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専門の家賃保証会社が増加中。外国人入居者の家賃支払いリスクと保証人事情

谷浩さん_画像 谷浩さん 第8話 著者のプロフィールを見る

2023/2/22 掲載

前回のコラムでは、"「 外国人賃貸 」を売りに担保評価の低い中古アパートの満額融資付に成功した話"についてお伝えしました。今回は、外国人の家賃支払いリスクと保証人事情について書いてみたいと思います。

参照:「 外国人賃貸 」を売りに担保評価の低い中古アパートの満額融資付に成功した話

■ 連帯保証人から家賃保証会社へ変わるトレンド

築30年近くの中古アパートを購入すると、入居者さんの中に家賃保証会社の集金代行サービスに加入していない方が結構います。

私は基本的に築20年以上経過しているアパマンや戸建てを購入するのですが、日本人外国人を問わず、長くその物件に住んでいる人は、昔ながらの連帯保証人制度で賃貸借契約をしていることも多いです。

今は家賃保証会社もマスメディアでCMを打つほど認知される存在となりましたが、家賃保証会社のサービスが出来たのは、以下の記事にあるように1990年代後半のことで、世の中に広く認知がされるようになったのは、2000年代に入ってからと比較的新しいものとなります。

参照:住生活新聞2021.11.08

例えば、私は大学時代には入学当初は大学の寮に住んでおりました。ただ、寮は人数制限があるので、学年が上がると新入生の入寮が優先され、寮に住み続けることができませんでした。

もっとも、寮の共同トイレに行くと2回に1回は詰まっており、共同台所ではよくゴキブリが蔓延っており、夏は共同浴場が1週間も休みになってしまうという、今では考えられないような環境でした。

学内では「 ノルウェーの刑務所のほうが住環境は良い 」と揶揄されているほどで(苦笑)、同級生の多くは民間パートに早く引っ越したいと思っておりました。

( 母校の名誉のために補足しておくと、昨年現在私が住んでいた寮を訪れたのですが、既存の寮は建て替えが進んでいました。大手住宅メーカーが建築した新しい寮は、窓が大きく日差しもいっぱい入り、外観もカラフルで非常に綺麗になっています )

私も2年生になるときの1990年代の終りに寮を出て民間アパートを借りましたが、当時も父親に連帯保証人になってもらったのを覚えており、多くの同級生も家族が連帯保証人になるのが通常でした。

■ とまどう外国人入居者。連帯保証人は日本独自の慣習

このように日本人であれば家族や親族に連帯保証人を立てればよいのですが、外国人の場合は連帯保証人を見つけるハードルはかなり高い状況です。というのも「 在留外国人の家族・親族ではなく、日本人の連帯保証人を立ててください 」と言われてしまうのです。

来日してまもなくの外国人は、日本に知り合いもおらず、連帯保証人を立てるのに非常に苦労します。仮に大家さんが外国人の方でも入居OKですといっても、契約上家賃の保証をどのようにするか、ということに関しては、昔はもう一つのとても高いハードルでした。

ちなみに、住まいを借りる際に連帯保証人を必要とする制度がこれだけ広まっているのは日本だけです。諸外国では連帯保証人を必要とすることはないため、来日した外国人の方に日本人の連帯保証人を立ててくださいというと、多くの外国人の方は困惑されます。

頼める人がいないので、職場の社長やとにかく知っている人全員に声をかけていくようです。私も「 連帯保証人になってください 」と外国人の友だちから依頼されたことが何度もあります。

そして、その人が例えば病気などのトラブルに見舞われ、家賃が払えなくなってとして、自分が助けたいと思える数人について、連帯保証人になりました。

( 連帯保証人になって、故意の家賃不払いや、トラブルに見舞われたとしても2カ月以上家賃が滞納になった人がいなかったことは、非常に幸運だったと思います )

そこで外国人の家賃保証をやろうという話になるのですが、これがなかなか難しい側面があったのです。

日本人の家賃保証会社の保証審査は、例えば信販系の家賃保証会社であれば、その支払履歴などである程度その人の信用の審査を補えますが、やはり過去の家賃支払や滞納履歴のデータの蓄積がないと、どのような人がきちんと家賃を払ってくれるのか、ということがポイントとなります。

家賃保証会社が外国人の保証審査をしようにも、工場や工事現場などの非正規雇用で、在留外国人クレジットカードを利用していないなど、審査基準の整備が非常に難しかったという事情がありました。

ようやく在留外国人が家賃保証を利用できる環境づくりが出来てきたのは、2010年代半ばになってきてからでしょう。外国人の方はなる早で入居したいということも多いのですが、審査にも日本人よりも時間が多くかかることが多かったとおもいます。

ちなみに連帯保証人が原則不要となっている家賃保証会社でも、外国人だと連帯保証人が必要というケースが私の物件でも何回かありました。

■ 外国人専門の家賃保証の登場で変わる外国人賃貸事情

人口減少や在留外国人の増加に伴い、不動産会社も外国人の入居に興味を持つようになりました。それに伴い、今では例えば以下のような外国人専門の家賃保証会社、外国人専門の保証プランや多言語のコールセンターを持つ保証会社が複数出てきました。

参照:グローバルトラストネットワークス
参照:ジェイリース
参照:WORLD RENT BIZ

最近では住居用だけでなく、テナント向け賃貸にも家賃保証サービスが拡大されており、審査のスピードも早くなり、即日出る場合もあります。これらのサービスでは、原則緊急連絡先だけ必要ということなので、日本人の連帯保証人の探すという高いハードルはクリアされます。

また、これらのサービスでは、外国人の家賃保証だけでなく、入居後に例えばクーラーが壊れたなど、入居者の困りごとを多言語で引き受けてくれます。

管理会社さんは、外国人の入居付に興味があるが、どのように接客・管理してよいのかわからないということも多いので、このようなサービスを活用すると、管理会社も安心して外国人の入居付ができるというわけです。

■ 大家からの働きかけで管理会社を変えていく必要

私は自分の物件の管理会社に外国人専門の保証サービスの導入や活用を提案してみたことがありますが、案外管理会社の皆さんは、このようなサービスがあることを知らないことが多いです。

自分の物件の管理会社さんにサービス活用を提案し、導入していただいたときに、担当者さんに以下のように言われたことがあります。

「 伏見さんのように外国人を積極的に受け入れる大家さんって、今までいなかったんですよね 」

前回のコラムでも書かせていただきましたが、一般的に不動産会社の募集図面では、外国人”可”という表記になっています。それを積極的に受け入れます、という姿勢を示せた形になります。

外国人家賃保証サービスの導入を管理会社さんにお願いすることを通じて、外国人を積極的に受け入れる大家さんなのだという姿勢が示せますし、その後の外国人入居者の管理も円滑にすすめることが出来ます。

読者の皆さんにも自分の物件の管理会社さんに、このようなサービスがあることをお知らせし、導入をお願いすることで、大家さんとして外国人を積極的に受け入れる姿勢が示せるので、ぜひおすすめしたいと思います。

外国人専門の家賃保証サービスに関しては、外国人入居者、管理会社、そして皆さん大家さんにも大きなメリットがあるため、今後も取り上げていきたいと思います。

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

谷浩さん

谷浩さんたにひろし

神奈川県・栃木県在住
外国人賃貸大家の会代表
約25世帯の外国人を受入

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経歴
  • □197X年

    東京都生まれ、3人兄弟の末っ子として、ぬくぬくと育つ

    □199X年

    1年浪人した後、北関東のとある大学に入学。寮のぼろさとバスの運賃が距離に応じて変わること、方言が全く理解できないことにカルチャーショックを受ける

    □200X年(20代前半)

    外資系コンピュータメーカーにSEとして就職。外資なので外国人と働くのかとおもいきや、先輩上司の80%が関西人。突っ込まれキャラとなる。世間知らずのため苦労するが、何故か偉い人とお姉さまに可愛がられる

    □200X年(20代後半)

    体調を崩し同社を退社。留学でもしようかと思っていたが、知り合いのプロジェクトを手伝うように依頼を受け、イスラエル製ソフトウェアの日本総代理店立ち上げ業務をフリーランスで受ける

    □200X年(30代前半)

    会社の本業が傾いたため、クビを切られる。フリーで仕事をする難しさを知り、同時に海外関連の仕事をしたかったため、サラリーマンに戻る

    海外関連の仕事をする予定が、なぜか当時立ち上がったiPhoneアプリを作ってくれという依頼を受ける。新規事業で人が足りなく、企画、マーケティング、営業、開発プロジェクトマネージャ等々面倒くさいことすべてを引き受けてしまう

    □200X年

    担当したアプリがApp Storeの年間売上ランキング1位に輝くが、本人も会社もその価値に全く気が付かず…(今で言うと、パズドラなどと同じポジション)

    同時に、アジア圏のスマホサービスの立ち上げ、構築に携わる。会社で亜流の仕事を引き受けてばかりいたため、いつしか“イロモノ担当”の評価を受ける

    □2013年(30代後半)

    とある金融セミナーにて、33才ですでにセミリタイアしている人に出会い衝撃を受ける。その人が不動産投資を行っていたことから、大家業に興味をもつ

    □2014年

    宇都宮市にマンション一棟を購入、大家業開始、いきなり毎月40万円の持ち出しとなり、貯金が激減して落ち込む

    不動産賃貸業界が「マーケティング」をほとんどやっていないことに衝撃を覚える。IT業界で学んだマーケティングを賃貸経営に生かし、無事に満室へ。

    足利市にマンション一棟を購入、同市は空室率30%以上にも関わらず、外国人が住居を見つけるのにとても難儀している状況を知り、衝撃を受ける。

    □2015年

    体調を崩したことを期に、会社勤めが向いていないことをサラリーマン15年目でようやく気が付く。外国人によりよい住まいを提供するため、サラリーマンを卒業し、起業を決意する

    □2021年

    外国人だけでなく、独居老人・障害者・シングルマザーの方々など、住まいを見つけるのに苦労している方々が入居者に多かったため、その生活課題や環境を理解するため、YMCA社会福祉専門学校に通い卒業する。

    □2021年

    大家さんの立場で外国人入居を積極的に取り組んでいる人がレアだということを認識し、外国人賃貸大家の会を設立する

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