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賃料を上げたい時はどうする?ー賃料改定に関する法的手続きー

泉義孝さん_画像 第5話

今回のテーマは,賃料の改定についてです。大家の立場から今より賃料を上げたい場合、逆に借主から賃料を下げてほしいという申し入れがあった場合について、どういった手続きになるのかをお話したいと思います。

■ 賃料の変更 〜まずは話し合い〜

賃貸借契約において、賃料は原則として貸主と借主との間の合意により決まり、契約期間中は同一の賃料となります。貸主が一方的に賃料を値上げすることはできませんし、逆に借主が一方的に賃料を下げることもできません。

当事者双方の合意によって決まったものですから、変更する場合も当事者の合意によることが原則になります。したがって、大家側が賃料の値上げをしたい場合も、借主が賃料の値下げを要求する場合も、まずは両者で話し合いましょう! ということになります。

■ 話し合いがまとまらない場合 〜賃料増減請求権の行使〜

当事者間の話し合いにより新たな賃料の合意ができれば、それ以降は新たな賃料を請求できます。しかし、話し合いが必ずしもうまくまとまるとは限りません。

では、新たな賃料の合意ができなかった場合は、賃料の値上げ・値下げは一切できないのでしょうか?

賃貸借契約は長期的かつ継続的な契約関係ですから、増減合意が成立しない限り賃料改定が一切できないとすることは、あまり好ましいことではありません。

そこで「 借地借家法 」では、建物の賃料が以下に該当すると判断された場合には、「 契約条件にかかわらず、将来に向かって賃料額の増減を請求できる 」と規定しています。

@土地や建物に対する税金やその他の負担の増減
A土地や建物の価格の上昇、低下など経済的事情の変動
B近隣の同じような物件の賃料と比較して不相当


賃料額改定についてお互いに納得できなかった場合には、貸主または借主の一方が他方に対し、内容証明郵便などを送って賃料増減請求の意思表示を行い、「 賃料増減請求権 」を行使します。

■ 民事調停と訴訟

賃料増減請求をしても相手方がその請求に応じない場合には、法的な手続をとることになります。

賃料改定についての法的な手続としては、民事調停と訴訟の2つがありますが、いきなり訴訟を提起することはできず、まずは民事調停を申し立てなければなりません( 「 調停前置主義 」といいます )。

民事調停とは、簡単にいうと「 裁判所で調停委員という裁判所の職員に間に入ってもらって行う当事者同士の話し合い 」です。

賃料改定についての争いの場合、借主が貸主に賃料を支払わなければならないことについては争いがなく、ただ金額が問題になるだけですので、まずは話し合いで解決することが望ましいとされているのです。

実際、経験豊富な調停委員が第三者として間に入ることで、当事者だけではまとまらなかった話し合いがうまくまとまることも少なくありません。

調停で解決できなかった場合は、訴訟を提起することになります。訴訟では不動産鑑定士の鑑定などをもとに、裁判所が最終的に適切な賃料を決定します( 調停でも鑑定を実施することがありますが、鑑定をせずに調停を不調で打ち切ることも珍しくありません )。

ただし、鑑定料としてそれなりの金額がかかりますので( ケースバイケースですが数十万円になることも! )、訴えを提起する前に訴訟をすることで採算がとれるかどうかを十分に検討する必要があります。

最終的に賃料の増額が認められても、鑑定料や弁護士費用などの訴訟にかかる費用の方が多くて結果的にマイナスになってしまったら、元も子もありませんので・・・。

■ 新賃料が決まるまでの賃料の支払は?

ところで、調停や裁判で新たな賃料の額が決まるまでの間、賃料の支払いはどうなるのでしょうか?

借地借家法では、貸主から賃料増額請求があった場合について、借主は「 増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる 」としています( 借地借家法32条2項 )。

借主から賃料減額請求があった場合について、貸主は「 減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる 」としています( 同条3項 )。

この「 相当と認める額 」というのは,現行の賃料と解するのが通常です。したがって新たな賃料が確定するまでは、増額請求の場合も、減額請求の場合も,現行の賃料が支払われることが多いでしょう。

ただし、裁判所の手続で新賃料の額が決まったら、増額請求または減額請求がなされたときに遡って新賃料が適用され、賃料増額の場合は、借主は増額請求を受けてから支払っていた現行賃料と新賃料との差額に10%の利息つけて貸主に支払う必要があります。

反対に減額請求の場合は、貸主は減額請求を受けてから受領していた現行賃料と新賃料との差額に10%の利息つけて借主に返還しなければなりません。

このように、賃料増減請求は相手方に意思表示が届いた時点で効力が発生するとされていますので、裁判所が妥当な増減額を確定させるまでの間は、自分自身が妥当であると思う賃料( 通常は現行賃料 )を請求、または支払うことが認められており、裁判が確定した後に払い過ぎていた分、または不足していた分を調整することになるのです。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 泉義孝(いずみよしたか)さん

泉義孝さん

弁護士・不動産投資家
「泉総合法律事務所」代表
「不動産トラブル何でも法律相談所」所長

■ 経歴

京都大学法学部卒業。
社会人生活を経て司法試験に合格し、2000年に弁護士登録。

都内にて勤務弁護士を2年間務めたのち、共同事務所を設立して独立。
その後、個人事務所を開設し、弁護士法人泉総合法律事務所を設立する。

知的財産権、渉外関係を除く民事全般、刑事事件全般に取り組んでおり、不動産関連の案件の実績も豊富。

信条は「多角的視点に立って、最後まで粘り強く戦い抜くこと」。
趣味は海外旅行で、特に好きなのはイタリア。

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