こんにちは。赤井誠です。
前回に引き続き、競売物件で経験したお話を書きたいと思います。
運良く年初に2件の入札をして、どちらも落札できました。決して高い金額ではありませんが、いろいろ問題の多い物件にしか入札しないことが落札の大きな決め手になっていると思います。
私の場合は、サポートしてもらえる法律に強い仲の良い業者さんがいるために、最初からこういった問題物件に取り組んでいます。
二番目に落札した物件も、横浜市内の一戸建てです。こちらは持分の一部が競売にかかったものでした。そのため、落札しても土地・建物全部を所有できません。
奥様と共有名義の旦那さんの分が競売になり、奥様の分は競売になっていません。ご夫婦でしたが、連帯保証人にもなっていなかったのですかね。事実はよくわかりません。
自分の場合はアパート・マンションなどのすべての物件で妻が連帯債務者や連帯保証人になっているので、私が破産すれば、妻も破産する構図です。そのため、あまり無理しないことと財務を健全にしていくことをかなり意識しています。
そういう意味では、この方は最初はしっかりしていたのでしょうか。
ただ残念ながら、奥さまの持分は全体の1/3です。私は2/3の持分を競売で取得しましたので、私の持分の方が多いです。この辺をきちんとお話して、落札後は奥さまの所有する持分をこちらに売却してもらう交渉をすることになりました。
何度か自宅をお訪ねましたが、結局一度も破綻者である旦那さんには会うことができず、奥さまだけと話をすることになりました。もうすでに奥様に全権が委任されているようです。
奥様の方とお話しすると、このままここに住み続けるつもりはないことがわかりました。
そのため、奥様の持分を売却した後もそのまま3ヶ月間程度は無料で住んでもいいので早めに売買契約をしてもらえないかを交渉し了承していただけました。
そうなると焦点は売却価格です。奥様の方は近くの中古物件の売値を基準にしています。破産する前に、いろいろ売却の可能性を模索したものと思います。
最終的には奥さまサイドには弁護士さんがついて、その方を含めていくらぐらいかが妥当かの交渉をすることになりました。
もちろんこちらサイドは落札価格ベースです。ただし、その金額では希望価格とかなりの乖離があります。しかしながら、価格よりも時間優先ということで、最終的にはある程度の価格で妥協して一日も早く退去してもらうことが得策であるという判断をしました。
ただし、しばらく住んでもかまわないことを条件に、名義移転後はリフォームのための業者さんの出入りや入居希望者の内見などは協力してもらうことを条件としました。
そして、退去までの間に様々な準備をしておくことにしました。
契約の日には妻と一緒に出ましたが、相手の奥様とうちの妻はほぼ同い年。しかし、明らかに疲れきったご様子。
相手の方ももとはそれなりの暮らしをしていたはずですが、50歳ぐらいの年齢で破産してしまうと、その後の挽回や今後の生活はかなり厳しくなると思います。
売却したお金はそれなりの金額で奥様の口座にそっくり残ったはずですので、一日でも早く今までどおりの生活に復帰できることを願いたいと思います。
結局、このご夫婦はきっちり3ヶ月間この物件に入居し続けて、売却したお金でどちらかの賃貸住宅に移ったようです。
競売に関わりはじめたばかりですが、元の所有者に出て行ってもらうことになったのはこれが初めてでした。
年代的には自分たちと近い世代がこのようなことになるのを目の当たりにし、自分自身の行動を戒める機会になりました。
ただ、その後の落札ではもっとすごいことに直面するのですが、こちらはまだまだ継続中のため、コラムに書くことが出来ません。
その後、昨年だけで8棟の物件を落札しましたが、それぞれで様々な人間模様があり、いい経験をさせていただいています。
ただ、一つ言えることは、ほとんどの方々が若い頃は間違いなく自分よりはお金持ちでいい生活をしていたことだけは残置物が教えてくれました。