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【新連載】経済的自由の先をどう生きるか。ハワイに移住して10年の天方エバンさんの現在【前編】

FIRE/天方エバンさん_画像 FIRE/天方エバンさん 著者のプロフィールを見る

2021/4/6 掲載

投資等で経済的自立を果たし、サラリーマンを卒業して自由に生きる「 FIRE 」( Financial Independence / Retire Early )という生き方が注目されています。この連載では、不動産投資で若くしてFIREした人々のその後の生き方を紹介します。経済的自由という扉の向こう側に、何があるのか?セミリタイアを目指す皆さんの参考になれば幸いです。

第1回目は、42歳でセミリタイア後、ハワイに移住し、現在は不動産賃貸業とハワイ不動産の売買や管理を行う会社を経営する天方エバンさんにお話をうかがいます。2017年まで健美家コラムニストとして活動されていたエバンさん、現在どのような暮らしをされているのでしょうか。

■ 42歳で会社を辞めセミリタイアしハワイへ移住

編集部

自己紹介をお願いします。

エバンさん

2012年に家族でハワイに移住して、現地で不動産事業をしている天方エバンといいます。ハワイに来る前は東京で、外資系証券会社のシステム部のITエンジニアとして働いていました。初めて投資用の物件を買ったのは26歳( 1998年 )の時。42歳( 2012年 )でセミリタイアして、そのすぐ後にハワイに移り住みました。来月で10年目になります。

※天方さんの不動産投資経歴については、「 大家列伝 」に詳しく載っています。 https://www.kenbiya.com/ar/cl/retsuden/tc-amakata/

編集部

ハワイに移住されてからはどんな生活をされているのですか?

エバンさん

不動産エージェントとしての売買仲介の仕事を経て、5年前に独立しました。今年、妻も不動産の免許を取得したので、彼女にも管理業務を手伝ってもらっています。また、家の近くにオフィスを構え、従業員も雇っています。

メインの事業は自社での不動産売買と管理、アパートの建造等です。今、手掛けているアパートは5階建てて8億7,000万円くらいの規模のもの。ハワイに限らず、本土の物件に投資することもあります。

図:建設中のアパートの完成イメージ
建設中のアパートの完成イメージ

編集部

5年前に独立されたということですが、その前はどこかの企業に所属していたのですか?

エバンさん

はい。ハワイ州で不動産免許を取得後、ホノルルの不動産会社にエージェントとして登録し、成果報酬スタイルで働いていました。当時は案件が成立するたびに手数料を半分近く支払っていたのですが、独立すれば100%自分のものになるので起業しました(笑)。

編集部

ハワイに来てすぐに不動産エージェントのお仕事を始めたのですか?

エバンさん

いえ、本当はハワイではこんなに働くつもりはなくて、最初の2週間くらいは何もしない生活を満喫していました。朝起きてからサーフィンをして、子ども達と遊んで、サンセットを見ながらビールを飲み、みんなでご飯を食べて寝るような典型的な南国ライフです。

でも、すぐに飽きてしまい、「 ずっとこんな生活を続けられるのだろうか?」と思うようになりました。セミリタイアというよりフルリタイアに近い状態だったので、これは長続きしないと思い、好きな不動産に関わる仕事をしようと思ったんです。

編集部

セミリタイアしてからの目標というのは特に持っていなかったのですね?

エバンさん

なかったです。会社を辞めることを目標にしていましたから。ただ、何もしていない親父の姿を子供たちに見せるのはどうかと思い、何かしら仕事はしたい、できればハワイでの生活費はハワイで稼ぎたいなとは思っていました。

編集部

では今は理想的な生活ですね。

エバンさん

幸い、今はハワイで稼いだ収入だけで生活ができるようになりました。実は、ハワイの人ってのんびりしているイメージだったので、日本から来た自分がガツガツと仲介業をやれば客の総取りができるのでは!?と思ったんですが、実際は全然そんなことはなかったですね(笑)。

編集部

不動産以外の仕事は考えなかったのでしょうか?

エバンさん

絵でも描こうかなと思っていた時期もあります。大学生の時にアメリカの美術系の学校に留学していたんですが、そこで、「 奨学金を貰って大学院に行かないか 」とオファーされたことがあるんです。

当時はスノーボードにはまっていて雪山にこもる生活を選びましたが、あの時、美術を選んでいたら今頃どうなっていたかな~と妄想したりします(笑)。今でもアートやデザインには興味があって、リフォームを考えたりするのも好きです。

写真:時間があるときは愛車のテスラでサーフィンへ
時間がある日は愛車のテスラでサーフィンへ

■ 32歳の時、「 10年後に会社員を辞める 」と決意

編集部

エバンさんがセミリタイアを志した理由を教えてください。

エバンさん

もともと、「社会人=レールに乗った人生」は自分には合っていないと感じていました。その背景には、父親が片道2.5時間かけて満員電車で会社に通い、くたくたになって帰宅した後、また朝7時の電車で通っていく姿を間近で見ていたことがあったと思います。

特に夢とかはなかったので、大学卒業後は就職したのですが、32歳の時に「 10年後に会社員を必ずやめる 」という目標を立てました。今まで、どちらかというと行き当たりばったりの人生で、32歳の時の決意が、初めてのしっかりとした目標だったと思います。

オーストラリア人の友人にその話をしたら、「 目標は想えば7割は達成しているから、あとの3割を実行するだけだね 」と言われて、心にグサッと刺さりました。

編集部

会社員としての生活はどうでしたか?

エバンさん

充実していたと思います。最初の会社で長野オリンピックの仕事をしてからオリンピックにはまってしまい、毎回、オリンピックの期間は会社を休んで、オリンピック会場で技術職として働くことを続けていました。

途中、オーストラリアの企業に転職した際は、収入を上げるために大学院に通って資格をとるなど、自分なりに努力もしました。本業のがんばりは、不動産投資で融資を引くときにも役に立ちました。

ただ、「 セミリタイア 」という目標を立ててからは、そこに向かって行動してきました。直接的には、2010年と2011年に神奈川と埼玉の中古RC物件を買いました。どちらも3億円を超える規模の物件です。

編集部

セミリタイアされた時の家賃収入やキャッシュフローはどれくらいありましたか?

エバンさん

2棟合わせて約3,000万円のキャッシュフローがありました。神奈川の1棟目は築浅の優良物件でしたが、ある時、複数の部屋を借り上げていた法人の一斉退去があり、リスクヘッジとして埼玉の2棟目も買いました。

写真:埼玉の物件( 3LDK×36戸+テナント2戸 )
現在は売却済みの埼玉の物件( 3LDK×36戸+テナント2戸 )

編集部

いざとなると会社員卒業をふん切れない人も多いようです。決意できた理由はなんでしょう?

エバンさん

当時、私がいた外資系の証券会社界隈では大規模なリストラが実施されていて、40才を過ぎると、会社での居心地があまりよくない感じでした。根っからのコンピューター好きというわけでもなかったので、仕事への未練はなかったです。

大きなきっかけになったのは、2011年の東日本大震災。長男が生まれたばかりのタイミングでした。福島での原発事故の寸前に妻と子どもを妻の実家がある北海道に避難させましたが、心配でしたね。

その頃、東京では水やトイレットペーパーなどの物資がなくなり、先が見えない大変な状況になっていました。そこで、「 この際だから思い切って、ハワイに行こう!」と決めて、自宅の整理など1年かけて準備して家族全員で移住しました。

写真:3人のお子さんたち
3人のお子さんたち

■ ハワイでの生活費は月100万円程度

編集部

なぜ、移住先をハワイにしたのですか?

エバンさん

私は高校・大学時代にアメリカへの留学経験があります。妻もアメリカのシアトル生まれで卒業した大学もアメリカです。2人とも、「 いずれは子供たちを海外で教育したい、バイリンガルとして育てたい 」と思っていました。

移住する数年前に、弟がハワイの大学院に留学していた時期があり、1人で遊びに行ったんです。それまでハワイに対しては、「 日本人が多い観光の国 」といったイメージでなんとなく避けていたんですが、実際に訪れたら素晴らしかった(笑)。その時に、「 絶対にハワイに移住する 」と決心しました。

編集部

奥様やお子さんもハワイ移住には賛成だったのでしょうか?

エバンさん

移住の1年程前に家族でハワイ旅行に行きました。その時に、「 試しに家とか見に行こうよ~」と妻を誘ってオープンハウスに出かけたところ、完全にその気になり(笑)、妻もハワイ行きを決意してくれました。そこから1年かけて準備しました。

編集部

作戦成功ですね。ハワイ以外の場所での移住は考えましたか?

エバンさん

オーストラリアは少し考えました。20代の時に住んだこともあり、友人もいるからです。でも、ビザの関係で現実的ではありませんでした。アメリカの本土ではなくハワイにした理由ですが、本土ですとビジネス上でどうしても白人と対峙する場面が多くなります。

私はアメリカで働いた経験もあるのですが、本土でアジア人が活躍するには相当頑張らなくてはいけません。その点、ハワイは4割がアジア人で日系人も多く、ビジネスシーンで不利になることはない。南国特有の緩さも心地よく、自分にはちょうど良いと感じました。

写真:バケレン用に買ったコンドを夫婦でDIY
バケレン用に買ったコンドを夫婦でDIY

■ 日本の物件を手放した現在も、セミリタイア時以上の収入を維持

編集部

2017年まで続けられていた健美家のコラムの中で、日本にある資産をすべて売却したとありました。現在の状況はいかがですか?

エバンさん

セミリタイアを後押ししてくれた2棟の物件は、2015年と2016年に売却しました。今も日本には物件を持っていません。売却した理由は、こちらに来て日本の資産への興味が薄れ、以前のようにケアできなくなった為です。その代わりにアメリカ社会でどんどんビジネスをやっていきたいという想いがあったので、資産をこちらに移しました。

編集部

2021年現在の年収を教えて頂けますか?

エバンさん

家賃収入や事業収入で、セミリタイア時と同等以上の収入を確保できています。

編集部

ハワイで暮らすには月にいくらくらい必要ですか?

エバンさん

その人の暮らし方にもよると思いますが、うちは5人家族で月に100万円程度かかります。ハワイに来た時、月に250万円のキャッシュフローがあったので、それだけあれば十分に暮らせるだろうと考えていました。

実際に困ることはありませんが、思っていたよりも生活費が高かったというのが正直な感想です。ハワイの友人とこの話題になると、「 でも、天国で暮らしているんだから仕方ないよね 」という話で落ち着くんですが(笑)。

写真:自宅書斎から海を眺める
自宅書斎から海を眺める

編集後記

42歳で会社員を卒業すると目標設定し、ハワイへ移住したエバンさん。誰もが憧れるハワイでの生活や新たに始められた事業のお話も興味深いです。後編ではハッピーな時間を大切にするエバンさんの哲学に触れていきたいと思います。お楽しみに。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

■ 天方エバンさん

天方エバンさん

Oceans Real Estate代表(https://oceanshawaii.com/
ハワイ在住
家族は妻と息子3人

ブログ: https://www.hawaiideohyeah.com/
Youtube: https://www.youtube.com/channel/UCpP1Uw03-ANhqgK9mjNm4lQ

□ハワイ州公認不動産取引士
□東京都知事宅地建物取引主任者


■ 経歴

□1970年生まれ

□1996年
IBM入社
長野五輪プロジェクトに配属され、テレビ解説者向けシステムの開発に携わる

□1999年
IBMオーストラリア シドニー五輪プロジェクトで主にイントラネットシステムのパフォーマンステスト担当

□2000~2002年
ソルトレイク五輪組織委員会 スノーボード競技システムの責任者としてイベント運営の成功に寄与
その後本番時のみ国際映像関係の仕事で2004年アテネ、2006年トリノ、2008北京、2010年バンクーバー、2012年ロンドン、2014年ソチ、2016年リオ、2018年平昌五輪に従事し、現在足掛け21年、10大会連続で参画中

□2002~2012年
日本に帰国後、外資系証券会社システム部に勤務

不動産投資を1998年より開始
2007年にFXで1,000万円の損失を出し、貯金ゼロになり不動産に集中する事を決意

□2012年
家族でハワイ移住
ハワイ不動産の売買仲介の仕事を始める

□2016年
ハワイ州ブローカーライセンスを取得し独立


■ 投資に関する経歴

□1998年
港区南青山に新築1Rマンションを購入

□2002年
港区南青山の両親が住むマンションに、ファミリータイプの区分を購入

□2002年
資産管理会社を立ち上げる

□2007年
FXで1,000万円の損失を出し、貯金がゼロになる

□2007年
目黒区に自宅用区分マンションを購入

□2010年
目黒区の自宅用区分マンションを売却

□2010年
神奈川県内に1棟マンション(1K×40戸)を購入
(2015年に売却)

□2011年
港区南青山の1Rマンションを売却

□2011年
埼玉県内に一棟マンション(3LDK×36戸、店舗2戸)を購入
(2016年に売却)

□2012年
港区南青山のファミリータイプ区分を売却

□2012年4月
家族でハワイへ移住
移住後はアメリカ本土、ハワイの物件に投資している

□2021年
不動産投資&不動産ビジネスから、
セミリタイア時と同等以上の収入を得ている


■著書

天方エバンさん:著書-1
不動産投資で”ハワイ”へ移住
(ごま書房新社)

天方エバンさん:著書-2
憧れの”ハワイ”の物件を買って、賃貸収入で「優雅な人生」!
(ごま書房新社)


(取材・執筆協力 アリ)

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