3月の繁忙期ということで、読者の皆様も入退去、原状回復などの超ご多忙のことと思います。
こんな時期は1日でも原状回復日数を短縮して、早期満室を目指したいのが人情です。
繁忙期なのは大家のみならず、工事業者さんや、職人さんも同じです。工事を注文しても、今日の明日はとても無理で、日程調整や事前調査、見積等であっという間に1週間、2週間が経過します。
この対策として、ご自身が動くことで費用のみならず、今日、思い立ったら明日動く作戦で、日程を大幅に短縮なさる大家さんもいらっしゃると思います。そんな時、困るのが中古物件で室内設備品が故障し、それが製造・販売中止で入手できない場合です。
今回は、ドア回り製品では老練のMIWAロックが2021年3月末にドアクローザー事業から撤退したことで、入手できなくなってしまったドアクローザーの代替品について、DIYによる施工事例を紹介させて頂きます。
■ 西東京郊外の1Kで原状回復工事着手前に入居申し込み!
2月末のことです。私が運営中の西東京郊外の20u以下1K物件で、退去確認と同時に賃貸募集を開始したところ、原状回復工事前にも関わらず、入居申し込みが入りました。
立地は立川市内で、JR立川駅から多摩都市モノレールに乗り換えて数駅行って、モノレール某駅から徒歩10分程度の場所にあります。
教科書的なマニュアルでは、賃貸が非常に付きにくいとされる立地で、実際、畑と林に囲まれた、のどかな環境の単身者用区分分譲マンションです。
お申し込みをいただいたのは、島根県の高校を3月にご卒業される女子高生で、西東京の大学へ新入学なさるため、4月新学期からのお部屋をお探しでした。
立川駅直近の賃貸業者さんが私と物件の事を覚えていてくださり、リモート商談を進めて、内装工事完成後にリモート動画内見頂けて、その後、すぐに遠隔リモート契約を纏めてくださいました。
そこまでは良かったのですが、1日でも工期を短縮しようと、内装業者さんが着工する前に電気と水回り工事を先行してDIYするため、現場作業をしたところ、ドアクローザーが故障していることが分かりました。
見た目は破損していませんが、いわゆる開閉速度( 第1速度、第2速度の油圧調整 )が全く効かない状態で、ドアが勢いよく閉まり、大きな騒音と振動を発生させる状態でした。
入居者の方は新入学の女子大生ですから、入居された後で騒音の近隣クレーム等を受けることになってはビビッてしまうでしょう。そうなればすぐに私へクレームがくることになりますので、今のうちに直しておく必要があります。
隣の部屋は女性の一人暮らしで、DIY中に偶然、見かけた限りでは、身なりもきちんとした年配のご婦人という感じでした。それだけに集団生活のマナーには厳しいかもしれません。
その女性のお部屋のドアには、単身女性物件には珍しく、所番地とその女性の名前がきちんと掲示されており、生活に対しての自信のようなものも感じ取れました。
在室中、私のDIY工事の騒音については、特にクレーム等はありませんでしたが、今後、長期的にはどうなるかは分かりませんから、万全を期すべきです。
■ 既存のドア孔を流用し、ほとんどの機種に代替えできるRYOBI製・S-202Pシリーズ
既存のドアクローザー故障を発見した時は、ネット手配して、入荷したら交換すれば済むと気軽に考えていました。
帰宅して、色々とネット検索してものの、同じものがどうしても見当たりません。ドアクローザーは製品にメイハン表示がなく、現物で固有型式を識別できないので、現場で外観写真を撮影して、それに類似したものをメーカーサイトで探すしかありません。
色々と検索してみるとMIWAロックはドアクローザー事業から2021年3月末で撤退していることを初めて知りました。それまでの物件は全てRYOBI製ドアクローザーでしたのでMIWAロックの事業動向には全く気付いていませんでした。
内装業者さんの中ではこのことは常識で、それぞれ苦労して部品を入手したり、あるいはドアとドア枠を加工し直して、他社製を付けたりしていたようです。当然、MIWAロックは事業撤退で全廃ですから、後継機種もありません。
私も、ドア枠とドアに新たな孔を開けて、タップでビス溝を切って新しい他社製品を取り付ける方法を考えました。タップ切が面倒なら、セルフタップビスを強引にねじ込んでしまう手もあるでしょう・・・・・・。
しかし、鉄製の建築部材に鉄工ドリルで現場穴あけ加工するのは、木部加工と違い、時間と労力でかなり大変です。脚立に乗って、高所上向きの無理な姿勢での作業で、年寄りにはかなり辛いので、できれば避けたいと思いました。更に、お隣のご婦人への騒音を考えると、もっと気が進みません。
同時に、複数の穴あけとタップ切作業はかなりの時間を要し、その分を他の電気工事、水道工事などに当てて、多忙な繁忙期の現場通勤回数を最小限にしたい事情もありました。
3月は入退去に伴う現場作業は無論ですが、デスクワークの事務仕事も山積しています。そこで色々と調査した結果、RYOBI製のS-202Pリーズというドアクローザーを見つけました。
■ 工夫された製品で構造は複雑でも現場施工は極めてシンプルで簡単
プロの職人さんでは常識の製品なのかもしれませんが、MIWA製ドアクローザーの廃止品対応、初体験・お悩み中の私には、かゆいところに手が届く、製品設計で思わずうなってしまいました(笑)
図4、図5、図6のように、アーム取付、本体取付ともに、既存孔に対して、いとも簡単にサイズ調整で合わせこめます。正に、必要は発明の母ですね!お値段もネット通販で5,000〜6,000円程度、しかも即納でした。
更に、多くのドアクローザーはストップ機能有無によって別機種ですが、この製品はストップ機能を現場調整設定で選択できます。
今回は玄関が一段、奥まった構造なのでストップ機能無しで調整設定しました。取付から開閉速度調整までトータルで30分間程度で完成できました。これがもし、孔空け加工を行っていたら、何倍もの時間と労力が必要だったことでしょう。隣室への騒音も皆無で完了しました。
今回は、ドアクローザー事業から撤退したMIWAロック製ドアクローザーの交換について、情報共有させて頂きました。読者の皆様の賃貸運営やDIYのご参考にお役に立てば幸いでございます。
*本稿は特定のメーカー製品を奨励・宣伝しているわけではなく、あくまで私の一体験事例です。製品選択は読者の自己判断でお願いいたします。