブル崩壊で担保割れ売却不能となった自宅を賃貸し個人大家&不動産投資をスタート。
以後、現金で中古ワンルーム区分マンションを1室ずつ購入し賃貸運営を継続

□2000年
アツルハイマー病の母親の在宅介護を開始

□2004年
リストラにより46歳で指名解雇。某IT企業へ転職し、ITシステム技術開発実務を担当

□2007年
沢孝史さんの「お宝不動産」へ参画。セミナー、執筆&出版を実施。
サラリーマン不動産投資家として、全国の兼業大家さんと交流

□2013年
IT企業の営業職で2度目のリストラに合うも、某電気設備メーカーに転身。55歳にして最前線の現役エンジニアへの復帰を果たす。
ビル、マンションの電気設備エンジニアの本業を大家業に活用

□2017年
本業の電気業界が大再編、リストラの嵐が吹き荒れ、勤務先は債務超過、解体再編。大荒れの最中に介護中の母親が急逝。
一方で、兼業大家業は満室安定経営を継続

□2018年
18年間に及ぶ介護(9年間は在宅)が終了し、自身も60歳サラリーマン定年。
個人対会社での個別契約を結び、兼業公認で、技術支援と後継技術者育成を行う

□2021年
個人技術士として、業務技術支援、技術講師、テクニカルライティング、学会参加、個人実験研究、株式投資、不定期にご依頼頂く不動産セミナー講師、執筆依頼、メディア取材等を受けながら58棟59室の区分物件で兼業大家業を運営し、家賃+配当で好きな趣味を楽しみ悠々自適・晴耕読雨の日々


■ 主な著書

芦沢晃さん:著書-1
<最新版>少額現金ではじめる! 「中古1Rマンション」堅実投資術(筑摩書房)

芦沢晃さん:著書-2
サラリーマン大家さんが本音で語る「中古マンション投資の極意」(筑摩書房)

芦沢晃さん:著書-3
少額現金ではじめる!「中古1Rマンション」堅実投資術(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-4
19年間の経験と区分所有43室のデータによる中古1Rマンション堅実投資法(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-5
東京オリンピック直前版 “中古ワンルームマンション"投資の秘訣!(ごま書房新社)

芦沢晃さん:著書-6
株式vs不動産 投資するならどっち? (栫井駿介・沢孝史両氏との共著)(筑摩書房)

ページの
トップへ