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借地物件を買ってこじれる人々〜事前に知っておきたい借地の法的留意点〜

泉義孝さん_画像 第2話

アパート大家兼弁護士の泉義孝と申します。今回2回目のコラムは借地権付きアパートの法的留意点( 売却の場合、購入の場合、融資の場合、建て替えの場合 )について述べてみたいと思います。

投資家が収支が合う物件を探すうちに、「 借地 」の物件に辿り着くことはよくあります。借地は所有権の土地に比べて価格が安く、利回りも出やすいので、あえて購入するのも戦略としては当然、アリでしょう。

しかし、借地の物件を検討するなら、相応の知識が必要です。買うときはスムーズにいっても、その後の維持や売却が簡単にいくとは限りません。実は、「 借地 」がらみのトラブルを抱える人は、意外と多いのです。

私たち弁護士の仕事にも、借地に関するものは少なくありません。後で苦労することにならないよう、少なくとも以下のような知識は身につけておきましょう。( 仕事柄、少し文章が固いかもしれませんが、ご容赦ください )。

■ 1、借地上の建物の建て替え

借地上に建つ建物の建て替えを検討する際には、まず、締結している借地契約に平成4年8月1日に施行された借地借家法( 新法 )が適用されるのか、改正前の旧借地法( 旧法 )が適用されるのかを確認する必要があります。

旧法と新法の大きな違いの1つとして、新法では「 〇年後には更地にして地主に返却する 」といった条項が付いた定期借地権が定められた点が挙げられます。

この定期借地権は更新ができないので、借地権が「 新法 」での定期借地権であった場合、残存期間によっては、建物を建て替えても投下資本を回収しないうちに地主に土地を返却しなければならない可能性があり、注意が必要です。

■ 2、建て替えについての地主の承諾

借地上の建物は自由に建て替えができるわけではなく、建て替え時には地主に承諾を得る必要があります。

その場合、「 建て替え承諾料 」を支払うことになる可能性が高く、相場は更地価格の3%から10%といわれています( 借地条件の変更を伴わない場合は低い金額に、伴う場合は高額になります。)

また、建て替えにあたり、借地条件の変更が必要にある場合もあります。借地条件変更の典型としては、旧法での非堅固建物( 木造等 )の所有を目的とする借地上に、堅固建物( 石造、土造、レンガ造、コンクリート造、ブロック造等 )を建築する場合があげられます。

新法では非堅固建物と堅固建物の区別は廃止されましたが、旧法では両者を区別していたので、旧法の借地権で建て替えによって建物の構造が変わる場合には、借地条件の変更につき地主に承諾を得ることになるのです。

ただし、地主が許可を出さなければ何もできないか、というとそうではありません。建て替えや借地条件の変更の際に地主の承諾が得られない場合には、「 借地非訟手続 」によって裁判所に対し、地主の承諾に代わる増改築許可や借地条件変更の裁判を求める申立をすることができます。

■ 3、金融機関の融資を利用する場合

借地上の建物の建て替えにあたり、住宅ローン等金融機関の融資を利用する場合、「 地主の承諾書( 融資承諾書 )」を得ることが条件となっているのが通常です。

ところが、承諾書には地主にとって不利な規定があるため( 例えば「 建築した建物には、〇〇銀行が第1順位の抵当権を設定する 」等 )、地主の承諾を得るのが難しい場合もあります。

法律上、地主には融資承諾書に署名押印する義務はありませんし、融資の承諾については裁判所による代諾の制度はありません。建て替えについての承諾料の支払い後に、融資承諾書への署名押印をお願いしたら断られ、結局建て替えを諦めたという事例も実際にあります。

ときどき、不動産会社のサイトなので、「 この立地と価格で、どうして売れ残っているのだろう 」というような借地を見かけますが、その理由が「 地主が融資承諾書にハンコを押さないから 」ということも珍しくありません。

そこで、金融機関の融資を利用する場合には、承諾料の支払いの前に、地主の署名捺印が必要となる承諾書を全て地主に渡しておき、承諾料の支払いは署名捺印済みの各承諾書と引き換えにすべきといえます。

■ 4、借地権付き建物の売買

借地権付き建物を第三者に売却する場合、通常は建物の所有権と一緒に借地権も併せて売却することになります。しかし、借地権の売却には地主の承諾が必要となるので、まずは事前に地主の意向を確認する必要があります。

地主から借地権譲渡の承諾書をもらわないうちに売買契約すると、後でトラブルになりかねません。中には、「 他人に売却するなら、借地権を自分が買い取るので借地を返して欲しい 」という地主もいます。

ですから、借地権付き建物を売却する場合には、まず、地主に買取りの検討を申し出てみるのがよいでしょう。

■ 5、借地権譲渡についての地主の承諾

地主に買取りの意向がない場合は、第三者に売却することになります。しかし、その際には売買契約の前に地主から「 借地権譲渡の承諾書 」をもらっておく必要があります。後日のトラブル防止のため、口頭の承諾ではなく、書面でもらっておかなければなりません。

地主に承諾書を書いてもらうには承諾料を支払うのが一般的です。承諾料の相場は借地権価格の10%程度です。ただし、購入者が売買代金の支払いに金融機関の融資を利用する場合等は、それだけではすみません。

融資を受けるときは、建物への抵当権設定が必要となり、このときに地主の承諾を得ることが条件ということもよくあります。この場合にはその承諾ももらう必要があるため、通常、承諾料は上乗せとなります。

地主が第三者への譲渡を承諾しない場合は、「 借地非訟手続 」による裁判所の代諾許可( 借地借家法の定める地主の承諾に代わる許可 )を得ることにより、売却が可能となります。

ただし、代諾許可を得るには購入者( 正確には購入予定者 )が決まっており、購入者にきちんと地代を支払える能力がなければなりません。また、通常、承諾料もきちんと支払うことになります。

この手続において、地主は裁判所が定めるときまでに、借地上の建物及び借地権を自ら買い取る旨の申立てをすることができます( 介入権といいます )。

そして、地主がこの申立てをしたときは、「 原則として地主に優先的に売却しなければならない 」ため、第三者への代諾許可は取得できなくなります。

もし、すでに借地物件の件でトラブルを抱えている・・・という方がいれば、弁護士に相談するのも一案です。私の事務所では月額3,000円( 税別 )の顧問契約を請け負っていますので、よろしければご相談ください。


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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 泉義孝(いずみよしたか)さん

泉義孝さん

弁護士・不動産投資家
「泉総合法律事務所」代表
「不動産トラブル何でも法律相談所」所長

■ 経歴

京都大学法学部卒業。
社会人生活を経て司法試験に合格し、2000年に弁護士登録。

都内にて勤務弁護士を2年間務めたのち、共同事務所を設立して独立。
その後、個人事務所を開設し、弁護士法人泉総合法律事務所を設立する。

知的財産権、渉外関係を除く民事全般、刑事事件全般に取り組んでおり、不動産関連の案件の実績も豊富。

信条は「多角的視点に立って、最後まで粘り強く戦い抜くこと」。
趣味は海外旅行で、特に好きなのはイタリア。

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