売却も複数回、経験済みです。ちなみにあの時の375万円戸建ては、6万円でずっと同じ入居者さんが住んでくれています。ありがたいです。
そんな私がなぜ、久々にコラム( 全2回 )を書くことになったかというと、去年買った札幌市南区の100万円の戸建てのビフォー・アフターと、そのリフォーム代について、皆さんにシェアしたいと思ったからです。
少額で不動産投資を始められるボロ戸建投資には夢があります。でも、安い物件には安いなりの理由がある! 買えた時はワクワクするけれど、リフォームをして家賃収入を得られるまで仕上げるのはなかなか大変です…。
大家以外の本業アリ、家事と育児は基本ワンオペ、DIYは苦手でペーパードライバー、おまけにいたってノーマルマインドの持ち主の私が、100万円のボロ戸建を買い、お家賃をいただくまでのストーリー。どなたかの参考になれば幸いです。
■ 2年空き家の築古戸建、いくらなら買いなのか?
まずは物件との出会いから。きっかけは以前、戸建てを購入したことのある大手不動産会社の営業マンからの「 安くなりそうな家があるんですが、興味ありますか? 」という電話でした。
翌日、見に行くと、売り物件は札幌市南区の地下鉄駅から歩いて十分ちょっとの住宅地に建っていました。旗竿地の奥で駐車場が狭いのが残念ですが、思っていたよりボロくありません。

意外ときれいだった外観(写真は草刈りや掃除がすんだ後)

1階の一番広い部屋(残置物は少しあった)
2年前から空き家。相続した娘さんは東京在住で使う予定はなく、ネットに上げても問い合わせはあるものの、一向に買い付けが入らないという話でした。( ネットに出していた時はそんなに安い価格ではなかったのかも )
間取りは7DK。2階は下宿だったらしく、4つの個室のそれぞれに電気メーターと小さな流しがついていました。この流しを撤去するだけでも手間がかかりそう。こんな特殊な間取りも、売れなかった要因と思われます。
建物の状態はというと、築年数なり、といった雰囲気。小さな雨漏り跡があったものの傾きはなく、トイレとお風呂も一度リフォームされているようでした。この時点で、「 安ければ買おう 」と思いました。
私はこれまで、「 実質利回り15%以上、数年後も買い値以上で売れる可能性が高く、家賃6万円以上が見込めるファミリー物件 」という基準で物件を買ってきました。今回はいくらなら買いなのか?
プラス材料は地下鉄駅まで徒歩圏内であることと、家賃6万円は固そうな点。そして、固定資産税評価額が約700万円あることです。マイナス材料は旗竿地で大型車の駐車が難しく、近隣にも借りられる駐車場がなさそうなところでした。
また、2年空き家で120平米を超える物件ですから、リフォームには結構なコストが見込まれます。私はDIYはしない大家です。過去の経験から、工事を頼めば「 安くても250万円はかかるだろう 」と思いました。
業者さんからは最初、物件価格として「 200万円 」を提示されました。この時点ですでに安い。でも、今回は札幌の中心部から遠い場所で、かつ旗竿地ということで、利回り20%は確保したい…。
考えた結果、図々しいとは思いながらも、「 買った後で細かいことは言わないので100万円で 」と伝えると、翌日に「 OK 」の返事が届きました。安く買えて嬉しい反面、「 直すのが大変そう 」という不安も感じました。
決済当日、売主さんが「 やったー! これで肩の荷が下りた〜 」と嬉しそうに万歳をしたのを覚えています。不動産投資家にとっては、家賃という金の卵を産むニワトリでも、売主さんにとっては悩みの種だったのですね。
■ リフォーム代388万円を220万円まで下げるには?
その頃、別の物件で忙しくしていたため、この家の工事は3ヵ月後くらいに始めることに。ある時、先輩大家の石井豊さんにこの家のことを話すと、見に来てくれることになりました。仲良しの若手大家さん数名も一緒です。
「 よくこんなボロい家を買いましたね 」という人もいれば、「 200万円でも安い 」という人もいました。「 借りる人がいるの? 」という人もいれば、「 7.5万円で貸せる 」という意見もありました。
実はこの前に、「 リフォーム代もかかりそうだし、このままで3万円くらいで借りてくれる人はいないかな〜 」と思い、何人かに声をかけてみたのですが、「 借りたい 」という人は現れませんでした。
若手大家さんの間ではちょくちょく耳にする大家間転貸ですが、大人になると、「 2万円や3万円のために、知り合いとお金のやりとりをするのは気まずい 」「 何かあって関係が壊れるのも嫌だし… 」等、色々なことを心配してしまいます( 汗 )
倉庫として貸すことも考えましたが、旗竿地で大きな車が入りにくいことや、倉庫の出入りで近隣に迷惑をかける可能性を懸念し、結局、「 リフォームをして普通に貸家にする 」という結論に辿り着きました。保守的です( 汗 )
大家歴30年を超える石井さんは、この古家を見るとすぐ、「 リビングを広くしたら明るくていい家になると思うな〜 」と図面まで引いてくださいました。

間取りビフォー

間取りアフター
私は大家業の目標に、「 元気な子供が育つ家 」というものを掲げています。ファミリーに広いリビングで快適に暮らしていただくために、石井さんの案のとおり、間取り変更を含めた工事を行うことにしました。
他にも、直したいところをすべて直す前提で見積もりを出してもらうと、リフォーム業者さんから届いた金額は、「 388万円 」。まあ、このくらいかかりますわな、、、というのが最初の感想でした。
※ 余談ですがリフォームにかかる費用についてはこの本で学びました。

普段から大家さん向けの仕事が多い業者さんで、壁紙貼りは平米当たり700円です。贅沢な素材も使わず、最低限の安全性と清潔感が出ればいいというスタンスでお願いしたのですが、それでもやはり、このくらいはかかります。予算オーバーです…。
考えた結果、一階は間取り変更、キッチン交換、床・壁・天井・襖の張り替えを行い、キレイに仕上げる。一方で2階は、備え付けの流しを撤去して、古い畳の上にカーペットを敷く程度にして、コストを抑えることにしました。
2階の和式トイレは大工工事で塞ごうと思いましたが、それも中止。ストーブや照明は中古の物を探すことにしました。お風呂も交換ではなく、クリーニングで済まします。
その他にも、灯油タンクの移動や雨漏りのあった部分の屋根のペンキ塗り、割れたガラスの掃除など、「 プロじゃなくてもできるけれど、人手が必要で頼むとお金がかかる 」部分はこちらでやることにして、最終的には220万円にまでさがりました。
■ 先輩大家さんの力を借りて、久々の労働力投入!
でも、私はDIYの経験がほぼありません。どうしたものかと考えていたところ、「 私、汚れていた家がキレイになるのを見るのが大好きなんです。一緒にやりましょう 」と石井豊さんが手伝いを申し出てくれました。ありがたくて涙がちょちょぎれそうでした。

リフォームのプラン作りだけでなく、作業まで手伝ってくれた石井豊さん
普段は何でも電話で済ませる省エネ大家の私にとって、久々の労働力投入は楽しいものでした。また、今回、石井さんと一緒に現場に通う中で、若い壁紙職人さんや、70代の大工さんなどが働いている様子を見ることができたのは、とても良かったです。
「 こんな風にひとつひとつ手でやってくれているのか。大変な仕事だな。たくさんの方のおかげで、自分は大家業をさせてもらえているんだなあ 」。それを頭ではなく、心で感じることができたからです。
そうして、100万円で買ったボロ戸建は、石井さんや業者さんたちの手によって、どんどんキレイになっていったのです( 私は右往左往するばかりでほとんど役に立たず・汗 )。次回はリフォームできれいになった100万円戸建てと、入居付けまでを紹介します。