約1年前のコラム( 第8話 )で、僕が不動産投資を始めて今に至るまでの思考と行動を書き出したノートの中から、僕らしいもの12個を選んで紹介しました。
今回は、その時に紹介できなかったテーマと、1年後の今、改めて思うことなどについて、前回の内容の続編的なものを書いてみたいと思います。
1.自分のスタイルを持つ
僕の大学サッカー部時代の監督は、現役時代に釜本さんと日本サッカーリーグで得点王を5回争い、2度得点王になった「 ハイエナ 」と呼ばれた元日本代表の名ストライカー・松永章さんでした。
その松永章監督に教えられたことで僕が今も強く意識しているのが「 何か1つ、これだけは誰にも負けない武器を持つ 」ということ。例えば、加藤ひろゆきさんといえば戸建投資と誰もがイメージするような、そんな自分のスタイルを持つということです。
その加藤ひろゆきさんに「 ビル広田 」という僕の武器であるビル投資からリングネーム( ? )を名付けられたことはとても光栄なことです。( 詳しくは加藤ひろゆきさんのコラム第176話を参照ください )。
2.シンプルに
松永監督の言葉でもうひとつ心に残っているのは、「 シンプル イズ ベスト 」です。僕たちは結果を出そうと色々なことを学び、実践していきます。
しかし、あるレベルまで到達すると、全ての物事はとてもシンプルだと気付かされます。色々と問題があって複雑になっている売物件を安く購入し、シンプルにして高収益物件に変えるのが僕の得意なパターンです。
3.人の行く裏に道あり、花の山
今から10年ほど前、僕の地元では郊外にイオンショッピングモールができるということで、家を建てる人も店舗を建てる人も我先にと郊外へ飛び出して行きました。
街中の地価は下がり、店舗は一気にシャッター化が進みました。僕が街中に自宅とビルや店舗を買い出したのはそんな時でした。そして、最近になってまた街の状況が変わり始めました。
今秋には街中の駅前に北関東最大規模のOPA( イオン傘下の商業ビル )がオープンする予定です。10年前に1/2まで落ちた地価も、2倍近くに上昇。底値で買っていた僕は短期間での値上がりを経験しました。
投資の世界では「 人の行く裏に道あり、花の山 」という格言がありますが、それを僕は花の山に例えずに、青い海( ブルーオーシャン )に例えているつもりです。
いつも変化のタイミングやチャンスに遭遇できるとは限りませんが、そうなった時に人と違う道を歩めるかどうかが、一歩抜きんでるためのポイントではないでしょうか。
4.選択と集中
若い人にアドバイスを求められたときに、僕が最初と最後に伝えるのはこの「 選択と集中 」です。力のない個人が大手と同じようにデパートをやろうとしてはいけません。
人も物もお金もない個人は、なんでもやろうとせずに得意なことに絞って特化して専門店になるべきです。そしてその圧倒的な専門性こそが、大手にはない武器なのです。
この辺りを詳しく勉強したい方は「 ランチェスター戦略 」を学ぶことをお勧めします。僕が半径300メートルに集中投資しているのはランチェスターを学んだからです。
( ランチェスターのコンサルタントの栢野克己さんという方に、福岡の中洲の半径500メートル専門で不動産仲介をしている福一不動産さんを教えてもらい、研究した結果です )。
5.ネットは最小限に
ネットで何でも済んでしまう時代だからこそ、差がつくチャンスです。僕は絶対にグーグルアースとかで物件や旅先の景色を確認しません。第一印象は必ず生で見て感じたいからです。
まあ、便利か不便かで考えれば不便かもしれませんが、それが僕の生き方です。僕が常に大切にしているものは直感で、それは最初の1秒であり、後から感じるものは全て理屈です。
そしてネットに「 自分だけ 」の答えはありません。1秒で皆、同じ答えにたどり着きます。本当の答えは現場にしかありません。不動産投資もまずはネットで物件情報を探したら、その後は面倒臭がらずに全部現場に見に行けばいいのです。
この前、健美家に出ていた93万円の一棟ビル( 想定利回り47% )を買いに富山に行こうかと真剣に考えました。ビルに挑戦したい人は100万円でビルオーナーになれるのですから、ネットの前で悩んでいるより買ってしまえと言いたいです。
現金を持って行って「 50万で買いたい 」と言えば通るかもしれません。仮に空室のままでも、ビルオーナーになるという事実と気分を得られるだけで、100万円以上の価値があります。話が逸れましたが、大事なのはとにかく、現場です。
6.卵が先か鶏が先か
お金があるから投資をするわけではありません。ないときから投資をするのです。お金ができてから投資をするといっていた姿勢では、永遠にその時は来ません。
借金をしてでも自分と物件に投資をするのです。不動産投資家にとっては絶対に鶏が先で、そのあとに卵が生まれるのです。
7.群れない
僕は一人でいる時間をとにかく一番大切にしています。
8.日本一の水汲み
今の自分がどこにいようと何をしていようと、今いるところでベストを尽くすことを心がけています。僕が大学サッカー部の1年生の時に怪我ばかりでほとんど練習ができず、水汲みばかりをしていました。
1人で60人分の水を補給しなくてはならず、練習中は休む暇がありませんでした。そんな1年も、シーズン最後の大会である全日本の総理大臣杯で優勝し終えました。
僕は実家に帰った時に「 チームが日本一になっても僕には誇れるものは何もない 」と父に報告しました。しかし、大学時代にアメフト部だった父はこんなことを言ってくれました。
「 水汲みがいなかったら、みんな練習をできなかったじゃないか。お前は日本一に貢献した。日本一の水汲みだと胸を張れ 」。この言葉は苦しい時にいつも僕に力を与えてくれます。
読者の方の中にも物件を買えなかったり、思い描くような人生が送れていない人がいるかもしれません。しかし、目の前の仕事に全力で取り組むことで道が開けてくると思います。
9.決算書にこだわる
昔の僕は税理士さんに「 資料を揃えてください」と言われてからようやく、まとまっていない資料を渡してギリギリで決算を終えるタイプでした。僕がしたことといえば、最後の書類へのサインくらいです。
決算書の内容も創業以来ずっと赤字。「 決算書なんて必要ない。儲かっているかいないかは全部頭の中で分かっている 」。そんな姿勢でした。
そのため、不動産業に参入して、借入れをしようと思った時に借りられませんでした。「 決算書が全て 」と痛感しました。そしてそこから意識を変えました。
毎月、銀行に試算表を提出に行って、さらに的確なアドバイスをもらうために、セカンドオピニオンとして2社の税理士さんにお世話になっていた時期もあります。
決算書をよくするためにできることは全てしました。数年かかったものの、今はとても健全な財務状況となりました。
10.番外編
僕は宗教や政治に特定の思想は持っていませんが、気がついた時にお墓参りとお墓の掃除をする習慣を大切にしています。
僕が生まれた時には父方の祖父も祖母も亡くなっていたので会ったことはないのですが、2人の背中を流すつもりで、いつもお墓を素手で綺麗に磨きながら、色々な報告をします。
また、日本全国を旅行する時に、時間があると神社に行ってお賽銭を1万円入れてきます。7年くらい前から続いています。お墓参りとお賽銭を意識してから、人生の流れがよくなった気がします。( 気のせいかもしれませんが・笑 )
先日、7月に入ってビルを売却した話をコラムで書きました。この売却で同世代のサラリーマンの年収の10倍くらいの現金が残りました。僕にとっては過去最高の利益です。
このビルは売るつもりがなかったのに、結果的に売却をしたのは、売って欲しいという電話をもらったのがきっかけです。そして、その電話は母方の祖母のお墓の掃除をしている時にかかってきました。
ちょうどペナン島で家を借りて、新しい人生を歩き出したタイミングだったこともあり、「 これって、大好きだった祖母が導いてくれているのかな… 」と感じたのも、売却を決めた理由の1つです。
「 嘘でしょ? 」と思うかもしれませんが、けっこう真面目な話です。去年の七夕に短冊に書いた願いも叶いました。ノートと、この地道な行いのおかげかもと、意外と真剣に思っています( 笑 )。