まずは19号物件から。こちらは幹線道路に面する物件で、土地と建物の両方があります。現在は、土地部分を駐車場、建物部分を店舗として、大手企業が一括で借り上げてくれています。
この物件は、地主さんが相続で手放した物を、オーナーチェンジで購入しました。色々な偶然が重なり、たまたまワタシの元に来た物件情報でした。
借主の大手企業は、この物件だけでなく、複数の地主さんが所有しておられる土地を幾つも借り上げています。企業側は取得する費用と出店スピードを優先し、取得せずに借り上げるのが基本なのです。
実はこの物件、3回に分けて購入しました。1回目、相続案件物件の取得です。3回の中で一番大きな土地建物部分を取得しました。2回目に買ったのは、そのお隣の敷地です。
ワタシが購入した翌月に、地主さんから買って欲しいとお願いされました。「 隣地は高くても買え 」という不動産用語があるように、もちろん喜んで購入させて頂きました。当然、その部分も企業一括借上げの土地に入っています。
そして3回目、1年後にそのまたお隣の隣地所有者さんからお話をいただき、購入する事になりました。こちらも企業一括借上げ地です。結果、ワタシはこの企業の借上げ敷地面積の約7割を所有することになりました。
残り3割は他の地主さんの土地ですが、一番大きくて道路に面した土地をワタシが所有しているので、今後手放す話が出た際には、一番に話が入って来ると思われます。
次世代へ繋がるかもしれないような気が長い話ですが、急がずにじっくりゆっくり、それでも全てを取得できる日まで待ちたいと思っています。
■ ロードサイドの土地を購入して、事業賃貸を誘致することに
事業用地は利回り的に見ると普通の住居系賃貸よりも低いので、旨味は少ないのかもしれません。しかし、何と言っても一括借上げしてくれている企業との長期何十年の契約期間中、一度も退去がないというのは魅力です。
( 余談ですが、契約は普通の「 事業用賃貸借契約書 」ではなく、「 公正証書 」を使うのが一般的です。契約期間が長い為、関係者が亡くなってしまっても相続人がその権利をそのまま引き継ぎます )。
入居期間中は一括借上げしてくれている為、全く手間がかからず、年間にかかる経費は固定資産税のみ、もちろん借入返済と固定資産税を支払っても十分にキャッシュフローは残っていきます。これが、最初に事業用借地を持ってみて知った大きなメリットでした。
味を占めた( 笑 )私は、同じような物件がないかと探し始めたのですが、そんな簡単には見つかりません( 苦笑 )。そりゃそうですよね、入退去の手間がない魅力的な土地ですから。
ではどうするか。土地を購入して、その土地に事業賃貸を誘致すれば良いと考えました。それを思いついてから、過去の取引事例を色々と調べて、ある一定の法則がある事を知りました。
@大きな幹線道路に面している事
A誘致して来る業種によって欲しい面積が変わる事
他にも色んな条件がありますが、基本はその二つです。『 店舗、出店条件 』などで検索しつつ、さらに調べると、様々な業種の出店条件が出て来ました。これらを調べ上げてリスト化し、条件に合う土地を探す事にしました。
そして見つけたのが21号物件です。太い幹線道路沿いにある、大きな農家住宅が付いた古家付きの土地でした。エリアの需要や環境、普段の生活道路としても使っている場所だったので、ピンと来たのかもしれません。
ちょっとこの建物をつぶすのはもったいないかも?と思う程、素敵な建具がたくさん付いた農家住宅でした。いつもならこの建物を生かす形で再生を考えたと思いますが、今回は出店条件などを当てはめると、これ以上ない条件が揃っている土地でしたので、それは諦めました。
■ 21号物件のステキな建具を再活用
ではどうしたかというと、建具だけ解体前に大工さんへ頼んで、全部取り外してもらいました。それを丸ごと別の物件へ移植しました( 笑 )。その建具を紹介します。

一枚板で作られた無垢の建具、真ん中の飾り彫りも素敵です。

細かな縦格子と横格子デザインで作られている建具。

立派な書院欄間、細かな装飾が素敵な建具です。

まったく別の物件に、21号物件の建具を使った写真です。この建物も戦前に建てられた築80年越えの木造家屋だったので、しっくりと馴染んでいます。

先ほどの1枚板で作られた建具も、再度玄関へ移設。縦に入っている灯り取りと風通しを考えたスリットは、実は千本格子の欄間を縦に設置した物です。

和風の物件だったので、玄関正面に先ほどの書院建具と飾り違い棚を取付けました。金ぴかクロスで壁を仕上げたので、玄関を入って直ぐのインパクトは絶大です。
このように、解体予定物件から別の物件へと設備品や建具を移植すると、費用も抑える事ができますし、他にはない1点モノのリノベーション物件を作り上げる事ができるので、よく使う手法です。

この正面に付けた建具も、取り外して移植した建具です。天井の簾は元々この物件についていた物で、既存の物を生かしてそのまま使用しています。
■ 文化財発掘調査を乗り越えて安定の土地貸しがスタート
話を元に戻して、21号物件についてです。事業誘致が決まるまでは色々な企業に声をかけました。自らFCチェーンや店舗出店用地情報を探している事業者にコンタクトを取ってみたところ、手を上げてくれる事業者が見付かりました。
大手事業者です。随分前からこの辺りで土地を探していたけれど、なかなかお眼鏡にかなう物件がなかったそうで、破格のオファーを出してくれました。
ちょうどその頃、事業者を探しつつ、建物解体も終了し、更地に戻った土地で掘削作業が始まりました。実はこの土地、埋蔵文化財包蔵地エリアに指定されていました(;´∀`)
「 出るな、出るな 」と願っている時に限って、どうも大当たりを引いてしまうようで、遺跡試掘調査の段階で、弥生時代の土器が出てしまいました…( 一一)。試掘調査から建築面積予定の部分を発掘調査することになり、追加工事費が発生しました(-_-;)
ちなみに、埋蔵文化財発掘調査にかかる費用は、市町村によっては補助金が出る場合もあるものの、法人所有で事業用地( アパートマンションも同じ )として使用する場合は、土地所有者が費用負担する必要があります。
丸2カ月をかけて発掘調査が終わり、その後、事業者さんと「 事業用地定期借地契約 」を合意し、公正証書を交わしました。その後、一度の滞納もありません。きっと、借地契約期間が終わるまでは退去もない事でしょう。
安定収入の柱という意味では、「 事業用定期借地 」は誘致ハードルは高いけれど、一番手堅い投資方法だと思います。なにせ、何もすることがありません。
このような土地貸しは、利回りは住居系よりも低いけど、入退去の手間がいりませんし、契約期間が終われば更地で土地が返還され、その頃には借入金がほぼない状態になっています。つまり、最後は無借金の更地が残るのです。そこから、本当の意味で土地を所有できます。
これは魅力です。ワタシはこの19号物件と21号物件を借入金という他人資本を使い、物件からもたらされる家賃収入で返済と税金を賄い、自分の退職金代わりに運用する予定です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。ではまた次回、お会いしましょうね〜(^^)/