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設備が故障! 修理費は誰が負担する?

泉義孝さん_画像 第9話

今年の繁忙期の動きはいかがでしょうか? 退去のあった部屋で給湯器やガスコンロ、エアコン等の設備が壊れていたようなとき、大家と入居者、どちらが負担するかでトラブルになることは珍しくありません。

最近の物件は以前と比べて賃貸物件でも設備が充実した部屋が多くなっていますから、その分、設備の故障等の問題も起きやすくなっています。

今回は、これら賃貸物件の設備が故障や毀損した場合、修理費は誰が負担することになるのかについて、そのルールをお話ししたいと思います。

1)まずは契約書を確認

借主から「 貸室内の設備が故障したので修理してほしい 」とか「 修理したので修理費を払ってほしい 」といった連絡があった場合、まずは契約書及び重要事項説明書を確認しましょう。

室内に設置されている設備が壊れた場合に、貸主と借主のどちらが費用を負担するかについては、契約書等に明示されているのが通常だからです。

給湯器やエアコン等の生活に必要な設備はそれがあることを前提として家賃が発生していますから、それが故障した場合は「 貸主が修理費を負担する 」という内容になっていることが多いと思います。

契約書等で特に規定していなかった場合は、民法の原則から判断することになります。そして、民法は、「 賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う 」( 民法606条1項 )と規定しています。

ですので、貸室内の設備の修理に関して契約書で特に規定していなかった場合は、貸主が貸室及びその設備についての修繕義務を負い、修理費を負担することになるのが原則です。

なお、「 必要な修繕 」とは、借主が通常の使用に支障をきたさないための修繕をいいます。

2)借主の故意・過失で設備が故障・毀損した場合は?

では、賃貸物件の設備が故障・毀損した場合は、常に貸主が修繕義務を負わなければならないのかというと、そんなことはありません。

たとえば、家賃が著しく低廉であるのに対して、修繕に多額の費用がかかる場合等は、例外的に貸主の修繕義務が免除されることがあります。

また、多くの契約書では、借主の故意・過失により設備が故障・毀損した場合や、通常の使用方法に反する使用により設備が故障・毀損した場合等は、修理費は借主が負担するという規定になっていると思います。

ですから、「 借主が普通にエアコンを使用していたのに壊れてしまった 」という場合は貸主が修理費を負担することになりますが、「 借主の子どもエアコンにボールをぶつけてエアコンが壊れた 」というような場合、借主が修理費を負担することになります。

さらに、設備が故障したことに借主の故意・過失がなくても、借主が設備の故障を放置していて悪化させたような場合や二次被害を生じさせたような場合は、修理費等が借主負担になるケースもあります。

たとえば、エアコンの調子が悪くて水漏れしていることを借主が知りつつこれを放置して、壁や床が腐食してしまった場合、壁紙やフローリングを補修・交換する費用を借主に負担してもらうことが可能でしょう。

3)小規模な修繕の特約

貸室内の「 設備 」の修繕は原則として貸主の義務ですが、賃貸借契約締結の際に借主との間の合意により、小規模修繕を借主が自らの費用負担でできるとする特約を定めることが可能です。

たとえば、電球や蛍光灯、給水栓の取替え、障子紙の張替え等の小規模修繕は費用も少なく、貸室に傷をつけるわけでもありませんから、いちいち貸主の承諾を得なくても借主で行うことができるとする方が簡便です。

なお、このような特約は借主にとって都合がよいように、本来貸主に課されている修繕義務を免除する一方で、貸主の承諾を得なくても修繕できるように、借主に自己の費用負担で修繕を行う「 権利 」を与えたものであると解釈されています。

ですから、修繕を行うかどうかは借主の自由であって、借主は修繕義務を負うわけではありません。

4)貸室内の「 設備 」ではない場合

これまでお話ししてきたのは、給湯器やエアコン等が貸室内の「 設備 」となっている場合についてです。

貸室内にもともとエアコンは設置しておらず、入居後に借主が自分でエアコンを設置したような場合は、そのエアコンは貸室内の「 設備 」ではありません。

ですから、そのエアコンが故障した場合は当然、貸主に修繕義務はなく、借主が修理費を負担しなければなりません。

また、入居の時点で貸室内にエアコンが設置してあるのに、契約書をみるとエアコンが貸室内の「 設備 」になっていないということがあります。この場合、エアコンは以前の借主の残置物であることがほとんどです。

残置物とは、以前の入居者が退去する際に貸主の許可を得て置いて行った物です。新しく入居した借主は、残置物を利用したい場合は利用することができます。

しかし、残置物は貸室内の「 設備 」ではありませんので、故障した場合に貸主に修繕義務はなく、修理費は借主負担となります。

なお、貸室内の「 設備 」なのか、単なる残置物なのかは、部屋を見ただけでは借主にはわからないことが多いので、後のトラブル防止のためにも、契約の際には賃貸借契約書で「 設備 」とそうでない「 残置物 」を明示しておくのがよいでしょう。

これまでそのようなことはしてこなかったという場合は、この繁忙期に入れ替わりのあった部屋から、しっかりと賃貸借契約書を結ぶことをおすすめします。トラブルは起きてからより、起きる前の対策が肝心です。

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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 泉義孝(いずみよしたか)さん

泉義孝さん

弁護士・不動産投資家
「泉総合法律事務所」代表
「不動産トラブル何でも法律相談所」所長

■ 経歴

京都大学法学部卒業。
社会人生活を経て司法試験に合格し、2000年に弁護士登録。

都内にて勤務弁護士を2年間務めたのち、共同事務所を設立して独立。
その後、個人事務所を開設し、弁護士法人泉総合法律事務所を設立する。

知的財産権、渉外関係を除く民事全般、刑事事件全般に取り組んでおり、不動産関連の案件の実績も豊富。

信条は「多角的視点に立って、最後まで粘り強く戦い抜くこと」。
趣味は海外旅行で、特に好きなのはイタリア。

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