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初期のリノベ代をかけすぎて撤退するテナントたち。桃色天国。自己解放。

広田健太郎さん_画像 広田健太郎さん 第122話

2021/4/14 掲載

僕はスーツを着たくないから就職はもちろん就活さえ1度もしなかった人間ですが、不動産事務所を構えた時にはさすがにスーツは着なければいけないかな、とスーツと革靴にしました。

無理して慣れようと努力していたのですが、結果、それでリズムを崩しました。落ちるところまで落ちて、もうこれ以上落ちようがないというときに、アメリカにレコードの買い付けに行っていた時のことを思い出しました。

ある店の中に入ると、裸足で店内を歩いている人が何人もいるのです。「 彼らはカルチャーで裸足なのよ。ヒッピーなのよ 」。よく見ると店内だけでなく、外も裸足で歩いている人がたくさんいました。

そうだ、自由になろう。裸足のヒッピーを思い出した僕は、私服で会社に行くようになりました。さらにはある日、思い切って靴を脱いでみようと思いました。まずは練習として会社から10メートル先にある銀行まで記帳をしに出掛けました。

たくさんの人が僕の足元を見ています。気のせいではなくて、本当に周囲の視線を独占していました。ヒソヒソ声も聞こえてきます。その後のことはよく覚えていませんが、永遠にも感じられた時間を乗り越え、何とか会社に戻りました。

そして今も、毎年3月末から11月末まではいつもビーサンで過ごしています。目上の人と会う時には失礼かなと思いながらも、言葉使いと挨拶、マナーは最上級を心掛けて何とか許してもらっているような感じなのかなと思います。

■ リノベにお金をかけすぎて経営を続けられなくなる人たち

前置きが長くなりましたが、先日書いた10坪の美容室さんのその後を書きます。「 かなり前向きに考えています 」と言われた数日後に、「 広田さんの店舗を借りたいので、先に内装業者さんに見積もりをお願いして良いですか? 」と連絡があり、業者さんが僕の店舗にやってきました。

参照:10年の極意。目指すのはその時代の不人気銘柄を底値で拾うかのように物件を仕込める不動産投資家

驚いたことに240万円で購入した僕のオンボロ店舗に来たのは、地元で数々のお洒落な店舗の内装を手がける○○リノベ。美容室さんは一体いくらのリノベをするつもりなんだろうと期待半分嫌な予感半分でした。

最悪の結果となりました。数日後、美容室さんから「 費用がかかりすぎるので、今回は辞退したい 」という連絡でした。

普段なら、「 また、ご縁あったらお願いします 」とお礼を言って終わるのですが、今回は連れてきた業者さんが違うと思ったので下記のことをメールで伝えました。

・○○リノベさんはデザイン性も高く、有名なお店をたくさん作っていますが、この物件には合わないと思います

・○○リノベさんの印象は、新築や郊外の大型店などを手がけることが多く、街中の古い店舗などの改修はやったことがないのではないかと思われます。そのために、今回の店舗も全部新築同様に改修しようとされていますが、そんなことをしたら高額になるのは当たり前です

・今回の店舗は古いのでたくさん改修をしたくなるかもしれませんが、お金はかけずに最低限の改修をしてまずは起業する、独立するということを優先した方が良いかと思われます

・数年間やってみて自信をつかんだら、この店舗にもっとお金をかけて改修するもよし、違う店舗でお金をかけてやるのもよしです。なので最初に高額な改修費をかけてお店を作るのは反対です

・僕も24歳の時にレコード店で起業しましたが、その後31歳までの間に3回店舗の引越しをしました。すぐに自分のレベルが上がってお店の内装に満足できなくなるので、とにかく最初はお金をかけずにやられるのが1番だと思われます

僕の店舗を借りろということではなく、起業する人の多くはお金をかけてお店をオープンし、返済が負担になって数年で閉店することが多いので注意してくださいと伝えるためのメールです。

どこかで良い起業を。もう僕の中では終わった案件となりました。

■ 豪快なリノベ会社の社長

ところが2週間後、「 また現地で打ち合わせできませんか 」と連絡がきました。しかし、業者さんはまた○○リノベさんだというのです。僕は、「 業者さんが同じなら意味がないと思います 」と返しましたが、「 ○○リノベさんに提示した予算内でお願いできるか最後に確認したい 」ということでした。

当日は多少の緊張感を持って現場に行きました。僕は○○リノベさんをディスっているわけではないにしてもプラスの感情を持っているわけではなく、もしそれが○○リノベさんに伝わっていたら、どんな顔をして会うべきかと考えてしまったからです。

前回の内見は○○リノベさんは社長ともう1人でしたが、今回は6名。僕は彼らを本気にさせてしまった( 怒らせてしまった )と思いました。僕は軽く挨拶をして、逃げるように店舗の外で電話をかけていました。ところが、ふと思ったのです。

今回も○○リノベさんが、「 ここが古い 」「 あそこが傾いている 」などと言えば、美容室さんはまた恐れを感じてしまいます。それではいけない。僕は店舗の中に入り、街中に複数の店舗を持っている僕なりの経験と意見を伝えました。

その後、〇〇リノベの社長が「 大家さんすごいね。不動産いくつ持ってるの? ビーサンなんか履いて仕事は何をしてんだ? 」と声をかけてきました。この前も今日もビーサンを履いて、こいつは何をしている奴なんだと不思議に思ったそうです。

50歳かもしれないし60歳を超えているかもしれない年齢不詳の強面の社長は、僕の自転車を見て「 自転車で仕事してんのか? 車買えないのか? 」と真顔で訊いてきます。

僕は半分冗談で「 ママチャリで来るとお客さんも僕がお金がないと思うのか、あんまり無理な条件交渉をしてこないのです。それに以前はもっとボロボロのママチャリに乗っていました 」と先日捨てたばかりの15年近く僕と妻で乗っていた自転車の写真を見せました。



以前の自転車で物件を案内すると、ほぼ全員、僕を哀れみの目で見ました。儲かっている旧知の社長からは、「 広田さん、もういい加減に新しい自転車買っても良いでしょ。一緒にいる俺が恥ずかしいよ 」と物件案内時に言われてしまいました。

平日の昼間に街中をボロボロのママチャリで走っている僕の姿を見て、「 広田は引きこもりのニートになってしまったみたいだ 」と同級生の間で噂にもなっていると言われたことも数え切れません。

社長の質問は続きます。「 車は何乗ってんだ 」「 結婚してんのか 」「 お前の携帯番号を教えろ 」「 今度俺のところに飯を食いに来い 」。

そして、社長さんの海外の個人ビジネスや今は東南アジアの○○○○の不動産が誰も買わないからかなり安いみたいだぞ等々、いつのまにか美容室さんのことも忘れて大盛り上がりです。

■ 桃色天国

大通りでそんな話をしていたら、1台の車が停まって中から降りてきた方が「 社長、何やってんですか 」と会話に入ってきました。知り合いの業者さんだそうで、「 この店舗は『 桃色天国 』だったところですよね? 昔よく通ったな 」という一言に僕は凍りつきました。

「 え、ここは以前ネイルサロンで、その前は洋服屋さんだったと売主さんに聞いていたのに、まさかピンク系のお店だったのか、せっかく楽しく盛り上がって入居が決まると思ったのに、終わったな 」。



ところがよくよく話を聞くと、僕の誤解であることがわかりました。この店舗は昔、原宿にあったピンクドラゴンの『 CREAMSODA 』という洋服ブランドを販売していた『 桃色天国 』というロカビリーファッションの聖地だったらしいのです。

僕はパニック寸前です。僕がレコード店を起業した時に母が「 原宿ゴールドラッシュ 」という本を貸してくれましたが、ピンクドラゴンはその主人公の山崎眞行さんのお店です。何度読み返したか分からないほどの僕のバイブルです。



僕はあの本を読んでゴールドラッシュを目指すようになり、ビルを買ってその上に自宅とプールを作りたいと思ったのです。それが、まさかこんなところでつながるとは。購入後5年経過して知った事実に、この物件を購入して心から良かったと思いました。

飛び入り参加の業者さんに、「 この物件の価値が一気に上がりました 」とお礼を言って、美容室さんに、「 この物件はすごいパワーを持っていますよ 」とテンション高く伝えました。

物語のある店舗は強いですし、元有名店の跡地は土地の力が強いと個人的には思っています。しかも『 桃色天国 』なんていう名前ならインパクトは抜群です。

以前、ジム鈴木さんと僕でこの店舗にあった2体のマネキンのどっちが綺麗だとか、今度このマネキンと2対2でダブルデートしようとか、馬鹿話をしていましたが、『 桃色天国 』で使われていたであろうこのマネキンは僕の遊び部屋に移動して守り神にしようと思います。



ビーサンを履いたことで僕は自分を取り戻して自由になり、仕事も遊びも人生を楽しんでいます。

今回もビーサンのおかげで成功社長と会話が始まり、所有物件が実はすごいところだったと知りました。世間一般ではビーサンにはまだ早い時期ですが、せっかくなのであなたもぜひ今日からいかがですか( 銀行へ裸足で行くことはオススメしません )。

プロフィール

■ 広田健太郎さん

hirotasan

不動産投資家
マレーシア・ペナン島在住

ツイッター
https://twitter.com/kentarohirota

ブログ
walk on the blue ocean.

■ 経歴

□1975年
群馬県高崎市に生まれる

□1997年
早稲田大学スポーツ科学部卒業(サッカー部所属)

□1998年
シンガポールプロサッカーリーグDIVISION1でプレイ

□1999年
個人事業主として「サファリレコード」創業

□2005年
結婚
父親のすすめで1棟目のビルを購入

□2008年
レコード店を閉め、父親の不動産会社へ入るも2カ月で退社

□2009年
宅建免許取得

□2017年 マレーシア・ペナン島に移住

□2018年
宅建免許返納

■ 所有物件

□2005年
11月:1棟目ビル購入(4テナント)20%

□2011年
3月:2棟目ビル購入3テナント、1住居(売却)⇒2019年10月再購入

□2012年
7月: 3棟目ビル購入(4テナント、1住居)26%
9月: 4棟目ビル購入(3テナント)28%
9月:中古戸建購入(売却済)

□2013年
3月: 5棟目ビル購入(売却済)
6月:区分マンション購入(売却済)
9月:自宅近くの中古戸建購入(売却済)
10月:土地購入⇒コインパーキング23台(売却済)
12月:中古戸建店舗購入(売却)⇒2019年10月再購入
12月:自宅隣の中古戸建購入 

□2014年
3月: 6棟目ビル購入(2テナント) 20%
7月: 7棟目ビル購入(売却済)
10月: 8棟目ビル購入(2テナント)32%

□2015年
3月:中古戸建店舗購入(売却済)
3月:土地購入⇒コインパーキング(35台)
6月:土地購入⇒コインパーキング(5台)
10月:転売用土地購入(売却済)
11月:自宅近くの中古戸建購入(売却済)

□2016年
3月:店舗購入
5月: 9棟目ビル購入(売却済)
8月:ロードサイド借地権付き店舗購入

□2017年
3月:10棟目ビル購入(4テナント)
8月:ロードサイド店舗購入(売却済)
10月:駅近ビジネスホテル隣の店舗購入(4テナント)
11月: 11棟目ビル購入(2テナント)

□2018年
8月:店舗購入(現金)
12月:ロードサイド店舗購入:1350万円(現金)

□2019年
2月:借地権付き店舗購入:70万円(現金)
3月:借地権付き店舗購入:200万円(現金)
4月:ロードサイド店舗購入(現金→購入後融資)
4月:上記隣地の店舗購入(現金→購入後融資)
6月:ラーメン店跡店舗購入:1600万円(現金)
6月:駐車場購入9台:1150万円(現金)
10月:中古戸建店舗再購入(現金)
10月:2棟目ビル再購入(融資)
11月:12棟目ビル購入2テナント(現金)
12月:駐車場購入3台 (現金)

□2020年
2月:13棟目ビル購入(3テナント、1住居)(融資)

□2021年
1月:2019年3月購入の借地権付き店舗の借地購入 180万円(現金)

2021年現在の家賃年収約6,900万円

月に5〜10日、一日に数時間働く狩猟型の生活を満喫している

不動産投資を始めるきっかけや初期の苦労については大家列伝(前編・後編)を参照ください。

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