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私はこうして犯罪の片棒を担いだ。「二重売買契約」で物件を購入した経緯。

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2019/5/4 掲載

はじめまして。名乗るほどのものでもない、しがないサラリーマン大家です。不動産投資で金持ち父さんを目指しましたが、業者の方々にいいようにやられてしまい、なかなかうまくいきません。不動産投資って難しいなとため息をつく日々を過ごしています。

今回、縁あって「 失敗談 」を書くことになりました。「 知らないうちに二重売買契約を締結させられていた話 」「 新・中間省略の取引でお金を持ち逃げされた話 」という失敗談です。今回は最初の失敗談を紹介します。



■ 1棟目購入と二重売買契約

数年前、本で読んだ金持ち父さんに憧れた私は、一日も早く不労所得を得たいという気持ちにとりつかれていました。けっこうな数の本を読み、週末にはセミナーにも参加しました。

「 一棟物を買おう!有名大家さんたちのように、給料を上回るキャッシュフローを得るぞ!」と胸に誓った私は、サラリーマンの仕事を終えて帰宅すると、毎日、物件を検索していました。

いわゆる「 ほしいほしい病 」だったと思います。そんな中、以前、ネット経由で問い合わせを入れた業者さんから、高利回りの地方物件の紹介を受けました。

売主はその業者さんでした。場所が地方であることに少し躊躇しましたが、「 融資はオーバーローンでいけます 」という言葉に気持ちは舞い上がりました。

マイホームに貯金をつぎ込んでいたため、手元資金がほとんどなかったのです。手出しナシで収益物件が手に入るなんて、ラッキー! 物件が欲しくて仕方がなかった私は、すぐに購入を決意しました。

業者さんから、「 融資の審査を進めるために、これとこれが必要です 」という連絡が届きました。その中に、「 ネット銀行の残高がわかるスクリーンショット 」という文字がありました。

「 残高はあまりないですよ 」と伝えると、「 大丈夫です、画面のショットだけあれば 」という返事でした。



その時は何も怪しんでいませんでしたが、昨今のエビデンス偽装報道を見ている限り、あれは残高を改ざんするためだったのでしょう。事実、私のこの時の融資もS銀行さんが相手でした。

審査は問題なく進み、無事に融資の承認がおりました。売買契約を締結しなくてはなりません。その売買契約は融資の金銭消費貸借契約当日の朝、銀行の近くの喫茶店で行われました。

今になって思えば、事前に契約書を渡されていなかったことも、金銭消費貸借契約を当日の朝にすることも、おかしな話です。仕事が適当すぎます。でもその時は念願の大家さんになれるという喜びで頭がいっぱいでした。あまり説明も聞いていなかったと思います。

署名押印した後、おもむろにもう一枚の売買契約書がカバンから取り出され、「 こっちにもハンコを押してください 」と言われました。違和感があり、何のための書類かを確認しました。

すると、「 この契約書は銀行に提出するためのものです 」「 金額が違いますが、先ほどの契約書で実際の売買は進めますので安心してください 」という返事でした。

明らかに変だと頭ではわかっていたものの、目の前の物件に囚われていた私は署名してハンコを押しました。犯罪の片棒を担いだ瞬間でした。

後日、ネットで調べると、私がしたのは「 二重売買契約 」というもので、私文書偽造の罪に問われる可能性があると知りました。これはもしかして、とんでもないことをしてしまったのでは…。

不安になって業者さんに恐る恐る聞いてみると、「 皆さん、やっていますから大丈夫ですよ 」と平気な顔をして答えます。不安は消えませんでしたが、業者さんの言葉を信じて、自分の良心をごまかすしかありませんでした。



その後、特に問題なく取引は進み、晴れて私は一棟物のオーナーになれました。( 買ってすぐ、最初に抱いていたバラ色の収支には程遠い内容と判明し、修繕費でも苦労したのですが、この辺は今回のテーマと異なるので割愛します )。

■ 2棟目と入居偽装

1棟目を買ってしばらくすると、同じ業者さんから電話がかかってきました。

「 独立しました 」という挨拶の電話でした。「 独立おめでとうございます、久々にお会いしませんか 」みたいな流れで、その業者さんと久しぶりに会うことになりました。

業者さんと会うということは、当然ながら物件を紹介される流れです。1棟目と同じ地域にある高利回り物件。利回りは申し分ないのですが、気になるのは空室率。半分くらいが空室でした。

「 埋まらないのは募集を真面目にやってないから 」「 きちんとした管理会社さんを入れればすぐ埋まりますよ 」

そんな説明を受けました。自分なりに地域の家賃相場を調べて、このくらいの金額なら買うという話をぶつけると、ほどなくして、その指値でOKという返事が来ました。

融資の審査へ進むと、今回も同じS銀行を使うということでした。前回の二重売買契約が心に引っかかっていた私。でも、あれと同じことをしないとフルローンは通りません。

S銀行には「 物件価格の90%までしか融資をしない 」という行内ルールがあるためです。融資はフルローンで受けたい。でも、悪い事をするのはためらわれる、、、そんな葛藤がありました。

そんな時、業者さんが「 今回は二重売買契約はしません 」と言いました。まるで、悶々としている私の気持ちを見透かされたかのようでした。業者さんによれば、今回は「 覚書 」を使うということです。

契約書は本来の売買契約金額より高いものを作り、金銭消費貸借契約と決済の間に「 覚書 」を取り交わす、と。その覚書には、「 売主と買主で協議の上、契約金額から〇〇〇万円減額する 」という記載をするそうです。

「 これなら私文書偽造には当たりません 」とのことでした。法的にはOKなのかもしれないけど、銀行をだますという行為には変わりはない。そのことはわかっていましたが、物件を購入したい欲求には勝てず、この方式を受け入れることにしました。

また、この物件は稼働率が低いという問題を抱えていました。入居率が低い物件ですと、銀行は積極的に融資をしたがりません。今回もそれが原因で融資に苦戦するのではないかと思い、その点を業者さんに確認してみました。

「 大丈夫です。賃貸借契約書は何とかしますし、部屋にカーテンもかけておきますから 」


( 写真はイメージです )

つまり、入居率を高く見せかけるために、銀行を騙すということです。結局そうなってしまうのか、とクラクラしたのを覚えています。業者さんは、ドキドキする私に向けて、こう言いました。

「 今までもやっていましたし、皆さん、そのくらい当たり前のようにやっていますから 」

もやもやするものがありながら、受け入れてしまった弱い私。また犯罪の片棒を担いでしまったのでしょうか。「 賃貸借契約書は何とかします 」のくだりが私文書偽造に当たらないことを祈るばかりでした。

結局、この物件も融資OKとなり、私は疑惑にまみれた収益物件2棟を持つオーナーになったのでした。

余談ですが、物件を買った後は、銀行から電話が来るたびにビクッとしいました。あの時、銀行をだましたのがばれたのではないか、一括返済を迫られるのではないか、そんなことばかり考えていました。( 実際はただのセールスでした・・・ )。

ちなみにこの時の業者さん、社長自身は宅建をもっていないにも関わらず、喫茶店で「 見逃してくださいね 」と言いながら、自分で重要事項説明書を読んでおられました。

不動産屋ってなんていい加減なんだろうと思うと同時に、平気でルールを破る彼らを見ていると、自分のやったことなんて、もしかしたらたいしたことないのかも、と感じました。

明日に続きます・・・
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※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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プロフィール

■ 横浜のリーマン大家

shippai

198×年生まれ
サラリーマン大家

□201×年
金持ち父さんにあこがれて不動産投資を始めることを決意
本やセミナーで勉強する

□201×年
3棟続けて、同じ不動産会社で二重売買契約を結び、S銀行から融資を受けて手出しナシで物件を購入

□201×年
不動産会社に大金をだまし取られる

□201×年
二重売買契約で購入した3棟を売却

□2019年
現在はまっとうなやり方で不動産投資を行っている

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