■ 次のブルーオーシャンを探して
1999年11月、24才の僕はレコード店をオープンするためにアメリカに買付けに行きました。
どこに行けば売っているのか、誰から買えば良いのか、何の情報もありませんでしたが、現地のレコード屋に行けば何とかなると向かったロサンゼルスで大物ディーラー2人と出会い、そこから道が開けていきました。
あれから17年後の今年11月、4月に続きマレーシアに家族4人で渡り、MM2Hのビザの申請と住居の賃貸申込み、日本人学校の見学をしてきました。まだ色々とやることはありますが、僕は家族でマレーシアにしばらく移住するつもりでいます。
これから先のことは全くわかりません。でも、24才の時にアメリカに行った時のように、また、その前にシンガポールのプロサッカーリーグ入団を目指してシンガポールに渡った時のように、今回も飛び込んだ先で「 なるようになる 」と思っています。
一つだけ確信しているのは、誰もいない大きなブルーオーシャンを僕はまた見つけられるんじゃないかということです。大海原を前にどこに針路を取り進んでいくのか。自分でも本当に楽しみです。
周りからは、せっかく不動産投資で成功しているのにここで海外に出たらもったいない、このまま続ければ良いのにとか色々と言われます。
でも、僕は逆に、このまま不動産投資でそこそこ成功して、家族もそこそこ幸せで、これから先も時々物件を買って、年に数回、海外を旅して・・・の繰り返しを想像すると、それは本当に恵まれたことではあるのですが、死ぬ時に絶対に後悔すると思いました。
この決断はもしかしたら失敗かもしれません。しなくて良い遠回りをするかもしれません。不安もありますし、もったいないという気持ちも少しはあります。
でも、決められた人生を生きることほど退屈で無意味なものはありません。人生は挑戦なのです。
■ ひとつの借入が終わって思うこと
さて、不動産投資の話をします。昨年の11月に続いて、今年も11月に1つ借り入れを完済しました。昨年は毎月25万円の返済が終わったのでそれはそれは大きな喜びでしたが、今回は毎月6万5千円ということで、正直あまりピンときていません。
ただ、来年9月に今度は毎月13万5千円の返済分が終わりますし、それと合わせると毎月20万円の返済が終わることになり、そこではじめて晴れ晴れとした気持ちを実感するのかなと思っています。
しかしそれでも、少しずつ返済が進んでいること自体はとても感謝しなければいけないことだと思っています。
僕は自分でお店をしていたからとても良く分かるのですが、僕に家賃を払ってくれているお店の方達は、毎日朝から夜までお店を開けて働いています。お客様、従業員、仕入れ、良いことも悪いことも晴れの日も雨の日も時には家族を犠牲にもして毎日体も心も休まる暇もなく頑張っています。
そうやって稼いだお金を家賃として頂戴して僕の返済が進んでいるのですからお店の方達には感謝しなければいけません。いえ、感謝という言葉では足りません。
だから、僕は何があっても、家賃をいただく以上、次のことを死んでも忘れてはいけないと思っています。
■ テナントさんへの感謝は行動に移さなければいけない
台風など突然の天災等があった時、お店にはお客さんが来てくれません。それでも、お店の方には家賃が発生しています。従業員のお給料が発生しています。仕入れ代金も支払わなければなりません。
だからそんな時は本当に困ってしまうのです。では、そんな時に僕はどうするか。僕には何ができるか?
僕はとにかくお客様のお店に行くようにしています。お店に行って食事をしてお酒を飲んでお金を使うようにしています。
僕もお店をしていた時に、天候が悪かったり給料日前でお客さんが少なかったりして、売り上げがゼロでどうにもならず、焦るような時がありました。そういう日には、あの支払いをどうしよう・・・といった不安が頭をよぎります。
そんな時に、フラッと来てくれた常連のお客さんが数万円の買い物をしてくれたときは、「 救われた 」と感じました。だから、感謝という言葉だけではなく行動をしなければいけないと思っています。
ちなみに僕は、お酒はあまり飲まないのでお酒がメインのお店にとっては上客ではありませんが、ボトルを入れて僕のお客さんや知っている人が来たら出してドンドン飲んで欲しいと伝えておきます。
ボトルを入れてもらったお店の人も喜ぶし、ボトルのお酒を飲める人も喜ぶ。僕も普段頂いている家賃を少しでも還元できる。みんながハッピーになるわけです。お店にお金を払って食事券を発行してもらい、それをお客さんに渡すこともあります。
あるいは、お店との2年なり3年の賃貸契約が終わり、更新を迎えたとき、僕は更新料をもらわなかったり自分から条件の値下げを提示したりすることがよくあります。
こういう時代にお店を続けることは本当に大変です。不景気で外でお金を使わない方が増え、買い物もネット通販で済んでしまう時代に、お店をやっている方達へ僕ができることで少しでも協力したいと思っているのです。
それは単なる条件の値下げ、安売りとは違います。運命共同体であるお客様へのそれが僕なりの感謝であり、店舗投資をしているオーナーとしての覚悟です。家賃を下げたこちらの思いは、相手にも伝わります。
何よりも忘れてはならないのは、「 家賃を遅れずしっかりとお付き合いのできる大切なお客様 」にはなかなか出会えないということです。もし、そんな相手と出会えたなら全力でお付き合いさせて頂くべきです。
こういったことは不動産投資本には書いてありませんし、誰も教えてくれません。もちろんこれらのサービスをやらなくても契約上は何も問題ありません。しかし、僕はとても大切なことだと思っています。
借入の返済が嬉しいのはもちろんですが、その一方で、お客様に対してもっとできることがあるんじゃないか? そのことをもう一度よく考えるべきですし、それこそがビルオーナーとして、最も大切なことだと思います。
■ 投資家交流会に参加して
最後になりますが、土曜日は健美家主催の投資家交流会に、ゲストとして参加させていただきました。お誘いを受けたときは、僕のような者がゲストでいいのだろうかと迷いましたが、思い切ってお引き受けしました。
会場では、「 大きな声ではいえませんが、広田さんのコラムが一番楽しみです 」と言っていただいたり、声をかけてくださった方たちが僕のコラムを本当に細かく読んでくれていることを実感したりして、胸が熱くなりました。
いつもコラムを書くときは何日も準備をして何回も書き直しをして、すごい時間がかかります。でも、こうして読者さんにお会いしてみて、その意義はあったと強く思いました。
楽しみにしてくださっている方のためにも、たくさん投資や旅をして、本を読んで音楽を聴いて映画を観てたくさん遊んで、これからも上質なコラムを書かけるようにがんばります。