以前のコラムで、コインパーキング事業から撤退したことを書きました。
今回は、これからコインパーキングを始めてみたいという方向けに僕がコインパーキング投資を始めようと思った経緯から、立地の選び方、コインパーキングの設備の購入、スタートしてからの管理、トラブル、そして撤退してから1ヶ月が経過した今を降り返ってみたいと思います。
■ 空室リスクのないコインパーキングを事業の柱の一つにしたい
まず僕は、コインパーキングを始めようと思ってから約3年間の準備と構想を練って、スタートしました。地元周辺はもちろん札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、松山、博多、那覇、これらの全国の主要都市のコインパーキングの視察、調査、研究を行いました。
当時の僕は、利回り20%の高利回りビル投資が軌道に乗り出した頃で、でも20%もの利回りが10年続くとは思えず、高利回りハイリスクなビル投資に代わる長期安定した事業の柱を育てたいと思っていました。
そして、それが利回り10%のコインパーキング投資だったのです。
現地調査のほか、コインパーキングに関連する書籍、雑誌などで情報を集めたりして準備をしましたが、今もそうですが当時はもっとコインパーキングに関する情報はほとんどなく、大変苦労しました。
それでも、100かゼロかという空室リスクの心配のない、安定したコインパーキング事業をやると決めて、根気強くオープンまでの困難を乗り越えていきました。
■ 最初のハードルは駐車場向きの土地を仕入れること
コインパーキング事業をやるにあたり一番大変だったのは、適した用地を仕入れねばならないという点です。用地の仕入れは困難を極めます。コインパーキングはアパート・マンション以上に立地が大切ですから、場所を間違えるとどうにもなりません。
表通りの一等地は土地値も高く、収支が合いません。反対に裏路地などの悪い立地は土地値が安かったとしても料金設定を安くしなければならず、しかも近隣の一部の人以外に知られにくいため、高稼働が難しくなります。
どちらをとっても高利回りに仕上げるのがとても難しい中で、それでも土地値と稼働率のバランスが取れそうな立地を見つけ、仕入れなければスタートラインに立つことさえできないのです。
■ 融資付けと設備の購入
候補地が決まっても、融資を使う場合はそこからがまた大変です。アパートローンと違い、金融機関にもノウハウがないため、「 評価のしようがない・・・ 」と消極的な返事が来るのが通常だからです。
僕は融資を受けて土地を購入しましたが、それは3年の準備期間中に「 将来的にコインパーキングをしようと考えており、色々と研究をしている 」ということをメインバンクさんに伝えていたことと、その間のビル投資で結果を出し続けていたからだと思います。
無事に融資を受け、土地を仕込んだら、次はいかにして選ばれるコインパーキングを作るかに集中します。すぐやるべきは、その土地に合ったコインパーキングの設備の購入です。
駐車スペース約25台以上向けのゲート式とそれ以下の用地向けのフラップ式があります。どちらも新品、中古とありますが、僕は故障やアフターサービスなどを考えて新品を選びました。
また、付帯設備として場内の照明が必要になります。ここはケチらずに、明るめの駐車場を作ることを心がけました。駐車場は24時間、人の出入りがあり、夜でも使いやすくすることが大切だからです。
■ 管理と運営をどうするか?
次は、管理をどうするかを決めます。管理には緊急時と通常時の2種類がありますが、緊急時の管理については、24時間対応の警備会社と契約しました。こればかりは自主管理でやることは困難なので、お願いをするしかありません。
そして、もう一つの通常時の管理は集金、掃除、レシート交換といった日常の管理業務がメインとなります。僕は自主管理でやりましたが、不動産会社にお願いしたり、アルバイトを雇うなど方法もあると思います。
最後に利用料金の設定です。周辺を調査し、自分の立地は高くすべきか安くすべきかをよく検討します。料金メニューをどう差別化するか、頭を悩ませました。
まずは時間単位。1時間毎、30分、15分と、区切り方を検討します。これらは都心に近づくほど短くなる傾向があります。そして昼料金、夜料金、あるいは最大料金も工夫が必要です。
また、金額単位も100円単位なのか、それとも50円単位なのかを決めていきます。僕が調べたところ、10円単位のところもありました。これらは集金の頻度にもかかわってくるので、その辺も考慮しなければなりません。
■ 看板と自動販売機の設置
料金が決まったら、看板を作ります。料金看板はシンプルで大きく見やすいことを意識しました。また、利用トラブル防止向けの看板や近隣への迷惑を考慮した騒音トラブル、ゴミ等など抑止する看板も必要です。
こちらはオプションですが、僕は自動販売機の設置も行いました。数社に見積りをお願いして、1次電源の設置費用を負担してくれる業者さんに決めました。
自動販売機も自主管理でやることを検討しましたが、飲料水を仕入れて「 在庫 」として持つことになるのでやめました。以前の中古レコード業で、在庫を持つことによる仕入れ代金の先払い、スペースなどの問題を経験していたからです。
これらは、参考にするべきコインパーキング投資のノウハウがなかったので、一つ一つ時間をかけながら、自分で考えて迷いながらも判断するということを繰り返しました。借入額も相当なものでしかたら、不安もかなりありました。
そして2013年11月の夕方、駐車スペース23台、自動販売機2台最初のコインパーキングをオープン! ビル経営には慣れていた僕ですが、初めてのコインパーキング事業ということで、かなりドキドキしました。
■ 最初のお客さんとコーヒーで祝杯をあげる
オープン後5分もしないですぐに、最初のお客様が入庫してくれた時には、本当に嬉しかったです。喜びのあまり自動販売機でコーヒーを買って、利用者の方に一緒に乾杯をしてもらったほどです。
数日後、近くの焼き鳥屋さんで「 おたくの駐車場に停めた人がコーヒーをご馳走してもらったと喜んでいたよ 」と言われました。最初の利用者の方が色々な方に話してくれていたようです。
最初のお客様は3時間の駐車で300円の売上だったので、お客様と業者さんと乾杯するためにコーヒー5本を買ったことで赤字になりました。しかし、面識もなく、駐車後にどこに行くかも知らず、ただ感謝の思いで乾杯したその件について、意図しないところから聞くこととなり、口コミになっているのかなと嬉しかったです。とても良いスタートとなりました。
ここまでが、ざっくりとしたオープンまでの流れです。次回は、具体的な数字などを交えながら、スタートしてからの管理、予想以上に発生したトラブルなどについて、お話ししたいと思います。