■ 失敗らだけの投資人生。でも諦めなくてよかった
早いもので、私の不動産経営歴も30年になりました。都内のワンルーム投資からはじめ、地方の新築一棟、地方の中古一棟等、規模を拡大してきましたが、その間には、本当にたくさんのピンチがありました。
当時は不動産投資の本もなく、今のようにネットでノウハウを得ることもできなかったため、今ではありえないような失敗もしました。そして、必死でリカバリー策を考えるという綱渡りの日々でした。
キャッシュフローどころか金策に追われ、何のために不動産投資を始めたのかと悩んだこともありましたが、心を折らず、キャッシュフローの出る物件を買い増しながら、賃貸経営を続けてきました。
そして気付けば、所有物件は100戸になり、当初の目的である「 会社に頼らずに自立できる 」レベルに近づけました。返済が終わった物件も増えて、老後の心配はかなり軽減できています。
今日は、そんな私が数々のリスク・トラブル・失敗に遭遇する中で、それらへの対応策として辿りついた「 リスクマネジメント 」を10個にまとめて紹介します。
■ リスクマネジメント10カ条
@不動産関連会社( 設計・施工・販売・仲介、建物・賃貸管理、金融機関、保険会社等 )との取引リスクに備えて、選定に注意する
関連会社の倒産や夜逃げは、大家の心労や負担を一気に増やします。私の経験上、頻繁な転売、リゾート・海外物件、絵画、小口分譲等に手を出している不動産会社は、景気が変わった途端に倒産リスクが高くなりますので、注意しましょう。
Aキャッシュフローには余裕をもたせておく
家賃でローン支払い( と毎月の固定費 )がまかなえるようにしておけば、いざ物件価格が値下がりしても、売却せずに、持ちこたえることができます。
修理、家賃滞納、空室時の敷金返還・リフォーム費用・空室時の家賃なし・フリーレント・家賃値下がり・広告費、金利上昇等を考慮しても、余裕のある資金繰りとしておくことです。
当たり前だと思う方もいるでしょうが、中古の物件で短期間しか融資がつかない場合や、都内の区分マンション等では、普通にあり得る話です。持ち出しが続くのは精神的にもつらいものです。
B自然災害のリスクを考慮したエリア・物件を選ぶ
自然災害リスクの高いエリアは、金融機関の融資受けも困難となります。また、自分のときは借りられても、次の人に融資がつかなくなる可能性もあります。エリア別のリスク分散も効果的です。
ちなみに私自身は、活断層の上、埋立地、木造家屋密集地、海岸のそば・低地、タワー型マンション、原子力発電所のそば、飲食店の入った建物については、投資対象外としています。
C死亡リスクに備えて、団体信用生命保険へ加入するとともに後継者へ伝授する
万一の死亡・高度障害のリスクに備え、団体信用生命保険に入り、相続予定人( 配偶者・子等 )に、情報共有をしておくことが大切です。
本人は家族のためと思って収益物件を買っていても、事情を知らない家族がいきなり物件を相続することになれば、負担になる可能性も多いにあります。
Dリスクに備えて損害保険へ加入する( 動産総合保険、火災・地震保険、滞納保険、修繕費共済制度、第三者損害賠償責任保険、事故保険等 )
様々なリスクに備えて、各種損害保険がありますので、有効に活用しましょう。また、保険は共用部分は管理組合、専有部分は所有者・入居者というように、区分けがされていますので、保険に入る際には注意が必要です。
E入居者が問題を起こすリスクに備えて、選定に注意する
悪質な入居者が住んでいる場合、家賃滞納、設備損壊、近隣住民トラブル、夜逃げ、自殺等、トラブルが発生しやすくなります。レントロールを調べたり、売り側の不動産会社に確認するなど、リスクヘッジに努めましょう。
F賃貸借契約更新は確実に行う( 入居者・連帯保証人・信用状態の再確認、管理費・修繕積立金 )
家賃の入金があるからといって安心していると、いつのまにか、入居者・連帯保証人の属性( 勤務先・年収等 )が悪くなっていたり、違う人が住んでいたりする可能性があります。( 私の場合、いつの間にか知らない人が住んでおり、部屋で自殺しました )。
これは、所有者ではなく、賃借人( 入居者 )が、管理組合・建物管理会社に直接支払っている管理費・修繕積立金等がある場合には、認識しやすくなります。
G緊急・重要トラブルに対しては、できるだけ迅速に対応する( 鍵、給湯器・バス・トイレ・エアコン等 )
緊急・重要でないトラブルについては、相見積もりを取ったり、慎重に検討しても良いですが、緊急・重要トラブルに対しては迅速に対応しないと、入居者の方が困り、退去・事故・事件等の原因ともなりかねません。
H入居者募集にはあらゆる対策を講じる
空室は部屋や水回りが傷みやすくなります。それだけでなく、家賃が入らず、経費( 建物管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税等 )のみが発生し、赤字となります。
入居者募集に強い管理会社にお願いするなど、入居率の向上にはとことんこだわるべきです。私は最長で1年2ヵ月の空室を経験しましたが、2度とあんな思いはしたくありません。
I不動産、法律、会計・税制等についてはできるだけ勉強する
自分自身で、不動産、法律、会計・税制等ある程度のノウハウを身につけ、不動産関連会社( 設計・施工・販売・仲介、建物・賃貸管理、金融機関、保険会社等 )とも対等あるいはそれ以上のレベルで交渉できるようにしておくことです。
金融機関によっては、融資受けの際、オーナーの知識が評価対象となる場合があります。中には、悪徳金融機関・悪徳不動産会社も跋扈しています。自分で自分の身を守るつもりで、知識を身につけましょう。
不動産会社やコンサルタントなど、人任せにすることが失敗の始まりです。自分自身で勉強し、知識を身につけることが、一番のリスクヘッジです。
このコラムでも紹介してきたとおり、私はこれまでに数え切れないほどの失敗を経験しました。不動産投資を始めるときにこれらのことを知っていたら、防げたものも数多くあると思います。
私の過去30年間の( 失敗だらけでも、やってよかった )不動産経営の経験が、皆さまのお役に立てば、嬉しく思います。
【 まとめ 】
他人の失敗を他人事とせず、自分の今後のために生かすべし! 様々なリスク・トラブル・失敗に備えて、リスクマネジメントを意識しておきましょう。