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歌舞伎町でボロボロになって地元に戻って2年、バナナジュースでニューヨークを目指す。再起を図る夜のお店の店長さんとの賃貸契約。

広田健太郎さん_画像 広田健太郎さん 第109話

2020/9/23 掲載

コロナ禍での生活も半年以上が過ぎました。コロナは色々な問いを僕に突きつけてきました。

なんだか大変なことになってきたよ
このままでは済まないよ
色々と世界は変わっていきそうだよ
お前は大丈夫なの?
お前はこれからどうするの・・・?

そんな中で、先日バナナジュース屋さんと賃貸契約をしました。昨年から少しずつバナナジュース屋さんが流行りだしているようですが、今回のお客さんはその辺のバナナジュース屋さんとは違います。



何が違うのか。オーナーの個性が唯一無二すぎるのです。実は彼は1年くらい前から僕の所有するビルの最上階の住居スペースに住んでくれています。夜のお店の店長をしながら、2週間前にそのお店の前でテントを立てて露店でバナナジュース屋さんを始めたばかりだそうです。

別にそれまでバナナジュースが好きだったわけではなく、ほとんど飲んだこともなければ、どこかで修行したわけでもなく、テレビで流行っているのを見て自分でもできそうだからやってみたという驚きの起業です。

彼は2年前に歌舞伎町から紙袋1枚だけを持って、ボロボロの状態で地元に戻ってきたところを今の社長に拾ってもらったそうです。( まるでハリウッドから戻ってきた加藤ひろゆきさんみたいですネ )

ジュースの作り方も独学。「 いくつかのバナナジュース屋さんのものを飲んで比べたけれど、自分のジュースが一番美味しい 」と自信満々です。根拠のない自信と情熱に満ち溢れているのです。

実は、8月末に偶然、彼の姿を人気もまばらなアーケードで見かけました。真昼間に夜のお店の前にテントを立てて、彼ともう一人、隣に誰か座っている様子でした。

暑い中、夜のご商売の人が何をしているのかと思いましたが、急いでいたのと暑かったので、声をかけずに通り過ぎました。それがバナナジュース屋の始まりだったようです。

彼が契約前に、「 俺のバナナジュースを飲んでみてください 」と連れて行ってくれた場所に行くと、あの日見かけたテントだった時は驚きました。

そして、誰か隣に座っていると思っていたのはなんと人間ではなく、巨大な熊の人形でした。あの日、彼はクマちゃんと並んで酷暑の中、誰もお客さんがいない中でバナナジュースを売っていたのです。

お店のメニューには「 営業時間:14時からラスト 」と書いてありました。ラストって一体何時なの? と思いながら夜のお店みたいな表記だと思いました。



■ バナナジュースでニューヨークを目指す

そこへ10代の女の子二人が偶然通りかかりました。彼は、「 こんにちは。バナナジュースどうですか? クマちゃんとバナナジュース、インスタにあげて 」と声をかけてさっとメニューを渡します。

シンプルな定番は400円、ホイップクリームのトッピングなど一番高いものは800円。彼の話し方がうまいせいか女の子のノリも良く、メニューを見ながら、「 バナナジュースとイチゴジュースどっちが美味しいですか? 」と聞いてきます。

その瞬間、彼のギアが一段上がりました。「 俺はバナナジュースに命をかけているんで、まずはこのシンプルな一番安いバナナジュースを飲んで欲しいです 」と熱く語りかけます。

僕は腰が抜けそうになりました。だってさっき、「 今までバナナジュースをそんなに飲んだことはない 」と言っていたのに、まるでバナナジュース一筋で生きてきたみたいな話し方だったからです。

僕が驚いていると女の子たちはバナナジュースを注文しました。女の子たちが帰ると僕にもバナナジュースをご馳走してくれましたが、確かに美味しい。僕が褒めると彼は嬉しそうにこう言いました。

「 俺はこのバナナでのし上がっていきたいんですよ。この店をフランチャイズにして、この田舎のシャッター街からいずれは新宿の高層マンションに住むのが夢です。将来的にはニューヨークにも出店します。俺にはその景色が見えていますよ 」

バナナでニューヨークまでの道が見えているなんて!

この向こう見ずな感じ。僕もまた若い頃に戻りたいと思って年齢を聞いたら40代でした。普通は現実が見えている年齢ですが、真剣に夢を語るので感動してしまいました。どんな夢もまずは思うことから。思わなければ叶いません。

その彼はこんな調子で2週間、バナナジュース店を夜のお店の前でやってみて、これはいけると確信したので、きちんとした店舗を借りようと思ったそうです。



露店の営業時間は14時からラストまで。夜の街に遊びにきた人や働いている人が買ってくれると言います。「 俺が起きている間は営業中なんです 」という彼が、面白いエピソードを話してくれました。

日曜日の夜、お店の営業を終えて深夜1時過ぎに帰宅し、ベッドに入ったタイミングでキャバクラの女の子から「 バナナジュース4つ 」の注文の電話が入った。その時、彼は迷うことなく再び着替えてお店に行き、バナナジュースを作って配達したというのです。

強烈でした。今の時代、そこまで対応できる人はなかなかいません。いえ、営業時間を1分でも過ぎれば「 閉店です 」とお客さんが目の前にいるのに入店を断るお店だってたくさんあります。

今の僕がそこまでできるかどうか。真剣に考えてしまいました。昔の僕はそういうことをしてきました。でも、ここ数年の僕ならできない。コロナで自分の甘さに気がついた今の僕は、夜までなら対応できる自信はあります。

特に最近の僕は、お客さんからの内見リクエストには「 なるはや 」での対応が信条です。でも深夜、寝る直前に飛び起きてバナナジュース4つを果たして届けられるか。

彼は、「 今の自分は、たとえ一つでも目の前の注文に全力で答えるだけです 」と言いますが、僕とあまり年齢が変わらないのですから、朝から晩まで定休日なく働いていればかなり疲れていると思います。

しかし、どんなに時代が変わろうと、起業したばかりでお客さんがいない時に、人並みに休んでいて常連さんができたりお客さんから応援してもらえるお店になるとは思えません。

僕だって、最初の数年間くらいはお店に折りたたみのベッドを置いて、毎日泊まり込んで仕事をしていました。お店に来てくれた人を1人も逃したくなかったからです。

僕の油田ビルに、僕が生まれた昭和50年から営業しているレストランのオーナーさんがいます。60歳を過ぎた今は従業員を雇わず、お1人で年末年始も休むことなく営業しています。台風でお客さんが来ないでしょうというときでもお店を開けています。

一方で、借金してお店をオープンしたばかりなのに週2、3日もお店を閉めて遊びに行き、常連さんから予約の電話があっても「 その日は休みなんです 」と断りながら、「 営業が苦しいです 」なんて言って、しまいには借金を踏み倒し、親のお金で自己破産をするようなお客さんもいます。

色々なテナントさんを見てきたので、少しずつ見る目が磨かれてきました。夜中にバナナジュース4本を届けられる人なら僕の期待を裏切らないだろうと、本来なら現状渡しで月5万円の家賃を4万円に下げて賃貸契約をしました。



■ シャッター街で一兵卒としてやり直す

ところで、僕は以前まで、ここのシャッター通りで物件を購入して財産を作った後で一等地の良いところに買い換えようと考えていました。しかし、最近は少し考え方が変わってきました。

僕はここのシャッター通りに育ててもらった。その恩を忘れて一等地の物件を購入するのは投資としては賢いし正しいかもしれないけれど、僕の生き方としてはどうなのか。

ここで儲けたお金をここに再投資して、僕が人を呼ぶような面白いビルを作っていくことが恩返しになるのではないか。自分の心と向き合い、そんな風に思うようになったのです。

シャッター街で一兵卒としてやり直す。

目には見えないけれど、ご縁とご恩は大切にしたい。ここで儲けたお金で購入した僕のエリア外の物件は、少しずつ売却していこうと思います。そして、このエリアの物件の価値を高めていくことに注力していきたいと考えています。

コロナや刺激的なお客さんたちのおかげで僕は10年前の気持ちを思い出し、一兵卒としてもう一度ここでやっていく覚悟ができました。



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プロフィール

■ 広田健太郎(ひろたけんたろう)さん

hirotasan

不動産投資家
マレーシア・ペナン島在住

ツイッター
https://twitter.com/kentarohirota

ブログ
walk on the blue ocean.

■ 経歴

□1975年
群馬県高崎市に生まれる

□1997年
早稲田大学スポーツ科学部卒業(サッカー部所属)

□1998年
シンガポールプロサッカーリーグDIVISION1でプレイ

□1999年
個人事業主として「サファリレコード」創業

□2005年
結婚
父親のすすめで1棟目のビルを購入

□2008年
レコード店を閉め、父親の不動産会社へ入るも2カ月で退社

□2009年
宅建免許取得

□2017年 マレーシア・ペナン島に移住

□2018年
宅建免許返納

■ 所有物件

□2005年
11月:商業ビル購入(4テナント)20%

□2011年
3月:商業ビル購入(3テナント、1住居)売却済

□2012年
7月:商業ビル購入(4テナント、1住居)26%
9月:商業ビル購入(3テナント)28%
9月:中古戸建購入(売却済)

□2013年
3月:商業ビル購入(売却済)
6月:区分マンション購入(売却済)
9月:自宅近くの中古戸建購入
10月:土地購入⇒コインパーキング(23台)
12月:中古戸建店舗購入(売却済)
12月:自宅隣の中古戸建購入

□2014年
3月:商業ビル購入(2テナント) 20%
7月:商業ビル購入(売却済)br /> 10月:商業ビル購入(2テナント)32%

□2015年
3月:中古戸建店舗購入(売却済)
3月:土地購入⇒コインパーキング(35台)
6月:土地購入⇒コインパーキング(5台)
10月:転売用土地購入(売却済)
11月:自宅近くの中古戸建購入

□2016年 4月:店舗購入
5月:牢屋ビル購入(売却済)
8月:店舗購入

□2017年
3月:全空ビル購入
8月:ロードサイド店舗購入
10月:駅近ビジネスホテル隣の店舗購入
10月:上記店舗向かいのビル購入

2018年現在の家賃年収約5,400万円

月に5〜10日、一日に数時間働く狩猟型の生活を満喫している

不動産投資を始めるきっかけや初期の苦労については大家列伝(前編・後編)を参照ください。

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