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騒音トラブルにはどう対処すべき?

泉義孝さん_画像 第4話

今回は、賃貸しているアパートの入居者間で騒音トラブルがあった場合に、大家としてどう対応すべきかについてお話ししたいと思います。

■ 1、入居者間の騒音トラブル

アパートやマンションといった集合住宅では、隣人や上下の階の住人との間を隔てているのは壁や床、天井だけです。そのため、人の話し声や足音、テレビの音などの生活音が隣室や上下の階から聞こえてくることがあります。

人が生活するにあたって音が出るのは避けられませんから、多少の生活音でしたら「 お互い様 」ということで済むのですが、生活音の大きさや頻度によっては、入居者間の大きなトラブルに発展することがあります。

賃貸しているアパートの住人から、「 隣の部屋の住人がうるさくて困っているんです。大家さん、何とかして下さい! 」と相談があったら、どう対応すべきでしょうか。

■ 2、大家の義務

入居者から騒音を何とかして欲しいという訴えがあった以上、大家としてはこれを放置するわけにはいきません。大家には、入居者が居住するのに適した状態で物件を賃貸する義務があるからです。

騒音によって、入居者が平穏な生活を営めない状況にあるのにそれを放置すれば、大家としての債務の不履行となり、被害者である入居者から賃貸借契約を解除されたり、損害賠償請求をされるなどの責任を問われることになりかねません。

大家としては、「 当事者間でよく話し合って解決してください 」というわけにはいかないのです。

■ 3、騒音問題と受忍限度

では、具体的にどうすべきなのでしょうか。まず、問題となっている騒音がどういったレベルのものなのかを把握する必要があります。

生活音は人によって感じ方が違うものです。被害者の方が「 音がうるさい。騒音だ 」と訴えるだけでは、それがどの程度のものなのか法律的に判断することは難しいといえます。

そこでポイントになるのが「 受忍限度 」というものです。これは簡単にいうと「 世間一般的に我慢できる範囲 」という意味で、生活騒音が客観的にこれを超えている場合には不法行為と認められます。

では、客観的に受忍限度を超えているかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。

これについては、騒音が問題となった裁判例の多くで、「 騒音のデシベル数が、その物件の所在地の自治体が設定している環境条例上の騒音基準に照らして基準値をどの程度上回っているか 」。また、「 その騒音がどの程度頻繁に発生しているか 」等によって判断されています。

たとえば、マンションの上階で子どもが廊下を走り、飛び跳ねる音が問題となった裁判例があります。この時は、ファミリー向けマンションで子どもの居住も予定しているとしながらも、厳しい判決が下されました。

具体的には、騒音として、かなり大きく聞こえるレベルである「 50〜65デシベル程度の音が1年半以上ほぼ毎日、午後7時以降や時には深夜にも発生していた 」ということ、「 誠実な対応をしなかったこと 」などを理由に、子どもの父親に30万円の慰謝料の支払いが命じられました。

この事案は、区分所有建物の所有者同士が当事者となった事案ですが、賃貸借物件における大家の義務違反が問題になる場合も、同程度の慰謝料が認められる可能性があるといえます。

ですから、入居者から騒音について相談を受けたときは、まずはその騒音が受忍限度を超えるレベルのものといえそうかどうかを調査すべきということになります。

ちなみに、騒音の計測には、騒音計という道具を使います。騒音計はレンタルや自治体で貸してくれることもあるようですので、確認してみて下さい。

■ 4、騒音が受忍限度を超えていたら・・・

騒音が受忍限度を超えていそうな場合、次にどうすべきでしょうか。一般的には、ある入居者から他の入居者が引き起こしている騒音に対して苦情があった場合には、まずはその原因となっている入居者に対して、書面や口頭で中止・是正を促すかと思います。

注意することで今後、気を付けてくれれば大きなトラブルにならずに済むでしょう。ただ、再発する可能性もあるため、それを防ぐための対応が必要になります。

過去にも迷惑行為を繰り返していたような場合には、「 今後は迷惑行為をしない 」「 再度迷惑行為に及んだ場合には賃貸借契約を解除されても異議を述べずに退去する 」こと等を盛り込んだ誓約書を提出させるというのも一案です。

書面や口頭で何度か警告したものの、それでも騒音が収まらない場合には、騒音による迷惑行為を理由として賃貸借契約を解除し、出て行ってもらう等の対応も考えなければなりません。

騒音等の迷惑行為があっても、それだけで直ちに賃貸借契約を解除するのは難しいことが多いのですが、再三にわたって迷惑行為の中止・是正を求めたにもかかわらず、迷惑行為を繰り返す場合には、「 賃貸借における信頼関係を破壊した 」として、解除が認められる可能性が高いでしょう。

なお、騒音を出しているのが、実は被害者が考えていたのと違う部屋の入居者である可能性もあります。アパートやマンションでの騒音は、必ずしも音のする方向の部屋から実際に音が出ているとは限りません。

建物の構造上の問題によりまったく違う場所の音が反響するなどして、隣や真上から聞こえるように感じることもよくあります。騒音を出している「 犯人 」とされている入居者が人違いである可能性もありますから、その点は慎重に行動された方が良いでしょう。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 泉義孝(いずみよしたか)さん

泉義孝さん

弁護士・不動産投資家
「泉総合法律事務所」代表
「不動産トラブル何でも法律相談所」所長

■ 経歴

京都大学法学部卒業。
社会人生活を経て司法試験に合格し、2000年に弁護士登録。

都内にて勤務弁護士を2年間務めたのち、共同事務所を設立して独立。
その後、個人事務所を開設し、弁護士法人泉総合法律事務所を設立する。

知的財産権、渉外関係を除く民事全般、刑事事件全般に取り組んでおり、不動産関連の案件の実績も豊富。

信条は「多角的視点に立って、最後まで粘り強く戦い抜くこと」。
趣味は海外旅行で、特に好きなのはイタリア。

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