さて、前回書いていた新築アパートですが、10部屋中8部屋決まり残り2部屋となりました!この時期に決めてくださった管理会社の方には感謝です。ポールさんにも知り合いを紹介してもらいました! ありがとうございます( キャバクラ奢ります・笑 )

■ 空室を埋めるために行ったこと
このアパートは5月7日に引き渡しがあり、約1ヶ月間入居者が決まりませんでした。そこで管理会社の方と緊急会議を行い、いろいろな案を出し合いました。結論からいうと、大胆な値下げを行いました!
もともとは法人契約に特化した価格帯であり、コンセプトは単身アッパー層向けのアパートでした。富山市の1LDKの成約家賃は、法人契約と個人契約では1万円程度の差があるので、上の方を狙ったのです。
しかし、法人の動きが鈍化しているため、個人の入居者も取り込める価格帯まで下げて勝負することにしました。すべての部屋を値下げしたわけではなく、85%、90%、95%、100%の部屋に分けて、入居率が上がる度に、本来の家賃に戻していく作戦です。
ひとつ決まると、入居付けに弾みが付くことはよくあります。この他、敷金礼金が1ヶ月ずつだったものをゼロゼロにするなど柔軟に対応した結果、個人のお客さんを中心に約10日間で5部屋が決まりました。家賃を56,700円とする、「 コロナキャンペーン 」というのもやりました( 笑 )。

変更前

変更後
その後、法人の動きも多少あり、申込みベースで8部屋となりました。考え方はいろいろですが、頑なに家賃を下げずに空室期間が丸々2ヶ月発生した場合、120万円程度の機会損失となっていたところです。
コロナの影響はまだまだ読めませんし、今後、さらなる経済悪化も考えられます。経済や家賃には、「遅効性」や「粘着性」があるので、今後、さらに悪くなることも想定し、今のうちに決めてしまいたいと考えました。
引っ越しは費用面でも時間の面でも負担が大きいので、しばらくは安定すると思います。コンセプトや設備で高価格帯の家賃を狙うのは大事ですが、需要と供給がマッチする価格を決めるのは市場( 入居者 )なので、しっかり見極めていきたいところです。
例えば楽観的なパターンとしては、政府が消費税減税や第三次補正予算など大胆な経済対策を行い、好景気に突入していった場合には、退去がある度に家賃を上げていこうと考えています。
■収益物件で安易な家賃ダウンは厳禁
家賃に対する別の考え方ですが、私が収益不動産を扱う建売業者であった場合は、敷金礼金ゼロゼロ、客付け業者に支払う広告費を積み増し、フリーレントを付けて「家賃が下がらない」ように最大限努力して埋めます。
そして、空室期間はある程度延びても我慢します。なぜなら、収益不動産を売却する時の価格は利回りの影響を大きく受けるからです。家賃( 稼ぐ力 )が高いほど、価値が高いとみなされるのです。
例えば利回り10%で売れるアパートの家賃が500万円だった場合、価格は5,000万円です。しかし、家賃を値下げして450万円になれば、4,500万円となります。500万円の売却価格が下がると考えると、安易な値下げは厳禁です。
もちろん、利回りの他にも融資情勢や立地や建物の構造など、複合的な要因が関係します。また、地域の「相場」も存在するので、家賃による“機会損失”と“物件価格の関係”と全体のバランスを吟味して、判断するのが大事です。
今回の新築アパートは中長期で保有するつもりですし、11月から返済が始まるのですが、すでに金利の支払いだけで毎月9万円発生しています( 11月以降は約25万円の返済 )。
また、知り合いの投資家が同じエリアに9月完成で20部屋ほど建築しており競合することが予想されるので、それまでに満室にしたい気持ちもありました。これをポールさんが、キラキラ大家、共食い大家に次ぐ“首の絞め合い大家”と名付けていました( 笑 )
ちなみに、このことはマイナスには捉えておらず、エリアが被るほど若手大家が成長したことに喜びを感じています。
この結果、当初、新築アパートの利回りは10.6%となる見込みでしたが、10.3%に下がりました。それでも10%は超えているので合格点にしたいと思います。
今回、入居付けに苦労したことで、値下げが可能な利回りを確保することと、返済でカツカツにならないために自己資金をしっかり入れることの重要性を理解しました。値下げすれば赤字というような物件では、ニッチもサッチもいかなくなります。
この新築アパートも、しばらく保有して売却を考えたときには、売却価格を下げないよう、家賃を高く借りてくれる人をじっくり探すことになるでしょう。
コラムを読まれて勉強している方も、物件の表面利回りだけではなく「 物件が本来稼ぐ力 」を見極める力を持ちましょう。言い換えると、物件を買う時には空室期間や入居条件、エリアの相場をしっかり確認して、“高値のアパート”を掴まないことが大切です。
逆に、家賃が実力より安い物件は、購入後に家賃をアップし、利回りを上げることができます。相場観を身に着けるのが、儲けられる投資家になるための第一歩です。もちろん日本中は無理なので、得意なエリアを見つけてください( 笑 )
■ 賃貸用に買った戸建てを売却した理由
話は変わりますが、先日、賃貸用に購入した戸建てを売却しました!過去のコラムでも出ている新たにガレージを作った築古戸建なのですが、思い切ったリフォームをし過ぎた結果、当初予定した金額より多く投入してしまいました。




ビフォー




アフター
200万円で購入し、リフォーム代が350万円、トータル550万円かかりました。仮に家賃7万円で貸すと利回りは15%で悪くないのですが、コロナの影響で入居が決まる時期も読めませんでしたし、自己資金も拘束されることから、賃貸募集と売却の両方で待っていました。
結果的に740万円で買い手が見つかり、売却することになりました。仲介手数料や不動産取得税などを考えると手残りは少ないのですが、プラスに終わり、キャッシュポジションを高められ、リフォームの経験値も上がったので良かったです。
そして、再認識したのが区分マンションや、築古戸建には「 手離れが良い 」というメリットがあることです。10部屋のアパートの方が稼ぐ効率は良いですが、10戸の戸建てを保有している方が安定性や、ピンチの時に動ける選択肢は多くなります。
今回の新築アパートのように初動が遅く、空室期間が延びる危険性がある場合、手持ち資金が少なければ不安になり、精神的にも追い詰められてしまいます。これが戸建て10戸なら、バラバラと売って微調整が可能です。
不動産投資では、拡大期に自己資金が薄くなることがよくあります。手持ち資金が薄くなり、冷静さを失うと判断を間違います。そういった意味で言えば、今回の売却は嵐が来る前に資産の安定性を高めることに貢献してくれたと思います。
また、今回の築古戸建のリフォームから売却までを経験したことにより、セミナーやコラムで伝えていた「 住宅ローン( 中古物件+リフォーム一体型 )を使ったヤドカリ投資 」について実証できました。
ポテンシャルの高い家を安く買って、住みながら細かなところを直し、売却するとキャピタルゲインを狙えるので実質タダ、それどころかお金をもらって住まいを確保することができるのです!
私は自己資金や公庫融資で戸建ての投資をしていますが、自分が住むのであれば低金利で長期間のローンを活用して、同じことをします。収益不動産を探しつつ、自分の住む家を資産形成に活用できないか考えてみましょう!
このところ少しずつ、対面でのセミナーも始めています。皆様とどこかでお会いできることを楽しみにしています。
■ お知らせ
張田満さんが200万円で購入した戸建てのビフォー・アフターをYouTubeに載せてくれました!
前編
後編