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税引前利益と税引後利益とキャッシュフローを完全に理解するー初心者のための不動産投資の始め方4ー

赤井誠さん_画像 赤井誠さん 第213話

2020/7/28 掲載

こんにちは。赤井誠です。前回は見かけだけではなく「 本物の利益 」の出る物件の選び方ということについて書きました。

そこでは、税引後利益とキャッシュフローが非常に重要であること、さらに、時間軸によって減価償却費が変化するということに気を付けなくてはならないということ、そこを見落とすと、最初は良かったけど途中でうまくいかなくなったりするということをお話ししました。

今回は、そのことについて具体的事例をあげて詳しくお話ししたいと思います。

■ 税引前利益と税引後利益とキャッシュフローの関係

詳細を話すまえに、税引前利益と税引後利益とキャッシュフローの関係を記します。ここをきちんと覚えてください。

税引前利益
=年間総収入−経費( 固都税・管理費・広告費・修繕費など )−ローン利子−減価償却費

税引後利益
= 税引前利益 − 所得税・住民税・事業税( 法人税・法人住民税・法人事業税 )

キャッシュフロー
= 税引後利益 − ローン元本 + 減価償却費


■ 木造中古戸建てを現金購入した時の利益

まず、税引前利益についてお話しします。

新築では減価償却期間が長く( 建物部分RC47年、鉄骨34年、木造22年、付帯設備部分それぞれ15年 )、長期にわたって少しずつ償却していくので、償却期間の間、税引前利益は大きく変化しません。

以前は建物の30%くらいを占める「 付帯設備 」の部分が定率法で償却できたので、数年でかなり償却額が変わってきました。今は付帯設備も定額法でしか償却できないので、注意するとすれば付帯設備の耐用年数の切れる15年目以降です。

特に注意しなくてはならないのは中古の場合です。中古の場合、耐用年数に応じて償却期間は短くなります。例えば木造23年の場合は耐用年数切れのため償却期間は「 耐用年数x0.2=4年 」 となります。

例えば、利回り15%の築23年の木造戸建てを560万円( 建物320万円/土地240万円 )で現金購入して賃貸した場合、税引前利益は以下のようになります。

家賃年収84万円
( 固都税5% 管理費3% 修繕費0 ローン利子0 減価償却4年で320万円 )

<1年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80=-2.72 ⇒ CF=-2.72+80=77.28
<2年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80=-2.72 ⇒ CF=-2.72+80=77.28
<3年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80=-2.72 ⇒ CF=-2.72+80=77.28
<4年目>
税引前利益 84-4.2-2.52-80=-2.72 ⇒ CF=-2.72+80=77.28
<5年目>
税引前利益 84-4.2-2.52=77.28 ⇒ CF・・・?

4年目までは税引前利益が償却によって赤字になっているので、税金も0です。そのため、税引後利益も0となり、CFは77.28万円となります。

問題なのは5年目です。5年目には償却が切れたことによって税引前利益が77.28万円出ています。そのため、ここに所得税・住民税・事業税がかかってきます。これが一番厄介なところです。

例えば、サラリーマン大家で年間所得が500万円の方の場合を例にとってみます。個人の所得は累進課税なので所得税は20%、住民税は10%になります( 図1参照 )。

そのため、77.28万円に対する税金は、所得税が15,46万円、住民税が7.73万円となり、税引後利益は54.09万円、CFも54.09万円となります。税引前利益が出ることで課税が発生し、手残りのCFが小さくなったのです。

ただ、現金購入なので、手残りは残ります。しかし、これを繰り返していくと、収入が大きくなるにつれて一戸当たりの手残りはどんどん少なくなっていくということがわかると思います。

■ 年収900万円の会社員が10戸目の戸建てを買った時の利益

次に、年間所得が900万円のサラリーマンの比較的高収入な人がどんどん買い進めて、9戸目までが完全に償却が切れて、10戸目を購入しその5年後に減価償却がなくなったとすると、不動産所得は840万円。

そこから10戸分の固定資産税と管理費をひいて、税引前利益が772.8万円です。その利益に対する所得税は33%、住民税は10%になります( 図1参照 )。

税引前利益772.8万円に対する税金は、サラリーマン所得のみの場合は、「 所得税=900x23%-63.6=143.4万円 」です。

一方、不動産所得を加えた場合は収入が「 900+772.8=1672.8万円 」に増え、「 所得税=1672.8x33%-153.6=398.4万円 」になります。不動産所得が増えたことによる税金増は255.0万円となっています。

さらに、平成25年分から令和19年分までは所得税に伴う復興特別所得税「 255.0x2.1%=5.4万円 」もかかります。加えて、「 住民税77.2万円 」が増額になります。

それだけではありません。290万円を超えた利益に対しては5%の事業税もかかるため、「 事業税=( 772.8-290 )x0.05=24.1万円 」となり、不動産所得に対する税引後利益は「 772.8-( 255.0+5.4+77.2+24.1 )=361.7万円 」で、CFは361.7万円となります。

結果、当初772.8万円残ると思っていたCFは、最終的に361.7万円となり、約46.8%に減っていることがわかります。




 
以上はあくまでも、借金が0の場合です。注意をしなくてはならないのが、融資を利用する場合です。

■ 融資を利用した場合は減価償却切れに注意

例えば、築22年超の8,400万円( 建物4,000万円 土地4,400万円 )、利回り10%の物件をフルローンで購入したとします。借り入れ条件は金利2%、期間15年とします。この場合のシミュレーションを図3に示します。

家賃年収840万円
( 固都税5% 管理費3% 修繕費0 フルローン(金利2%、期間15年) 減価償却4年で4,000万円 )

<1年目>
税引前利益 840-42-27.2-163.6-1000=-392.8
税引後利益=-392.8
⇒ CF=-392.8-485.1+1000=122.1
<2年目>
税引前利益 840-42-27.2-153.8-1000=-383.0
税引後利益=-383.0
⇒ CF=-383.0-494.9+1000=122.1
<3年目>
税引前利益 840-42-27.2-143.8-1000=-373.0
税引後利益=-373.0
⇒ CF=-373.0-504.9+1000=122.1
<4年目>
税引前利益 840-42-27.2-133.6-1000=-362.8
税引後利益=-362.8
⇒CF=-362.8-515.1+1000=122.1

4年目まで減価償却によって、毎年122.1万円のキャッシュフローが残るので、なんとなく成功した気持ちになりやすいといえます。「 初年度にキャッシュフローが122.1万円残ります 」といわれると何も考えずに大丈夫と勘違いして購入してしまう人も多いのです。

さらに当初の4年間は税引前利益がマイナスなため、サラリーマンの税金も還付されるため、手残りが増えているから大丈夫と勘違いしてしまう人もいます。しかし、その状態がずっと続くわけではありません。

では、償却が切れたあとにどのような収支になるか検討してみましょう。

<5年目>
税引前利益 840-42-27.2-123.2=647.6

このように647.6万円の利益が出ました。この方が年間所得330万円だとしたら、もともとの所得税は「 330x10%-9.75=23.3万円 」となります。

そこに不動産所得の647.6万円が加わると、所得税は「 977.6x33%-153.6 =169.0」で169万円 に増えます。サラリーマン所得に不動産所得が加わることによって所得税は「 169.0-23.3=145.7万円 」に増えています。

それだけではありません。それに伴う復興特別所得税は「145.7x2.1%=3.1万円 」。住民税は10%なので64.8万円。事業税は「( 647.6-290 )x5%=17.9万円 」。合計の税額は231.5万円増えるのです。

したがって、「 税引後利益=647.6-231.5=416.1万円 」。そして、減価償却がなくなってしまったため、ここからローン元本を引くと、「 CF=416.1-525.5+0=-109.4万円 」となり、キャッシュフローがマイナスになっていきます。

これ以降はずっとマイナスで、当初、「 毎年122.1万円も残る 」と喜んでいた人が、この先はローン返済を行うと、給与から毎年お金が減り続けることになってしまうのです。


サラリーマンではなく専業大家の場合は、それ以外に社会保険も増額されます。

■ 経時的なシミュレーションで正確なキャッシュフローを知ろう

いかがでしょうか。減価償却というのは、大幅なキャッシュフローを与えてくれる半面、償却期間が過ぎた後には、キャッシュフローに大きな影響を与えるという性質を持っています。

ここでは、たった一棟の場合を示しましたが、複数の物件を次々と購入していると、このような問題が先送りになり、気が付いた時には取り返しがつかない状態になってしまうこともあります。

何度もいいますが、きちんと経時的なシミュレーションをしないと、見かけではない本当の収益を得られるか、キャッシュフローも得られるのかがわからないのです。

また、今回は修繕費も0としましたし、社会保険に関することについても省略しました。所得の取り方によって社会保険は10%以上の負担増になり、このあたりも考えて購入しないと、無駄な出費をすることになります。この点については今後、お話ししたいと思います。

償却期間より長い融資を利用し、頭金が少ない場合、このような状態になる可能性は高くなります。私も機会があれば、シミュレーションを利用したキャッシュフローのお話をどこかでやってみたいと思います。

【まとめ】
減価償却によって初年度にキャッシュフローがでても、償却が切れた場合にお金を手出ししなくてはならなくなる可能性があります。きちんと長期のお金の流れを理解しましょう。


【編集部追記】年収900万円の会社員が10戸目の戸建てを買った時の利益の部分で、所得税の計算方法に間違いがあったため、修正しました。( 2020/8/2 )

築22年超の8,400万円( 建物4,000万円 土地4,400万円 )、利回り10%の物件をフルローンで購入した場合の計算方法に間違いがあったため、修正しました。また、その他の部分でも誤解を与える表現については訂正しました。( 2020/8/9 )

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プロフィール

■ 赤井誠さん

赤井誠
赤井誠さんのブログ

196X年 横浜生まれ
13棟97室の大家

■ 経歴

北海道大学大学院卒業後、某電機メーカーに就職。2013年に退社し専業大家となる。

不動産投資セミナーの講師等でも活躍。

知識ゼロからはじめて13棟97室。年間家賃収入は約1億800万円(2018年1月時点)

何事にも全力でチャレンジし、現在はアパマン経営に驀進中!

■ 所有物件一覧

□2005年
福岡市アパート 
1DK×10戸
2008年売却済み

□2006年
仙台市アパート 利回り17%
1K+ロフト×10戸
2012年売却済み

横浜市マンション 利回り11%
1K×23戸
2014年売却済み

□2008年
横浜市アパート 新築 利回り11%
1K+ロフト×6戸

横浜市アパート 新築 利回り11%
1K+ロフト×8戸

□2009年
横浜市戸建て 利回り15%
4SLDK+サンルーム

□2010年
横浜市アパート新築  利回り13%
1K×8戸

□2010年
横浜市アパート 利回り20%
1K×4戸

□2011年
横浜市マンション 利回り15%
1K×10戸,1LDK×1戸

□2011年
横浜市マンション 利回り15%
店舗,1LDK

□2012年
杉並区区分マンション 利回り16%
2015年売却済み

□2012年
柏市アパート 利回り20%
1K+ロフト×10戸
2013年売却済み

□2013年
藤沢市パーキング 利回り25%
30台
2016年売却済み

□2014年
横浜市テラスハウス 利回り13%
1LDK x 2

□2015年
横浜市アパート 利回り9%
2DK x 8戸

□2016年
横浜市マンション 利回り11%
2DK x 4戸+ 7LDK シェアハウス

□2017年
横浜市アパート 利回り14%
2DK x 4戸

□2018年
横浜市アパート新築 利回り9.6%
1LDK+ロフト x 2戸

□2018年
横浜市アパート新築中 利回り9.6%
1LDK+ロフト,店舗

□2018年
横浜市アパート新築中 利回り7.6%
1K x 15戸

さらに詳しいプロフィール
幼少期から現在までほか


■ 赤井さんの本

赤井誠
ゼロからの不動産投資(すばる舎)

赤井さん2冊目
本気ではじめる不動産投資(すばる舎)

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