教育移住という形で家族がマレーシアに移住して3年経った。家賃も安く食費も安く、学費も安く、年の平均気温は26~28℃と過ごしやすいマレーシアでの生活は、『 円 』の価値を日本で使う以上に高めて利用できるので気に入っている。
『 物価 』の違いを、住む場所を変えるだけで享受できるのだ。不動産所得はどこに住んでいても同じ家賃収入が入ってくる。これを使わない理由はない。
しかし、外国に居住するためには『 ビザ 』が必要。どのようなビザで海外生活を送るかは重要な判断になる。
マレーシアに移住する前、MM2Hというビザを取るかどうかで迷った。MM2Hというのは、一定の資金や月収が必要だが、一度取るとマレーシア10年滞在できるビザだ。日本の定年退職者に人気がある。
しかし、悩んだ結果、子供の学生ビザと保護者1名に発給されるガーディアンビザを取得することを選択した。妻と子供たちはマレーシアを拠点として、ワシは行ったり来たりすればいいと思った。
ところが先月、驚くべき制度の変更があった。2021年10月より施行される新しいMM2Hの条件が発表されたのだが、内容が大幅に『 改悪 』されていたのだ。
なんと、既にMM2Hを持っている人が継続する時に以前の条件を引き継ぐことができない( 1年間の猶予期間有 )、新しい条件を満たしていないと継続してビザの発給を受けられないという極悪の改悪。
中でも一番大きいのは月収25万円→月収100万円への月収証明の変更。年金生活者の移住者で、マレーシアを終の棲家に決めていた人たちでも新条件に該当しない人は帰国を余儀なくされる・・・。
今までは、少し多めの年金をもらっているか、年金+αのちょっとした収入があれば滞在できた。しかし、月収100万円では年金生活移住層は移住の継続が困難になる。マレーシアの銀行に預けなければいけない預金も、50歳以上で375万円から2,500万円に大幅に引き上げ。
■ マレーシアに不動産を買った人も
MM2Hを持っていると、100万リンギット( 約2,500万円 )以上のコンドミニアムが購入できたので、コンドミニアムを所有している人もいるのだが、そもそもMM2Hを更新できないと、処分する必要が出てきてしまう。
マレーシアではコンドミニアムの建築ラッシュで、最近の新築コンドミニアムは半額になって売り出されるのもあるくらい価格が崩壊している。そんな中、永住するつもりで購入したコンドミニアムをいくらで、購入した金額の何割で処分できるのか・・・。
あまりにも急激な改悪で、日本の大使館からも抗議されたとの情報もあるが、こういったことがあると、期限付きのビザで安心して移住して生活することは出来ないな・・・と考えてしまう。
特に、日本での資産や自宅を処分してマレーシアに移住していた人たちで、月の収入条件と預金条件を整えられない人は大変だと思う。人生設計は大きく変わってくるじゃろう。
コロナでロックダウン中のマレーシア
昨年更新だった人は9年間の猶予があるが、『 たまたま 』今年10月以降で更新時期が来ていた人たちは、急な制度変更を前に、新しい『 居住先 』を探さなければいけなくなる人も多い。
これまでMM2Hが普通に更新できていた人たちは、『 移住 』していたつもりだったのが、こうなって初めて、MM2Hが『 長期滞在用 』のビザであったことに気付いたという感じじゃと思う。
ワシの家族は、『 一年更新 』の『 学生ビザ 』に、保護者一名だけに発給される『 保護者ビザ 』でマレーシアで生活している。普段、子供たちと一緒に住む奥様にビザを発給しているので、ワシのビザはない。
ビザがなくても年に半年くらいは『 旅行ビザ 』で滞在できる( 連続は3カ月まで )ので、コロナ前は一カ月おきに数週間滞在して、行ったり来たりの日本との2拠点生活を楽しめていた。
マレーシアの学校の長期休暇になると、妻と子供は日本に帰ってきて日本の学校に短期で通ったりもしていた。単身赴任のサラリーマンや、仕事が忙しいサラリーマンよりは家族との時間が取れていたと思う。
卒サラしてMM2Hの取得も視野に入れていたが、こうなってみると、今の状態の『 保険 』を掛けながらの2拠点生活は、複数以上の選択肢を常に持つことが出来るという意味で、カードとして強いなと感じる。
サラリーマンを卒業したら、海外に移住したいという人もいるかもしれない。しかし、自分の意思に関わらず、自分にはどうしようもない大きな力の決定で人生が変わってしまうこともある。
国の決定や制度の変更など、個人の力では抗えないことが起こる可能性は常にある。制度の問題だけなく、親御さんの健康の問題など、様々な要因で予定を変えざるを得なくなることも考えられる。
プランAがダメになった時のために、『 複数 』の選択肢を用意しておく大切さを感じると同時に、一つのカタチにこだわらず、何があっても対応できる柔軟性を持つことが大事だと思ったんじゃ。