「 水漏れ 」という言葉を聞いて、嬉しい大家はいないと思います。被害者になるのも困りますが、加害者になるとさらに大変です。
ところが私の所有する物件では、この「 水漏れ 」がらみのトラブルが多いのです。特に札幌に複数ある区分所有マンションは、どれも築年数が古いために水漏れが多発します。
これまで被害者になったのが2回、加害者になったのが2回。先日は、なんと被害者・加害者の両方になった事例まで発生しました。
念のためお伝えしておくと、「 水漏れ 」によって建物に被害が生じた場合の保険は通常、火災保険でカバーされます。
区分所有マンションの場合、共用部分の保険は管理組合が加入し、専用部分については所有者が加入することになります。
さらに、入居者も損害賠償責任保険に加入するのが通常です。水漏れ事故の発生場所( 共用部分・専用部分 )、事故の内容、加害者の過失の有無等によって、適用範囲が分かれます。
自分が被害者になった場合は、加害者( 占有者・所有者 )の火災保険が適用され、修理代を支払ってもらえます。
逆に加害者となった場合は、入居者の過失による場合は入居者が、そうでない場合は所有者が保険で弁償することになります。
■ 上階からの水漏れで所有物件が被害に
さて、私が被害者となったトラブルのうち1件は、管理組合・建物管理会社からいきなり「 示談書 」の書類がきました。
内容を見ると、私の所有する部屋の上階から、水漏れがあり、部屋に被害が生じたということです。
管理組合・建物管理会社にて対応し、上階の所有者の火災保険で対応済なので「 示談書 」に署名捺印して返送して欲しいとのことでした。
本来なら、自分の目で現場を確かめたいところですが、私は東京在住、物件は札幌ですから、すぐに飛んでいくわけにはいきません。
しかし、確認せずに捺印するのもどうかと思い、念のため、賃貸管理会社に相談して現場を見てきてもらうことにしました。
すると、天井部分のシミがそのままだったのです!
これでは示談書にサインするわけにはいきません。
すぐに、賃貸管理会社経由で管理組合・建物管理会社に連絡を取り、そのシミ部分も元に戻してもらいました。
■ 下階の入居者からの苦情電話
加害者になった事例もあります。ある日、突然、知らない人から自宅に電話が入りました。
「 お宅所有の部屋からの水漏れで、階下の自分の部屋が水びたしや。どないしてくれんのや!
出るとこ出てもええんやど、まあ、わしも事を荒げたくはないわい。
幸い、ワシは仕事でリフォームもやっとる。
自分で直したるから、3万円送ってくれや! 」
驚きました。振込詐欺かと思いました。ところが、賃貸管理会社に確認したところ、どうも事実のようです。
電話がかかってきたのは、賃貸管理会社のスタッフが、自分の手に負えなかったため、大家である私の電話番号を先方に伝えてしまったからとわかりました。
何のための賃貸管理業務委託かわかりません・・・
このときは結局、費用対効果を考えて、要求どおりの金額を支払って終わりにしました。
■ 床下からの水漏れの責任の所在は?
簡単に終わらなかった例もあります。そのときは、札幌に所有する部屋の「 床下 」から水漏れし、階下が水びたしになりました。
真下は美容院でした。聞くと、「設備が全滅」とのこと! しかし、水漏れの原因は部屋の「 床下 」にあるのですから、私からしたら管轄外です。入居者の過失もありません。
それでも、管理組合・建物管理会社は「 床下は共用部分ではない。専用部分だから 」と知らぬ存ぜぬを通そうとします。
それで、水漏れした床下のすぐ上の部屋の所有者である私に被害額を払ってくれときました。
なんと、総額200万円!!
札幌の区分所有マンション1室丸ごと買える値段です。
もちろん、はいそうですか、とはいきません。賃貸管理会社にお願いして、管理組合・建物管理会社、下階の所有者と再度交渉してもらいました。その結果、下階部分については、管理組合・建物管理会社で対応してもらうことになりました。
私の所有する部屋にも少し被害が出たのですが、こちらは私が対応しました。
このとき、火災保険は役に立ちませんでした。
下階の美容院の被害分だけでなく、なぜか自分の部屋の修繕にかかった費用も対応不能とのことでした。
私としては合点がいきませんでしたが、結局、保険金は支払われませんでした。
【 まとめ 】火災保険は被害者になったときだけでなく、加害者になったときのことも想定して内容を確認しておくことが重要です。