以前のコラムにも書いた22号物件、満室になってその後順調に稼働しておりました。全室ファミリー物件ですが、年に何回かは退去の連絡があります。退去後、原状回復が終わり、無事次の入居者さんも決まって入居待ち状態の時に、事件は起きました。
たまたまなのですが、4階部屋の入居者さんがご入居したばかり。位置関係はこんな感じです。
4階:入居したばかり
3階:空室(入居前)
2階:入居中
1階:入居中
3階:空室(入居前)
2階:入居中
1階:入居中
2階の入居者さんから、「大量の水が天井から漏れて来る」と連絡をもらい、すぐに物件へ駆け付けました。

入居者さんの部屋で、水を受ける為にバケツや鍋などで水を受けていた時の実際の写真です。

この照明器具から大量の水が漏れて来るとのこと。すぐに照明器具の電気を消してもらいました。二次被害で漏電など起きては大変です。この時点では何から漏れているか全く分かりませんでしたので、各部屋の給水も全て止めました。
そして上階である3階空室を確認に行きました。

入居前の部屋が水浸しです(ノД`)・゜・。

もうこうなると、水を拭いていくしか方法がありません。近くで買ってきた雑巾片手に大量の水を拭きました。

工具入れの箱にたっぷりたまった汚水…。どっと疲れました。この時点で夜中の1時過ぎです(;´∀`)
■ 漏水の原因と入居者さんへのフォロー
22号物件は元々国が管理していた物件という事もあり、建物内部のメンテナンスはある程度施されていましたし、事前の排水管診断ではどこも問題がなかったので、今回のリノベの際は排水の立管をそのまま使用しています。

@が浴室・洗濯機・トイレ排水用の立管
Aがキッチン専用となる排水用の立管
水漏れの特定をしていくと、特に大量に漏れていた箇所は、キッチン周辺とリビング回りです。浴室周辺は水漏れしていません。
空室である3階部屋の一番被害が酷かったため、4階の部屋を疑い、排水溝を見せてもらう事にしました。ところが、4階のキッチン排水溝を見ても、漏れている形跡がありません。どう考えてもおかしい。。。。
この時点で要点は以下の通りです。
4階、漏れてない
3階、床が水浸し、但し天井からは漏れがない
2階、LDK天井のシーリング部分からダダ漏れ
1階、漏れてない
3階、床が水浸し、但し天井からは漏れがない
2階、LDK天井のシーリング部分からダダ漏れ
1階、漏れてない
断続的に漏れているのではないとわかったので、給水管の線は消えました。これは排水管からの漏れだと判断し、入居者さんへは原因特定できるまで水の使用中止をお願いして、この日は終了しました。自宅へ戻ったら夜中の3時過ぎでした。。。。( 一一)
翌日水道屋さんを連れて、再度物件へ行って調査してもらいました。原因を探る為に4階のキッチン排水を流してもらいました。すると10分ほど経ったタイミングで、3階のキッチン排水溝から水が溢れて来るではありませんか!
これで原因が分かりました、2階と3階の間にあるキッチン排水溝( 立管 )のオーバーフローによる水漏れが原因でした。室内の床下排水はスケルトン工事の際に全て塩ビ管に一新してあります。室内の塩ビ管が漏れるはずがありません。

洗面所にある既存の立管( この立管が詰まったわけではありません )。

図解にするとこんな感じです。
4階の方がご入居した際に何かを詰まらせ、その詰まりが3階と2階の間の立管内部で発生し、キッチン排水が3階の排水溝からオーバーフロー、その水が大量に出た為に2階の天井から水漏れ、これが今回の水漏れの経緯でした。
2階のご入居者様はとんだとばっちりです。ここで大事なのは入居者さんへのフォロー。深々と頭を下げて、ひたすらご迷惑をおかけした事を謝っていると、入居者さんの品の良い奥様から、とても嬉しいお言葉をいただきました。
2階の入居者さんも数カ月以内にご入居されたお客様で、他府県の遠方より転勤でこの地に来られた方でした。ずっとネットで部屋探しの検索していて、この物件を見た時からココと決めて、他の物件は一切見ていないとのこと。
「 メチャクチャ気に入って入居していますので、長く住みたいと思っています 」( 奥様の言葉 )。深夜に大変なご迷惑をおかけしているのに、涙が出るほど嬉しかったです。さらに、翌日はお仕事を休んでまで、修繕に協力して下さいました。
水漏れ原因を特定した後は、立管内部を高圧洗浄し、無事排水が流れる事を確認。3階のご入居日が間近に迫っていた為、即原状回復へ入ってもらってすぐに復旧し、2階の被害も最小限に抑えられたと思います。
■ 役に立った火災保険。特約は全部モリモリで。
こんな時に頼りになるのは、火災保険です。火災保険はこんな緊急時の水漏れでも請求が出来ます。ちなみにワタシが火災保険加入する場合は特約も全部モリモリ付けて加入しています( 笑) 。何が起こるかわかりませんので、築古物件の火災保険への加入は必須です。
過去にもボヤで火事騒ぎ( これが一番大変! 消防署からもこってり怒られます )、大規模水漏れ( 給水からの水漏れで室内はプール状態 )、泥棒に入られて盗難騒ぎ( 警察出動で大騒ぎになります )など、けっこうなトラブルがありました。
その他、自動車が建物に突っ込んで鉄骨柱折れ、外壁穴あき、風災で屋上看板が折れて飛んだ騒ぎ、風災で飛来物が飛んで来た事によるガラス割れ、サッシ破損等、数々の自然災害、人災で火災保険が役に立っています。皆さん、加入の際は、特約モリモリですよ!
また、今回のような突発的な事故でも深夜に駆け付けてくれる業者さんが仲間にいるのはとても安心できます。水のトラブル専門業者さんを呼んだ場合、深夜料金など追加高額請求が来て、それにもかかわらず原因はわからずといった経験も過去に何度かあります。
普段から良い関係を築き、信頼しあえている業者さんだからこそ、どんな時間であっても駆け付けてくれるのだと思います。
■ クレームは入居者様の満足度を上げるチャンス
お陰様で22号物件は、この繁忙期も退去前に次の申込を頂くというとても優良な物件に生まれ変わりました。それもかなり遠方勤務の方です。「 新幹線通勤になるが、家族も近くにいるのでこの物件が良い 」とお申込を頂きました。本当にありがたい事だと思います。
物件を自主管理していると色々な出来事が起こります。毎日何かしら連絡が入るのは日常茶飯事です。それでも入居者様から感謝の言葉を頂く度に、仕事していて良かったと思います。
物件を気に入って住んで頂けるお客様がいらっしゃるからこそ、それがどんなに深夜であっても物件からのクレームには迅速な対応を心掛けています。クレームはピンチですが、入居者様の満足度を上げる事が出来るチャンスでもあります。
初心を忘れず、感謝と感動を頂ける丁寧な仕事を頑張ろうと思います。本日も最後までお読み頂き有難うございます。
ではまた次回、皆様お会いしましょうね〜(^^)/