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ペット可物件のトラブルにどう対処するか

泉義孝さん_画像 第8話

今回のテーマは「 ペット問題 」です。ペットに関するトラブルは、賃貸物件の定番問題といっても過言ではありません。

ペット禁止のマンションで入居者が無断でペットを飼っていた場合や、他の入居者から鳴き声や排泄物に関してクレームがあった場合にどうすべきか、といった問題についてお話ししたいと思います。

1)ペット飼育禁止の特約は有効?

最近は「 借主は貸室内でペットを飼育してはならない 」というペット飼育禁止の特約条項を設けている賃貸借契約書も少なくありません。そもそもmこのような「 ペット飼育禁止の特約 」は有効なのでしょうか。

ペットを飼育すると、ペットが部屋を傷つけたり、汚したり、鳴き声がうるさかったりといった問題が生じ、他の入居者との間でトラブルになることがあります。

また,共同住宅ですと、ペットの飼育そのものに嫌悪感を抱く方もいます。そのため、裁判例でも、ペット飼育禁止の特約は合理性があり「 有効 」としています。

2)ペット飼育禁止の物件でペットを飼育していたら?

では、ペット飼育禁止の特約があるマンションで入居者が無断でペットを飼っていた場合、大家さんは賃貸借契約を解除して出て行ってもらうことができるのでしょうか。

賃貸借契約は継続的かつ貸主と借主の信頼関係を基礎とする契約です。そのため、契約を一方的に解除できる場合は非常に限定されており、裁判例では、客観的にみて、「 貸主と借主との間の信頼関係が破壊された 」といえるような場合でなければ解除できないとされています。

たとえば、熱帯魚等の観賞目的のペットの場合は、通常の飼育方法できちんと飼育していれば貸室にほとんど悪影響がなく、共同住宅であっても他の入居者に鳴き声や排泄物で迷惑をかけるようなことは基本的にはないと考えられます。

ですから、熱帯魚をペットとして飼っていた場合は、通常、貸主と借主との間の信頼関係が破壊されたとはいえず、特約違反を理由に賃貸借契約を解除することはできないでしょう。

また、犬・猫等のペットであっても、近隣への目立った迷惑行為がなく、ペットによる貸室の損耗も軽微なものしか認められない場合は、貸主が飼育をやめるよう催告をして借主が速やかに飼育をやめれば、信頼関係が破壊されたとまでいうのは難しいと思われます。

これに対し、ペットの飼育により貸主や隣室の住人に迷惑をかけたり、貸主がペットの飼育をやめるよう再三催告したにもかかわらずやめないような場合は、信頼関係が破壊されたと認められる可能性が高いでしょう。

3)ペット飼育禁止の特約がない場合

賃貸借契約にペット飼育禁止の特約がない場合は、危険動物( たとえば,毒ヘビ等 )であれば別ですが、犬・猫等の一般的なペットを借主が飼育することは原則として認められます。

とはいえ、まったく自由に飼育していいということにはなりません。借主は、特約がなくても、民法上、賃借物件を使用する際に、その使用法に従って適切に使う義務(「 用法遵守義務 」といいます )を負います。

たとえば、排泄物の始末をきちんとする、ペットが夜鳴き等をしないようきちんとしつけをするといったことが、用法遵守義務に含まれます。

したがって、借主がこの義務を果たしていないという場合には、用法遵守義務違反が認められ、信頼関係が破壊されたとして賃貸借契約の解除ができるでしょう。

4)他の入居者からクレームがあった場合

ペットの飼育が禁止されていない物件で、入居者( Aさん )が飼育しているペットに関して、他の入居者( Bさん )から苦情が入るケースがあります。

「 エレベーター内がペットの尿で汚れている。ペット禁止にして! 」とか「 ペットを禁止にできないなら、引越すから引越し代を大家さんが出して! 」というようなクレームがあった場合、どう対応すべきでしょうか。

そもそも、賃貸借契約の内容としてペットの飼育を可能とするかどうかは貸主の自由です。しかし、ペットの飼育を可能とする前提で賃貸借契約を締結した以上は、貸主も借主もこれに拘束されます。

貸主は、Aさんとの間でペット飼育OKという前提で賃貸借契約を締結しているのですから、後から一方的にペットの飼育を禁止することはできません。

また、Bさんについても、ペット飼育OKの物件であることを了承して賃貸借契約を締結したのですから、一方的にペットの飼育を禁止するよう求めることはできません。

したがって、貸主としては、Bさんからペット飼育を禁止するよう要求されても、これを禁止する義務はありません。しかし、だからといって、貸主は何もせずに放置しておいてよいということにはなりません。

なぜなら、貸主は借主に対し、物件を適切な状態で使用・収益させる義務を負っており、物件内にペットの汚物が放置されないよう適切な措置をとる義務を負っているといえるからです。

貸主が、物件内におけるペットの汚物放置問題について入居者から改善を求められていたにもかかわらず、何も対策をとっていなかった場合には、上記の義務に違反するとして、入居者に対し、損害賠償義務を負う可能性があります。

Bさんから改善を求められていたにもかかわらず、何も対策せずに放置しており、Bさんが汚物に耐え切れず引越しをせざるを得なくなったとすれば、引越し代や慰謝料を支払わなければならないということにもなりかねません。

そうならないようにするためにも、大家さんとしては、ペットによる騒音や汚物の放置が問題となった場合には、すぐに事実関係を調査することが大切です。

その上で、張り紙をするなどして入居者全体に対して注意を促したり、問題の原因となっているペットを飼育している入居者を特定できる場合には個別に注意をするなどの措置をとる必要があります。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 泉義孝(いずみよしたか)さん

泉義孝さん

弁護士・不動産投資家
「泉総合法律事務所」代表
「不動産トラブル何でも法律相談所」所長

■ 経歴

京都大学法学部卒業。
社会人生活を経て司法試験に合格し、2000年に弁護士登録。

都内にて勤務弁護士を2年間務めたのち、共同事務所を設立して独立。
その後、個人事務所を開設し、弁護士法人泉総合法律事務所を設立する。

知的財産権、渉外関係を除く民事全般、刑事事件全般に取り組んでおり、不動産関連の案件の実績も豊富。

信条は「多角的視点に立って、最後まで粘り強く戦い抜くこと」。
趣味は海外旅行で、特に好きなのはイタリア。

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