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10年間で土地から新築を25棟。「歪み」を資産に変えてきた私の5年後の戦略

平原圭さん_画像 平原圭さん 第17話 著者のプロフィールを見る

2022/3/24 掲載

久しぶりのコラムです。私が最後にコラムを書かせていただいたのが、シンガポールに家族で移住した直後の2018年11月でした。

今回は健美家さんからのリクエストもあり、読み切りという形で皆様に自身の土地から建てた新築アパートの現状や、今後の私のビジョンなどについて書いていきたいと思います。

■ 時代や自己の状況に応じて常に歪みに注目して投資する

私が不動産投資を始めたきっかけは、自宅の購入でした。ライフスタイルの変化を想定し、単に住むだけではなく、将来貸したり、売ったりできる物件を購入したいと思ったのです。

その当時に発売されていた不動産関連の本を30冊程度購入して一気に読破しました。その時、「 不動産自体が優れた投資商品だな 」と感じたのです。

当時は地方の土地が広いファミリータイプの中古RCに、積算評価でバンバン融資が出ていました。大手地銀などから100%近い融資を獲得して規模を拡大していく、いわゆる「 高速投資法 」が不動産投資の王道でした。

ただ、それ故に物件は枯渇、どんどん流通する物件の利回りが下がっており、5年保有を前提としたプロジェクトとして考えた場合、本当に高速投資を選択すべきか大いに悩んだのを今でも覚えています。

そんなときにオルタナティブとして検討したのが都内( 横浜・大宮・市川などの首都圏主要都市を含む )の新築投資でした。

当時は新築区分マンション同様、新築投資をする人は情弱な人で騙されているという風潮がありました。都内で利回り6~8%の新築を買うなら、利回り10%の築20年の地方中古RCを買うべきだというわけです。

ただ、しっかりとシミュレーションをしてみると、新築も決して引けをとらない投資スタイルであると感じました。ここに私は「 歪み 」を感じ、それから愚直に新築を建てまくってきたわけです

( この時の歪みとは、「 RCを買う『 高速投資 』が絶対だという風潮 」と「 新築投資は儲からない 」という思い込み )。

2022年現在、「 都内新築RC 」に対しての風潮が、当時と似ていると感じます。同時に、株式の世界でいう“靴磨きの少年”の話ではないですが、現在の新築投資を取り巻く環境は、思っている以上にリスクを内在していると認識することも重要ではないかと考えています。

( 特に想定家賃、開発( 施工会社 )リスクに関しては、ここ1~2年でリスクが表面化すると予想しています )。

■ 5年先を見据えた現在の私の戦略

勤務先の外資系企業を辞め、シンガポールに移住し、法人を設立してから3年半が経過しました。現在の私がどのようなポートフォリオで、どのような戦略で進めているかを書きたいと思います。

<構造別> *()内は2022年時点で保有している棟数
木造 8棟(1棟)
鉄骨 3棟(0棟)
RC  14棟(9棟*建築中3棟含む)
合計 25棟(10棟)

<地域別>
都内  21棟(10棟)
首都圏 4棟(0棟)
合計25棟(10棟)

新築投資に関する「 節目 」を感じていたため、2021年からは木造を中心に7棟売却、その代わりとして7つの新規RCプロジェクトを進めています。この土地は現金で買う形です( 私はこれを地主スキームと呼んでいます )。

日本の不動産業界はとても成熟したマーケットです。また、そこに携わっている多くの会社があします。そういった会社の多くは、固定費を賄うために高掴みとわかっていても土地を購入して建築、もしくは中古で仕入れをし、キャッシュという血を循環させていきます。

こうして不動産業界のバブルは定期的に発生・破裂し、10年ぐらいのスパンでそれを繰り返しています。

リスクが高まっている新築投資で、私が昨年から7つもプロジェクトを進めたのは、そもそも「 不動産投資は時間が味方してくれる 」という前提に加え、次のようなリスクヘッジを行える体制があるからです。

①都内のみ( 供給が限られる )
②RCのみ( 10年持っても法定対応年数が37年と中期で保有できる )
③地主スキーム( レバレッジを減らし、かつ、銀行から有利な条件を引き出す )

また、今年竣工した4棟に関しても、1年以内の売却でリスクを減らす予定です( 今までに売却した15棟の平均保有期間が3.3年と、3~5年保有を前提としている私のプロジェクトの中では、1年未満の売却はかなり異例となることがわかってもらえると思います )。

■ 注目している歪みその①…FIREの風潮

次に、既に言及した新築投資以外に現在私が注目している歪みについて書きたいと思います。

1つ目はFIREを人生の目標とする世間の風潮です。私自身、2018年にサラリーマンは辞めているため、FIRE組と呼ばれることもあります。

しかし、本来のFIREとは、「 年間支出の25倍の資産 」を若いうちに形成し、「4%ルール」を前提として主にペーパーアセットに投資をし、資産を減らさず年間の支出を賄って暮らしていくというものであり、私自身の状況とは全く異なる概念だと思っています。

具体的には次のような感じです。

①大学卒業してから40歳までの18年間、年平均300万ずつ貯める( 貯蓄合計 5,400万 )
②40歳で会社を辞め、その5,400万を年利4%で運用。20%の税金を支払った残りの200万弱で生活していく

40歳までに5千万もの貯蓄をすることも素晴らしいと思いますし、貯めたお金に働いてもらうという不労所得を得るというアプローチも否定するつもりはありません。

ただ、将来有望な若い方がFIREの話をされるとき、新築投資で言及したように「 内在しているリスク 」にもっと注目してほしいと思うことがあります。

FIREに内在するリスク
①若い時期に過度な貯金をすることにより、自己投資が疎かになる
②虎の子の元手がマーケットの変動で大きく棄損する可能性がある
③元手が棄損した際、サラリーマンを辞めているため回復させる手立てがほぼない
④そもそも今の日本で安定的に4%のリターンを受けられる投資先がない

是非20代、30代の方にはFIREを目標にするのではなく、「 いつのまにかFIREのような状態になっていた 」、となるような人生を目指してほしいと思います。

■ 注目している歪みその②…モノの価値の二極化

歪みと感じる2つ目は、モノの価格の二極化です。世界がコロナを経験してはっきりしたことは、多くの分野で二極化が加速した点だと思っています。

私が大好きで毎年確認しているクレディ・スイスの調査報告書「 Global Wealth Report 」によれば、コロナ禍においても、多くの先進国では百万米ドル( 日本円でおよそ1.15億円 )を金融資産として保有する資産家は増加しています( 表1 )。

また、その傾向は更に加速されることが予想され、2025年には全世界で2020年対比で+50%、そういった資産家が増えることになっています( 表2 )( 日本においては19年⇒20年で+12%、20年⇒25年で+48% )。

表1(クリックで拡大)



表2

ここで私が歪みと思っていることを一言でいうと、“そもそも単純に資産家が増えているだけでないのでは?ということです。

「 極端な金融緩和で、相対的なお金の価値が大きく下落しているともとらえるべきではないのか 」
「 資産家が好む商品( 都心のマンション、ハイブランド、腕時計など )は今までの価格の概念を忘れないといけないぐらい今後も価格が上昇し、高止まりするのではないか 」

と私は考えているのです。

その影響は2021年でも顕著で、東京23区の新築マンション価格は「 平均1億円超え 」となり、ハイブランドでは、例えばシャネルのMedium Classic Flapが1年で6,800ドルから8,800ドルと30%を超える値上げを実施、ルイ・ヴィトンでも1年で50%を超える値上げをした商品も出てきています。

また、クレジット業界でも富裕層をターゲットにした動きは顕著で、不動産投資家愛用のSPGアメックスカードも、2022年2月にマリオットボンヴォイアメックスカードとリニューアルし、今まで34,100円の年会費だったところ、アッパー層向けには特典を充実させながら、49,500円と年会費を約50%値上げしています。

ダイナースもアメックスセンチュリオンを意識し、ホームページには載せない非公式な形で初年度のみ入会手数料55万円、年会費55万円のダイナースクラブロイヤルプレミアムカードを発行しました。

そんな中、私自身は2020年から趣味と実益を兼ねて腕時計投資を実施しており、雲上ブランド中心に、総額で1億円以上買い進めています( また、空中族としては、晴海の選手村跡地のマンションも複数戸契約しています )。


時計コレクションの一部。中には日本限定222本のレアアイテムも

一方で、中間層をターゲットにしていたビジネスは、大幅な売り上げ減少は免れず、大きな決断を求められる機会が増えてきそうです。

少し前に不動産業界で話題となった、上場企業のアパレルメーカー、キムラタンの店舗縮小( 220店舗のうち、210店舗の閉鎖 )、および、全国に多くの収益不動産を所有する和泉商事のM&Aは、今後の戦略を考えるうえでとても参考になる事例だと思います。

是非、皆さんもこうした歪みに注目してみてください。そして、一度きりの人生、楽しんで過ごして行きましょう!

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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

■ 平原圭(ひらはらけい)さん

平原圭さん

不動産投資家
外資系企業会社員
都内で妻と息子と3人暮らし
ブログ:CPA大家平原圭のレバレッジ不動産投資

■ 経歴

□197×年
東京で生まれる

□2001年
外資系IT会社入社

□2011年
米国公認会計士を取得

□2013年
外資企業へ転職

□2018年1月
勤務先を円満退職

■ 不動産に関する経歴

□2004年
都内にファミリータイプの新築分譲マンション(A)を購入(⇔07年に売却、売却益2,000万円超)

□2012年
千葉県松戸に1Kx8戸の新築木造アパート①を購入(6,700万円、利回り9.0%⇒14年に売却、売却益1,000万円超)

埼玉県大宮市に3LDKx12戸の中古RCマンション②を購入(1億8,000万円、利回り10.2%⇒14年に売却。売却益2,300万円超)

□2013年
千葉県船橋市に1Kx11戸の新築鉄骨アパート③を購入(1億1,000万円、利回り9.2%⇒16年に売却。売却益5,500万円超)

東京都港区麻布十番に新築分譲マンション(B)を購入 (5,500万⇒15年に売却、売却益1,500万円超)

□2014年
東京都葛飾区に1Kx14戸の新築木造アパート④を購入(1億3,700万円、利回り9.3%)

千葉県市川市に1Kx10戸の新築木造デザイナーズアパート⑤を購入(1億円、利回り8.4%⇒17年に売却。売却益1,500万円超)

千葉県市川市に1Kx15戸の新築鉄骨アパート⑥を購入(1億5,800万円、利回り8.3%⇒16年に売却。売却益5,500万円超)

□2016年
東京都港区田町に新築分譲マンション(C)を購入 (7,000万)

東京都世田谷区で土地値中古木造アパート⑦2棟一括購入(8,200万円に対し、路線価1億超⇒16年に1棟売却し。売却益2,000万円超)

東京都大田区蒲田で新築木造アパート⑧を建設(1億3,000万円、利回り8.5%)

東京都大田区池上で新築RCマンション⑨を建設(1億9,000万円、利回り7.1%)

ikegami

東京都立川市で新築RCマンション⑩を建設(1億4,000万円、利回り7.5%)

takikawa

東京都荒川区で新築木造アパート⑪を建設(9,600万円、利回り9.3%)

東京葛飾区で新築鉄骨アパート⑫を建設(1億1千万円、利回り9.3%)

sinkoiwa

□2017年
東京都葛飾区で新築木造アパート⑬を建設(8,000万円、利回り9.0%)

東京都墨田区で新築RCマンション⑭を建設中(3億円、利回り6.8%)

東京都足立区で新築木造アパート⑮を建設中(1億円、利回り8.9%)

東京都大田区で新築RCマンション⑯を建設中(1億8,000万円、利回り7.2%)

総投資額20億超
家賃収入約1億円、年間CF2,500万
売却益約2億円

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