■ オーナーチェンジで買った物件で起きた排水桝の不具合
基本的に、古家を購入しリフォームして高利回りで運営していくスタンスの私ですが、時にオーナーチェンジ物件を購入することもあります。今回は、オーナーチェンジ築古戸建ての排水桝に関する失敗談です。
ある時、「 契約不適合責任免責 」で650万円のオーナーチェンジ築古戸建てを購入しました。基本的にオーナーチェンジの場合は、物件の現地調査に行っても、敷地の外から建物を見る程度しかできません。その時も外観を確認するくらいで終わりました。
そして購入から数カ月後、入居者から「 庭先に排水が溢れている 」との連絡がありました。関係者にヒアリングすると、浸透桝の能力が低下しており、お風呂に入ると排水桝が溢れて庭が水びたしになってしまうとのこと。
これまでも数カ月に1回ほどのペースで浸透桝が溢れてしまうので、そのたびに3万円ほどかけて汲み取りを行っていたといいます。その時に初めてこの事実を知りました。
原因は主に経年劣化です。浸透桝は経年により排水に混入するゴミ等により、水分を浸透しなくなることがあるのです。
ちなみに、戸建ての排水の方法には4種類あります。
①本下水
②浄化槽(側溝放流)
③浄化槽(宅内浸透)
④汲み取り
②浄化槽(側溝放流)
③浄化槽(宅内浸透)
④汲み取り
②は浄化槽を通過した水は、公共施設である側溝に流れます。側溝が整備されていない地域では、③の宅内に穴を掘り浸透させる手法か、④の汲み取りになります。この物件は③の方式でした。
契約時の設備表の記載を確認すると、「 問題なし 」と記載されていました。ところが、関係者にヒアリングをしてみると、複数人からの証言で以下のことがわかりました。
・売主は数年前から本件を知っており、頭を悩ましていた
・それが今回の真の売却の理由である
・それが今回の真の売却の理由である
ヒアリングを行った排水設備業者さん、賃借人、賃貸仲介会社さんは、売主の不誠実さにあきれ、同情してくださいました。
一気に頭に血が上りましたが、時すでに遅し。一晩は落ち込みましたが翌日は気分を切り替えて、部屋の向きが間違っていた時と同じように、まず自分の「 落としどころ 」を設定することにしました。具体的には「 被害額の確定 」です。
すぐに、排水関連の修繕費用の見積もりを取得しました。( 物件が市街化調整区域であったために諸問題があり、想定よりもかなり高額になりました )。そして、修繕の為の費用を被害額として、売買仲介さんを通して売主さんと交渉することにしました。
■ 仲介会社の心証を悪くせず、こちらの損失を取り戻すには?
基本的に、私は「 面倒な手間のかからない買主のポジション 」でいることに努めています。トラブルがあった時もその線は守り抜こうと思いました。この仲介さんとも良好な関係を維持するべく、以下の対応を心がけました。
・被害額である修繕費用を明示し、これが支払われれば解決すると表明
・言い分はすべて書面に。そのまま売主に転送できるレベルにまとめる
・内容はきつめでも、表現はソフトに
ざっくりまとめると、売主には以下のような内容を伝えました。
・「 契約不適合責任 」で契約しているものの、貴殿は故意に本件を隠蔽しており、民法第572条の規定により、この件の責任を追及できるもの考えている。( そして関係者へのヒアリング内容およびネットにある同条項の弁護士の解説を添付 )
・故意に隠蔽して売却していることから、詐欺罪の成立可能性について管轄の●●警察署に相談中である
・故意に隠蔽して売却していることから、詐欺罪の成立可能性について管轄の●●警察署に相談中である
結果、1週間程度で「 被害額を解決金という形で支払う 」旨、売主から連絡があり、こちらの落としどころとした金額( そこそこの中古車を買えるくらいの額 )の支払いを受けました。
この仲介さんからはその後も所有物件を売ってもらったり、売買情報を頂いたりしているので、面倒な客とは思われずに済んだのではと思っています。
■ 2つのトラブルから学んだこと
昨日書いたバルコニーの件と、今日の浸透桝の件から、私は次のようなことを学びました。
・トラブルが発生したら、まずは深呼吸。関係者に感情をぶつけないようにする
・気持ちが落ち着いたら、自分にとってのゴールラインを設定( 基本的には被害額の回復 )
・被害額を数字化し、数字の回復に徹底する
・「数字上の解決さえすればその後は不問とする」と関係者一同に宣言
・言い分やゴールラインの数字は、できる限り文書化し、仲裁人や相手方が法人の場合は担当者が書類一枚で社内で説明できるようにする( 関係者に対してコミュニケーションミスによる無駄な仕事を発生させないよう注意する )
・気持ちが落ち着いたら、自分にとってのゴールラインを設定( 基本的には被害額の回復 )
・被害額を数字化し、数字の回復に徹底する
・「数字上の解決さえすればその後は不問とする」と関係者一同に宣言
・言い分やゴールラインの数字は、できる限り文書化し、仲裁人や相手方が法人の場合は担当者が書類一枚で社内で説明できるようにする( 関係者に対してコミュニケーションミスによる無駄な仕事を発生させないよう注意する )
私が経験したことは、不動産に関わる人なら誰にとっても起こりえる話だと思います。そんな時、どう対応するかで、精神的な面でも金銭的な面でも、結果が変わってきます。
「 トラブルが起きないといいなあ 」と願うだけではなく、トラブルが起きないようにできる限りのことをして、トラブルが起きた時も適切な対応をすることが、大切だと感じています。
私の失敗談が、皆さんの参考になれば幸いです。それではまた!