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他人事ではありません!単身入居者の突然死にはどう対処すべき?

泉義孝さん_画像 第15話

単身で入居していた賃借人が突然亡くなってしまった場合、賃貸人は賃貸借契約をどうするのか、貸室内の残置物はどうなるのか、といった様々な問題に急に直面することになります。

今回は、このような場合に賃貸人としてはどう対応したらよいのかについて、お話ししたいと思います。

1、単身入居者が亡くなったら、まず何をすべき?

賃借人が亡くなった場合、相続人がいれば相続が発生しますから、賃貸借契約は賃借人の死亡により当然に終了することにはならず、賃貸借契約上の権利・義務は相続人に引き継がれます。

そこで、賃貸人としては、まずは相続人の有無を調査することになります。具体的には、亡くなった方の戸籍を出生までたどっていくことにより、相続人の有無や連絡先などを調査します。

ただ、通常は賃貸借契約時に緊急連絡先を聞いていると思いますので、そこに連絡をすれば、相続人の有無や連絡先を教えてもらえることも多いでしょう。

なお、賃料については相続人が判明した場合に相続人に請求することも可能ですが、連帯保証人がいれば連帯保証人に請求することも可能ですから、その場合には連帯保証人にも連絡を取って事情を話しておいた方がよいでしょう。

ただし、賃貸物件の明渡し義務は「 賃借人のみが負っている義務 」ですので、連帯保証人に明渡しを請求することはできません。

2、相続人がいる場合

相続人がいる場合には、相続人との間で賃貸借契約を解除することができます。相続人との間で協議ができれば、賃貸借契約を合意解除し、物件の明渡しや敷金の清算などの手続をすることになります。

物件内の故人の残置物については、相続人に処分してもらったうえで物件を明け渡してもらうのがベストだと思われますが、相続人が遠方にいるなどして相続人の方で処分が難しい場合もあります。

そのような場合は、相続人に残置物の所有権を放棄してもらったうで、賃貸人が処分することに同意してもらい、賃貸人の方で処分するということになります。なお、残置物の所有権放棄と賃貸人による処分への同意については、必ず書面にしておきましょう。

相続人が1人の場合は,その人と合意をすれば問題ないのですが、相続人が複数いる場合は手続が少し複雑になってきます。

まず、賃貸借契約を解除する場合の意思表示は、相続人全員に対してする必要があります。通知漏れがあると解除が有効になりませんから、そのためにも誰が相続人なのかをきちんと調査しておく必要があります。

また、故人の残置物は相続人全員の共有となるので、賃貸人が処分する場合には、相続人全員から所有権放棄と賃貸人による処分への同意を得ておかなければなりません。



3、相続人がいても協力が得られない場合

相続人がいても相続人の協力が得られず、賃貸借契約の解除等につき協議ができない場合もあります。賃貸人としては、賃料を支払ってくれる人がいないのに、賃貸物件をそのままにしておくわけにはいきません。

そこで、そのような場合は相続人に対し、賃貸物件の明渡請求訴訟を提起することになります。そして、判決を得たうえで、明渡しの強制執行を行います。

明渡しの強制執行においては、残置物について相続人が引き取らない場合は、執行官が売却の手続をとることになりますので、賃貸人はこれらの残置物を競落して、処分することができます。

4、相続人がいない場合

では、相続人がいない場合( 法定相続人全員が相続放棄をした場合も、相続人が最初からいなかったことになりますのでこの場合も含まれます )はどうすればよいのでしょうか。

亡くなった方に相続人がいない場合,相続財産は法人となり( 民法951条 )、裁判所から選任された相続財産管理人( 弁護士などの専門家が選任されることが多いです )が相続財産を管理・処分する権限をもつことになります。

そこで、賃貸人としては選任された相続財産管理人との間で、賃貸借契約の解除や賃貸物件の明渡しの話をすることになります。相続人がいないからといって、自動的に賃貸借契約が終了したり、残置物を勝手に処分してよいということにはなりませんのでご注意ください。

なお、相続財産管理人が選任されていなければ、賃貸人が自ら裁判所に選任を申し立てることもできます。ただし、相続財産管理人の選任申立てには手間や費用がかかります。

5、終わりに

このように、単身入居者が亡くなった場合に、賃貸人が賃貸借契約を解除して賃貸物件を明け渡してもらうためには、相続人の調査や相続人との協議、明渡訴訟の提起などの手続を踏まなければならず、なかなか大変です。

とはいえ、賃貸人の判断で勝手に故人の物を処分したりすると、もし故人に他の債権者がいたような場合には、後でその債権者から損害賠償請求をされることも考えられますから、慎重に行動するようにしましょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 泉義孝(いずみよしたか)さん

泉義孝さん

弁護士・不動産投資家
「泉総合法律事務所」代表
「不動産トラブル何でも法律相談所」所長

■ 経歴

京都大学法学部卒業。
社会人生活を経て司法試験に合格し、2000年に弁護士登録。

都内にて勤務弁護士を2年間務めたのち、共同事務所を設立して独立。
その後、個人事務所を開設し、弁護士法人泉総合法律事務所を設立する。

知的財産権、渉外関係を除く民事全般、刑事事件全般に取り組んでおり、不動産関連の案件の実績も豊富。

信条は「多角的視点に立って、最後まで粘り強く戦い抜くこと」。
趣味は海外旅行で、特に好きなのはイタリア。

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