さて、最近、国道沿いの更地に、ナイスなテナントが決まった。
中古車買い取り・販売業者だ。
通称・根性モータースだ。
二週間前に更新した、ジモティ経由で決定シタ。

☆国道沿い更地・きこりん村
・購入経緯
この土地を購入したのは、すでに十年以上前だったと思ふ。
国道に面した荒れた土地に、売り物件のカンバンが、道路に対して水平に立っていた。
水平だと、走行中のクルマからは、なかなか認識しづらい。
立地はまあまあよかったのだが、直径十五センチくらいの白樺の木が、五十本位生えていて、草もボーボー。
おまけに、土地が奥に向かって、一メートル位、沈んでいる。
土地面積は百五十五坪。
台形みたいな変なカタチで、接道も十メートル位だった。
住宅地から少し離れた、市街化調整区域だった。
四十年前の高校時代、バスの窓から見ると、造園業者が借りている様子だった。
当時の犬小屋もそのまま残っていた。
・三年間、繰り返し買付を入れる
毎年春に、三年間買い付けを入れ続けた。
初年度は、売値の三割三分で玉砕。
二年目は、四割で玉砕。
この間に、同じく国道沿いの「 無傷の三百坪 」、事務所、住宅地の七十七坪の更地を購入。
全て現金購入だったので、かなり貯金が減ってきた。
よって、深追いはしなかった。
・三年目の春の買い付け
入院中だった三年目の春。
ヒマをもてあまし、脳ミソの中で、思考がグルグル回る。
そうだ、あの土地にまた買付を入れよう。
バス・トイレ付の広い個室から、元付け不動産業者に電話を発信。
勇気を振り絞って、再び、売値の四割で買付を入れた。
ニンゲン、考える時間が必要だ。
・マネー成立by吉田B作
数日後、入院中のベッドで、電話を受信。
四割から大幅に押し戻されて、五割一分六厘六毛だったら、売却してもいいとのこと。
その場で、
「 謹んで、お受けいたします 」と回答。
マネー成立、by吉田B作だ。
・坂井三郎先生の教えと忍耐力
かつて、ラバウル海軍航空隊のエース・パイロット坂井三郎先生にお会いした時、直接うかがった話。
ゼロ戦で敵機を撃墜する時に、左下に潜り込み、相手の左主翼の付根に、7.7mm機銃を思いっきり発射する。
そうすると力のかかる部分が弱り、主翼が吹っ飛び、撃墜できるといふ。
この時は、坂井先生の作戦を、不動産に応用した。
三年間耐える忍耐力と、同じことの繰り返しが重要だ。

ラバウル海軍航空隊・坂井三郎先生

坂井三郎先生の書
・売主の事情
売主は、近所に住むご高齢の男性。
八十代前半だった。
中学校の同級生の女の子と同じ苗字。
若くして病気で父親を亡くしている。
その話をすると、深くため息をつき、
「 あぁ、それは、俺の弟だ 」といふ。
不思議な縁を感じた。
五十代の娘と一緒に、ワタクシの事務所で決済。
百万円の封印した新券の札束を、封印を切って娘が一枚一枚数えていた。
そのシーンに、少し違和感があった。
なぜ台形みたいなカタチなのかを質問。
すると、数十年前に知人から、土地を半分譲ってくれといわれ、イヤイヤながら売却したそうだ。
元々は長方形だったが、その後、国道の拡張で、国家に接収され、変な台形みたいになったとのこと。
この時から、失地の回復の旅が始まった。
・開拓時代
まず、犬小屋及び残置物の撤収。
朽ち果てた木材が、五十本位横たわっていた。
これは、ゴミ処理業者に依頼。
五万円位だったと思ふ。
続いて、きこり太郎を投入。
局に勤務する、元造園業者だ。
局といっても、CIA局ではなく、郵便局だ。
過酷な任務は、五十本生えている白樺の木を切ること。
チェーンソーを貸すといったが、
「 手ノコで頑張ります 」
といい、任務が完了するまで、還ってくるなと、水盃で別れた。
数日後に見に行くと、根元から全て切られていて、スッキリしていた。
……と、ここまで書いてWBC、日本軍優勝だ。
万歳!
・更地造成
無傷の三百坪を開拓した業者に依頼。
多分、十一トンダンプ、十五台分くらい必要だ。
推定・合計百立米位だ。
ダンプ一台・七立米である。
まずは、無傷の三百坪から出た三杯分を搬入。
その後、
「 くもりガラスの向こうはゴミ屋敷 」
物件から、庭を削って駐車場を造成した残りの土を搬入。
これで二杯分。
この時で、幅十メートル位の前方後円墳的なものが出来たが、まだ足りない。
今度は造成業者から、着信アリ。
建築現場から出た土を搬入していいかとのこと。
了解し、五杯分位搬入。
それでも、まだ足りない。
すると、事務所近所の新築現場で、真新しい土を運ぶダンプに遭遇。
運転手に話しかけて、一杯五千円で購入することになった。
二杯分購入。
メルセデスで誘導し、土を搬入。
ここまでやって、完成に近づいた。

☆農協モータース
確か、購入の年の秋だったと思ふ。
近所の農協モータース( 仮名 )から、着信アリ。
社員の駐車場で借りたいとのこと。
ほぼ造成が終わっていた右側の五十坪を三万円で賃貸が決まった。
・更地の苦悩
更地の欠点は、入りやすいが、出やすいことだ。
この農協モータースも、三年で卒業。
後に物置だけ置く会社にも賃貸したが、半年位で卒業。
数年間、家賃収入もなく、なかなか安定しなかった。
・隣地の購入
四年位前、土地を十坪だけ借りたいと、東京の会社から打診アリ。
謄本を調べて、自宅に来た。
隣地のソーラーパネル用の、防犯カメラを設置したいといふ。
最初は、\750‐/坪の提案だったが、
「 北海道の田舎モノだと思って、バカにしているのですか? 」
といふと、\2,000‐/坪に上がった。
結局、土地の一番左奥を貸すことになった。
残った土地は、将来、別のテナントに貸せる準備を整えた。
☆失地の回復
この会社に土地を貸したことで、隣地の六十一坪の所有者がわかった。
謄本を取って調べてくれたのだ。
104で電話番号を調べ、事情を説明すると、亡きお父様から相続を受けた土地だった。
数日後、司法書士と一緒に家庭訪問。
豪邸に住む、五十代の上品な女性だった。
司法書士の先生と共に、今は亡きお父様の仏前に、線香を供え、合掌。
訊けば、使い道のない荒れ地だったので、となりの人が買ってくれないかと、思っていたそうだ。
ワタクシの土地を購入した坪単価を説明し、やや上乗せした価格で譲ってもらった。
元々、ひとつの土地を分割した話も、国道用地に国家に接収された話も、知らなかった。
これで、百五十五坪+六十一坪で、合計二百十六坪になり、間口も広がった。
アドルフおじさんのいふところの、失地の回復である。
隣地購入で、土地も歪んだ台形から三角形になり、使い勝手がよくなった。

失地回復の軌跡
☆キムタク崩れ造園投入
この直後に、決戦に備えて温存していた、キムタク崩れ造園を投入。
ダンプ四杯の土と、ダンプ二杯の砕石を投入。
まだ高校生だった甥のネオモリタと、レクサスの車内から、ホイールローダーを手足のように操る、華麗なるキムタク崩れ造園の、オペレーションを眺めていた。
土地がフラットになり、砕石を敷いた土地は、龍安寺の石庭のような、美しい姿になった。
☆塗装会社
この直後に、塗装会社から入居の打診アリ。
塗料貯蔵用倉庫を設置したいといふ。
市街化調整区域ですよといふと、それがいいといふ。
訊けば、今まで住宅地に保管していたが、近隣住民から、臭いとか、燃えるとか、弾圧とイヤガラセを受けていたそうだ。
その土地が高値で売却されることになり、次の土地を探していたそうだ。
左側の百坪を貸すことになった。
☆夜逃げ
直後に、右側の土地も、大学生の運営する、中古車販売業者に貸すことになった。
ジモティ経由の応募だ。
話を訊くと、学校に通いながら、中古車販売業を営む、立派な青年だった。
ただ、面接の時に、そわそわしているのが気になった。
数か月後、家賃の滞納が始まり、連絡が取れなくなった。
結局、夜逃げだ。
そわそわは、夜逃げの仕草だったのだ。
安定のジモティ・クォリティだ。
保証人である若いGFに連絡を取り、とにかく残置物だけは、早急に撤収してクダサイと伝えた。
しばらくすると、荷物がなくなっていた。
更地は、入りやすく出やすい。
その後も二人、ジモティ経由で、若い入居者が決まったが、各一ヵ月で卒業。
なかなか定着しなかった。
☆根性モータース( 仮名 )
苦悩していた今年の三月上旬。
再び、ジモティ経由で打診アリ。
文章も丁寧だった。
現在のジモティは電話番号記入禁止だ。
暗号で電話番号を伝えると、登録している名前で着信アリ。
昨年秋に、半グレモータースに貸していた土地で会っている。
廃車買い取り業者だ。
二十分後に、事務所で会う。
坊主頭にヒゲ。
体格もよく、見た目は893風味だ。
しかし、礼儀正しく、美しい日本語を話す。
なにか共通点を感じた。
一時間位、事務所で会話が弾む。
なかなか、根性のアル人だった。
空いている住宅地二つを紹介したが、前面道路の幅と、面積で転進。
三物件目の国道沿い更地を紹介すると、若干の指値が入ったが、とても気に入ってくれた。
翌日、着信アリ。
マネー成立、by吉田B作だ。
訊けば、二年以内に国道沿いに出店するのが夢だったようだ。
二年前倒しで、夢が叶った。
明るくて楽しい人なので、ワタクシも嬉しい。
☆まとめ
ひとつの土地を必要な面積を尋ね、うまく分割して、三社に貸した。
発見から十三年。購入から十年。
ようやく、安定した。
奥に向かって沈んだ土地で、草木がボーボー生えていた。
おまけに、朽ち果てた犬小屋も放置プレイ。
ただ、国道に面した土地で、中央分離帯も割れていて、対向車線からも入ることができた。
さらに、フロントに百坪位、かつて接収された開発局の土地があり、一時的に駐車もできる。
開拓すれば、なんとかなる。
根拠のナイ自信があった。
最初の直感は正しかった。
ここまで十年かかったが、現在では、三社合計で、十五万五千円の家賃をいただいている。
ありがたい。
土地購入、開拓、隣地購入、再び開拓。
すべて現金で支払っている。
ローンを組んでアパートを買うよりも、精神的には楽だ。
フルローンで一億円相当のマンションに匹敵するキャッシュフローだ。
但し、時間がかかる。
忍耐力と根性が必要だ。

きこりん村の近所のローソンとローダー
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#note
3/25/2023